目的変更と商号変更の同時申請|登録免許税を節約できる組み合わせ早見表

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結論から。株式会社の目的変更と商号変更は1通の登記申請書にまとめて申請でき、その場合の登録免許税は2つ合わせて3万円です。12 どちらも登録免許税法上の同じ区分「登記事項の変更」に当たり、税額が「申請1件につき3万円」と定められているためです13。一方、役員変更や本店移転は区分が違うため、同時に申請しても税額は加算されます。

本記事は株式会社の一般的なケースを対象に、目的変更と他の変更登記を同時に申請した場合の登録免許税を、一次ソース(法令・国税庁・法務局)に基づいて整理します。目的変更手続きそのものの全体像は事業目的の変更登記ガイドをご覧ください。

組み合わせ別の税額早見表

目的変更と同時に申請する変更登録免許税の合計内訳
なし(目的変更のみ)3万円「登記事項の変更」1件分13
商号変更3万円同じ区分のため合わせて1件分12
役員変更(資本金1億円以下)4万円3万円+1万円14
役員変更(資本金1億円超)6万円3万円+3万円14
本店移転(同じ法務局の管轄内)6万円3万円+3万円15

※本店移転が管轄外への移転の場合は、本店移転だけで旧所在地宛て・新所在地宛ての2件の申請に3万円ずつ、計6万円かかります6。管外移転は手続きの流れ自体が特殊なため、管轄外への本店移転登記の進め方をご覧ください。

なぜ商号変更とまとめると3万円で済むのか|「区分」の仕組み

変更登記の登録免許税は、登録免許税法の別表第一24号(一)で登記の種類ごとの「区分」で決まっています。ポイントは、変更登記の多くの区分で課税標準(税額計算の基準)が「申請件数」とされていることです1

目的変更・商号変更が当たるのは「ツ」の区分です。原文は次のとおりです。

ツ 登記事項の変更、消滅又は廃止の登記(これらの登記のうちイからソまでに掲げるものを除く。) 申請件数 一件につき三万円1

目的も商号も会社の登記事項ですが(会社法911条3項1号・2号)7、役員変更(カ)や本店移転(ヲ)のような個別の区分は設けられていません。そのため、どちらも「登記事項の変更」としてこのツ区分に含まれます。国税庁の税額表(タックスアンサーNo.7191)でも「登記事項の変更、消滅または廃止の登記 1件につき3万円」と確認できます3

実際に、法務局が公開している記載例でも、目的変更の申請書・商号変更の申請書はどちらも「登録免許税 金3万円」です89

そして課税標準が「申請件数」であるため、ツ区分に当たる複数の変更を1件の申請にまとめた場合、税額は1件分の3万円です1。法務局の記載例(合同会社の「商号の変更及び目的の変更」)でも、商号変更と目的変更をまとめた1通の申請書の登録免許税は「金3万円(1件につき3万円)」とされています2

区分が違う変更は加算される|役員変更・本店移転

役員変更と本店移転には別の区分があるため、目的変更と同時に申請しても、それぞれの税額が加算されます。

役員変更(カの区分)

取締役・代表取締役・監査役などに関する事項の変更は「カ」の区分です。税額は原文で「一件につき三万円(資本金の額が一億円以下の会社又は一般社団法人等については、一万円)」と定められています4。つまり、資本金1億円以下の会社なら1万円、1億円を超える会社なら3万円です。国税庁の税額表でも「1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社については1万円)」と確認できます3

自社の資本金の額は登記事項なので(会社法911条3項5号)7、登記事項証明書で確認できます。

本店移転(ヲの区分)

本店移転は「ヲ」の区分で、「本店…の数 一箇所につき三万円」です5。国税庁の税額表でも「本店または支店の移転の登記 1箇所につき3万円」とされています3。管轄内の移転なら申請1件で3万円ですが、管轄外への移転は旧所在地宛て・新所在地宛ての2件の申請にそれぞれ3万円ずつ、計6万円です6

本店移転を含む変更登記の費用全般は変更登記の費用比較にまとめています。

手続きのポイント|1回の株主総会でまとめて決議できる

目的も商号も定款(会社の基本ルール)の記載事項です(会社法27条1号・2号)10。変更するには、株主総会の決議で定款を変更します(会社法466条)11。この決議は特別決議です。原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です(会社法309条2項11号)12

会社法466条は「株主総会の決議によって、定款を変更することができる」と定めるのみで、1回の株主総会で複数の定款変更事項を決議することを制限する規定はありません11。目的の変更と商号の変更を同じ株主総会に付議して決議する形が考えられます(議案の立て方に不安がある場合は、法務局または司法書士にご確認ください)。

申請書には「登記の事由」に並記する

法務局の記載例(合同会社の商号の変更及び目的の変更)では、1通の申請書に次のように記載しています2

  • 登記の事由: 「商号の変更及び目的の変更」と並記
  • 登記すべき事項: 「商号」と「目的」をそれぞれ記載し、各項目に「原因年月日 令和○年○月○日変更」を付記
  • 登録免許税: 金3万円(「1件につき3万円です」との注記)

株式会社の変更登記申請書も、「登記の事由」「登記すべき事項」という同じ構成です89。なお、目的の欄には変更部分だけでなく変更後の全ての目的を記録します(記載例の注記)8。目的変更の記載例では、添付書類は株主総会議事録と株主リスト(代理申請の場合は委任状も)とされています8

注意点|分けて申請すると1件ごとに課税される

登録免許税の課税標準は「申請件数」です1。目的変更と商号変更を別々の申請に分けると、それぞれが1件として課税され、3万円+3万円で計6万円になります。同じ区分の変更が合計3万円で済むのは、あくまで1件の申請にまとめた場合です。

また、変更登記には期限があります。登記事項に変更が生じたときは、変更から2週間以内に変更の登記をしなければなりません(会社法915条1項)13。期限は変更ごとにその変更が生じた日から数えるため、先に効力が生じた変更がある場合は、その期限に間に合うように申請してください。期限の詳細は目的変更登記はいつまでに必要かで解説しています。

よくある質問

Q. 目的変更と役員変更もまとめて1件3万円になりますか? A. なりません。役員変更は「カ」という別の区分のため、同時に申請しても、目的変更(ツ区分)の3万円に役員変更の税額(資本金1億円以下は1万円・超は3万円)が加算されます14

Q. 先に目的変更だけ登記しました。あとから商号変更を申請すると税額はどうなりますか? A. あとから申請する商号変更が1件として課税され、3万円かかります13。先に納付した目的変更の3万円と合わせると計6万円です。

Q. 役員変更の「資本金1億円以下なら1万円」はどこで決まっている金額ですか? A. 登録免許税法 別表第一24号(一)カの原文に「一件につき三万円(資本金の額が一億円以下の会社又は一般社団法人等については、一万円)」と定められています4。国税庁の税額表でも同じ内容を確認できます3

目的変更の登記書類は自分で作成できます

同時申請で登録免許税を抑えられても、議事録・株主リスト・申請書を整合させて作る手間は残ります。

wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、目的変更の登記に必要な株主総会議事録・株主リスト・登記申請書をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。

商号変更など他の変更と同時に申請する場合の申請書の書き方は、法務局の記載例2もあわせて確認してください。目的変更手続きの全体像(決議から申請までの流れ)は事業目的の変更登記ガイドをご覧ください。


参照法令・出典(確認日: 2026-07-16)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-16)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 登録免許税法 別表第一24号(一)ツ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

  2. 法務局 合同会社変更登記申請書(商号の変更及び目的の変更)記載例 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001367825.pdf 2 3 4 5

  3. 国税庁 タックスアンサーNo.7191 登録免許税の税額表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm 2 3 4 5 6 7

  4. 登録免許税法 別表第一24号(一)カ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2 3 4 5

  5. 登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2

  6. 法務局 株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外に移転する場合)記載例 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252661.pdf 2

  7. 会社法911条3項1号・2号・5号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2

  8. 法務局 株式会社変更登記申請書(目的の変更)記載例 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252659.pdf 2 3 4

  9. 法務局 株式会社変更登記申請書(商号の変更)記載例 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252658.pdf 2

  10. 会社法27条1号・2号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  11. 会社法466条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2

  12. 会社法309条2項11号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  13. 会社法915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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