本店移転登記を申請したら、次にやることは「①登記完了の確認 → ②新しい登記事項証明書・印鑑証明書の取得(管轄外の移転では先に印鑑カードの交付申請)→ ③税務署・年金事務所などへの届出 → ④銀行・取引先などの住所変更」の流れで進みます。この記事では、一般的なケースを前提に、登記完了後の手続きを時系列で整理します。
登記完了後の時系列チェックリスト(早見表)
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 登記完了の確認 | 「登記完了予定日」まで法務局から連絡がなければ完了1 |
| 2 | 印鑑カードの交付申請(管轄外移転のみ) | 印鑑カードは新しい法務局に引き継がれない2 |
| 3 | 新しい登記事項証明書・印鑑証明書の取得 | 各種届出の添付書類などに使う3 |
| 4 | 官公庁への届出(税務署・年金・労働保険など) | 期限の起算日は多くが「移転日」なので注意45 |
| 5 | 銀行・取引先・許認可の住所変更 | 登記事項証明書の提示を求められる場合に備える |
1. 登記完了を確認する
書面で申請した場合、「登記完了予定日」が完了の目安になります(補正がある場合や、管轄の法務局が変わる本店移転の場合などは除きます)1。登記完了予定日は、申請した登記所を管轄する法務局ホームページの「登記完了予定日」のタブから確認できます1。完了予定日まで登記所から連絡がなければ、補正等がなく登記手続が完了したことになります1。
オンライン申請の場合は、登記・供託オンライン申請システムの「処理状況照会」で、申請に対する処理状況を確認できます6。
なお、申請から登記完了までの間は、原則としてその会社の登記事項証明書・印鑑証明書は発行されません1。証明書が必要な予定(融資・契約など)がある場合は、このタイムラグを見込んでおきましょう。管轄外の移転は2つの法務局をまたぐため、手続きの流れは管轄外の本店移転登記ガイドをご覧ください。
2. 印鑑カードの交付申請(管轄外移転の場合)
移転先が別の法務局の管轄になる「管轄外移転」では、登記完了後にまず印鑑カードの手続きが必要です。
2025年(令和7年)4月21日から、商業登記規則の改正により、管轄外の本店移転で新しい法務局への印鑑届書の提出は不要になりました。届け出ていた会社実印の印鑑記録は、旧法務局から新法務局へ自動的に移送されます2。
ただし、印鑑カードは従来どおり引き継がれません。印鑑証明書が必要な場合は、登記完了後に、新しい本店所在地を管轄する登記所へ改めて印鑑カードを請求する必要があります2。手順は次のとおりです。
- 書類: 「印鑑カード交付申請書」を使います。様式と記載例は法務局サイトで公開されています7
- 提出先: 印鑑に関する届出は、会社が登記されている登記所(移転後は新しい管轄の登記所)に提出します7
- 代理人が申請する場合: 委任状が必要です(様式に委任状欄があります)7
印鑑証明書の交付申請には印鑑カードの提出が必要なため7、新しいカードを受け取ってから印鑑証明書を取得する流れになります。旧管轄で使っていた印鑑カードの取り扱いは、申請先の登記所にご確認ください。同じ法務局の管轄内の移転であれば、この手続きは不要です。
3. 新しい登記事項証明書・印鑑証明書を取得する
登記が完了したら、移転後の住所が記載された証明書を取得します。主な用途は次のとおりです。
- 登記事項証明書: 年金事務所への届出の添付書類3、銀行口座・許認可・取引先の住所変更手続きでの提示など
- 印鑑証明書: 契約書の締結、金融機関の手続きなど
必要になる通数は届出先・取引先によって異なるため、事前に各窓口の案内をご確認ください。手数料は2025年(令和7年)4月1日に改定されています8。
| 証明書 | 書面請求 | オンライン請求・送付 | オンライン請求・窓口交付 |
|---|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 600円 | 520円 | 490円 |
| 印鑑証明書 | 500円 | 450円 | 420円 |
(法務省「登記手数料について」より8)
登記事項証明書・印鑑証明書は、登記情報交換システムにより、最寄りの登記所など全国どこの登記所でも取得できます7。オンライン請求のほうが手数料は安く設定されています8。
4. 官公庁への届出(期限に注意)
登記のあとは、税務署などへの届出が続きます。注意したいのは、多くの届出の期限が「登記完了日」ではなく「移転(変更)日」から数えられることです。たとえば年金事務所への届出は事実発生(変更)から5日以内43、労働保険・雇用保険は変更日の翌日から10日以内です59。登記の完了を待たずに、並行して準備を進めましょう。
| 届出先 | 書類 | 期限 |
|---|---|---|
| 税務署 | 異動事項に関する届出(異動届出書) | 異動後速やかに10 |
| 税務署 | 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 移転から1か月以内1112 |
| 都道府県税事務所・市区町村 | 異動の届出(名称は自治体で異なる) | 自治体により異なる |
| 年金事務所 | 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 | 変更から5日以内43 |
| 労働基準監督署または公共職業安定所 | 労働保険 名称、所在地等変更届 | 変更の翌日から10日以内5 |
| ハローワーク | 雇用保険事業主事業所各種変更届 | 変更の翌日から10日以内9 |
年金事務所への届出では、変更後の内容を確認できる書類として登記事項証明書(法人登記簿謄本)のコピー(提出日から90日以内に発行されたもの)の添付を求められる場合があります3。また、年金事務所の管轄をまたぐ移転では、変更前の事業所所在地を管轄する年金事務所が提出先になります13。
各届出書の入手先や書き方を含む全体像は、ハブ記事会社(法人)の住所変更に必要な手続き一覧で詳しく解説しています。
5. 銀行・取引先・許認可などの住所変更
官公庁以外にも、住所を登録している先への変更手続きがあります。一般的には、銀行口座・クレジットカード、業種ごとの許認可、取引先への通知、請求書・契約書・Webサイトの表記などが対象です。手続きの要否や必要書類は各機関・各行政庁によって異なり、新しい登記事項証明書の提出を求められる場合もあるため、それぞれの窓口にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 登記が完了したかどうか、どこで確認できますか? 書面申請なら、申請した登記所を管轄する法務局ホームページの「登記完了予定日」が目安です(管轄が変わる本店移転などは目安の対象外)。完了予定日まで登記所から連絡がなければ完了です1。オンライン申請なら処理状況照会で確認できます6。
Q2. 印鑑カードの再交付は管轄内の移転でも必要ですか? いいえ、一般的には不要です。印鑑カードの交付申請が必要になるのは、法務局の管轄が変わる管轄外移転の場合です2。ご不明な場合は管轄の登記所にご確認ください。
Q3. 登記完了前に新住所の証明書は取れますか? 申請から登記完了までの間は、原則としてその会社の登記事項証明書・印鑑証明書は発行されません1。完了後に取得してください。
Q4. 届出の期限に間に合いそうにありません。 届出の期限は移転(変更)日を基準とするものが多く(年金5日以内4、労働保険・雇用保険10日以内59など)、登記自体も移転日から2週間以内が期限です14。間に合わない事情がある場合の取り扱いは、各届出先の窓口や司法書士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
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参照法令・出典(確認日: 2026-07-15)
免責: 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士等の専門家または管轄の法務局・各行政機関にご確認ください。記載内容は確認日時点の法令・公表情報に基づきます。
Footnotes
-
法務局「商業・法人登記の申請書様式」(登記完了予定日・登記完了までの証明書発行停止) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
法務省「商業登記規則の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」(令和7年4月21日施行・印鑑届書の提出不要・印鑑カードは引き継がれない) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00228.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150320.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
厚生年金保険法施行規則23条(事業主の氏名等の変更の届出・5日以内) https://laws.e-gov.go.jp/law/329M50000100037#Mp-At_23 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則5条(変更事項の届出・10日以内) https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000008#Mp-At_5 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
登記・供託オンライン申請システム(処理状況照会) https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/ ↩ ↩2
-
法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」(印鑑カード交付申請書ほか) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-2.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日~) https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/ ↩ ↩2 ↩3
-
雇用保険法施行規則142条(事業主の氏名住所等の変更・10日以内) https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50002000003#Mp-At_142 ↩ ↩2 ↩3
-
国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_5.htm ↩
-
所得税法230条(給与等の支払をする事務所の開設等の届出・1か月以内) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033#Mp-At_230 ↩
-
国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm ↩
-
日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄外の場合)の手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20141205.html ↩
-
会社法915条1項(変更の登記・2週間以内) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_915 ↩
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。