目的変更の株主総会議事録の書き方・ひな形|株主リスト・書面決議まで

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結論から。会社の目的(事業目的)の変更は定款変更にあたるため、株主総会の特別決議が必要です。登記申請には「株主総会議事録」と「株主リスト」を添付します。 この記事では、法務局の記載例に準拠した議事録のひな形をそのまま掲載し、各記載項目の根拠条文まで解説します。対象は株式会社の一般的なケースです(機関設計や定款の定めによって扱いが変わることがあります)。

まず、目的変更の登記に添付する書類の早見表です1

書類通数備考
株主総会議事録1通本記事で解説。ひな形は下記
株主リスト1通本記事で概要を解説
委任状1通代理人に申請を委任した場合のみ

このほかに変更登記申請書が必要です。申請書自体の書き方は目的変更登記申請書の書き方を、手続き全体の流れは目的変更登記の全体ガイドをご覧ください。

なぜ株主総会の特別決議が必要なのか

「目的」は定款(会社の基本ルール)に必ず記載する事項です(会社法27条1号)2。そのため目的を変えるには定款の変更が必要で、定款の変更は株主総会の決議によって行います(会社法466条)3

この決議は特別決議です。原則として、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(この定足数は定款で3分の1以上の割合まで引き下げられます)、出席した株主の議決権の3分の2以上(定款でこれを上回る割合も定められます)の賛成で成立します(会社法309条2項11号)4

株主総会議事録のひな形(法務局記載例に準拠)

以下は、法務局が公開している目的変更の登記申請書の記載例(1-12)に掲載された株主総会議事録の例をもとにしたひな形です1。法定の様式があるわけではなく、記載例にも「一例です。会社の実情に合わせて作成してください」と注記されています。

臨時株主総会議事録

令和○年○月○日午前○時○分より、当会社の本店において臨時株主総会を
開催した。

株主の総数                                ○○名
発行済株式の総数                          ○○○○株
議決権を行使することができる株主の数      ○○名
議決権を行使することができる株主の議決権の数  ○○○○個
出席株主数(委任状による者を含む)          ○○名
出席株主の議決権の数                      ○○○○個
出席取締役  ○○○○(議長兼議事録作成者)
            ○○○○
出席監査役  ○○○○

以上のとおり総株主の議決権の過半数に相当する株式を有する株主が出席した
ので、本会は適法に成立した。
よって取締役○○○○は議長席に着き開会を宣し、直ちに下記議案を付議した
ところ、満場一致の決議をもって原案どおり可決確定した。

議案 定款変更の件
1 定款第2条を次のとおり変更すること。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
  1 ○○の製造販売
  2 ○○の売買
  3 前各号に附帯する一切の事業

以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣した。閉会時刻は
午前○時○分であった。
上記の決議を明確にするため、この議事録を作り、議長、出席取締役及び
出席監査役がこれに記名する。

令和○年○月○日
○○商事株式会社臨時株主総会
代表取締役  ○○○○
取締役      ○○○○
同          ○○○○
監査役      ○○○○

作成時のポイントは3つです。

  • 変更後の目的は全文を書く: 議案には、変更後の目的条項(定款第2条など)を丸ごと記載します。登記申請書の「登記すべき事項」にも、変更部分だけでなく変更後の全ての目的を記録します1。書き方は申請書の記事へ。
  • 自己株式があるときは注記する: 記載例では、発行済株式の総数の下に「(自己株式の数 ○○○○株)」を自己株式(会社が保有する自分の株式)がある場合に記載するとされています1
  • 監査役を置いていない会社は監査役の欄を省く: 議事録に書くのは「出席した」役員の氏名です(会社法施行規則72条3項4号)5

記載事項の根拠|会社法318条と施行規則72条3項

株主総会の議事については、議事録の作成が法律上の義務です(会社法318条1項)。作成した議事録は株主総会の日から10年間、本店に備え置きます(同条2項)6

何を書くかは会社法施行規則72条3項に定められています5。上のひな形と対応させると次のとおりです。

法定記載事項(施行規則72条3項)ひな形の該当箇所
開催の日時・場所(1号)冒頭の「令和○年○月○日午前○時○分より、当会社の本店において」
議事の経過の要領とその結果(2号)議案の付議から「原案どおり可決確定した」までの流れと、変更後の目的の全文
出席した役員の氏名(4号)「出席取締役」「出席監査役」の各氏名
議長の氏名(5号)「取締役○○○○は議長席に着き」
議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名(6号)「議長兼議事録作成者」の付記

このほか、法令の定める一定の意見・発言が総会で述べられたときは、その内容の概要も記載します(同項3号)5

署名・押印は法律上の義務ではない

株主総会議事録について、施行規則72条が定めているのは記載事項だけで、署名や記名押印を義務付ける規定はありません5。実務では末尾に出席役員等を記名する形が広く行われており、法務局の記載例も記名形式です1。一方、取締役会議事録には出席取締役・監査役の署名または記名押印の義務があり(会社法369条3項)7、両者は扱いが異なります。署名・押印ルールの詳しい整理は本店移転の議事録記事で解説しています。

株主リストも必ず添付する

目的変更のように登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合は、株主リスト(株主の氏名または名称・住所・株式数・議決権数・議決権割合を証する書面)の添付が商業登記規則61条3項で義務付けられています8

  • 載せる株主は議決権割合の高い順に、割合の合計が3分の2に達するまで10名のいずれか少ない人数です(同項1号・2号)8
  • 証明書は登記申請人(会社の代表者)の名義で作成します1
  • 様式例は法務局の記載例PDF内にあります1

株主総会を開かない場合|みなし決議(書面決議)の議事録

株主の数が少ない会社では、実際に総会を開かないみなし決議も選べます。取締役または株主が議案を提案し、その議案について議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意すると、提案を可決する株主総会決議があったものとみなされます(会社法319条1項)9

みなし決議でも議事録の作成は必要で、記載事項は通常の総会と異なります(施行規則72条4項1号)5。目的変更の場合にあてはめると次の4点です。

記載事項(施行規則72条4項1号)目的変更での書き方
決議があったものとみなされた事項の内容変更後の目的条項の全文(定款第○条の変更内容)
提案をした者の氏名または名称提案した取締役または株主の氏名
決議があったものとみなされた日株主全員の同意の意思表示がそろった日
議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名作成を担当した取締役の氏名

みなし決議の場合も株主リストの添付は必要です。商業登記規則61条3項は、319条1項により決議があったものとみなされる場合を含むと明記しています8

決議のあとは2週間以内に登記申請

目的は登記事項なので(会社法911条3項1号)、変更が生じたときは2週間以内に本店の所在地で変更登記をしなければなりません(会社法915条1項)10。期限の数え方と遅れた場合の扱いは目的変更登記はいつまでに必要かをご覧ください。

よくある質問

Q. 議事録は誰が作成しますか? A. 施行規則72条3項6号は「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」を記載事項としており、取締役が作成の職務を担うことが前提です5。ひな形のように「議長兼議事録作成者」と付記する形がよく使われます1

Q. 議事録に押印は必要ですか? A. 株主総会議事録そのものについて、署名や押印を求める法令上の定めはありません5。ただし、本人申請の場合、登記申請書には登記所に提出した会社の印鑑を押す必要があります。代理人が申請する場合は、委任状に登記所に提出した印鑑を押し、申請書には代理人が押印します1。押印の要否が問題になる特殊なケースは、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。

Q. 株主が1人だけの会社ではどうなりますか? A. みなし決議(会社法319条1項)は議決権を行使できる株主の全員の同意で成立します9。そのため、その株主が議案について議決権を行使できる一般的なケースでは、株主1名の会社ならその1名の書面同意で成立させることが考えられます。種類株式の発行や議決権の制限がある場合は、司法書士または法務局にご確認ください。この場合も議事録(施行規則72条4項1号の記載事項)と株主リストは必要です58

Q. ひな形の元データはどこで入手できますか? A. 法務局サイトにある「商業・法人登記の申請書様式」に、目的変更用の申請書様式と、株主総会議事録・株主リストの例が入った記載例PDFが無料で公開されています111

議事録・株主リスト・申請書はフォーム入力でまとめて作れます

ひな形を写して作ること自体は難しくありませんが、議事録・株主リスト・申請書の3点で目的の文言や日付を食い違いなくそろえる作業は意外と神経を使います。

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目的変更登記の手続き全体はこちらのガイドで確認できます。


参照法令・出典(確認日: 2026-07-16)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-16)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 法務局 株式会社変更登記申請書(目的の変更)記載例(株主総会議事録・株主リスト・委任状の記載例を含む) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252659.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10

  2. 会社法27条1号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  3. 会社法466条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  4. 会社法309条2項11号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  5. 会社法施行規則72条3項・4項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010012 2 3 4 5 6 7 8

  6. 会社法318条1項・2項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  7. 会社法369条3項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  8. 商業登記規則61条3項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023 2 3 4

  9. 会社法319条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2

  10. 会社法911条3項1号・915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  11. 法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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