結論から。株式会社の本店移転登記(法人の住所変更の登記)は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を使って、法務局に行かずにオンラインで申請できます1。ただし、Webブラウザだけで完結する「かんたん登記・供託申請」は本店移転には対応していません。Webブラウザから申請できる商業・法人登記は「役員の住所氏名変更登記申請」のみで(2026年7月15日確認時点)23、本店移転は無料の専用ソフト「申請用総合ソフト」で申請します4。
完全オンライン申請には電子署名(電子証明書)が必要です3。電子証明書を持っていない場合は、申請用総合ソフトで作成した申請書を印刷して提出する「QRコード付き書面申請」という方法もあります(電子署名・電子証明書は不要)4。
| 申請方法 | 電子証明書 | 法務局への来庁 | 概要 |
|---|---|---|---|
| 完全オンライン(申請用総合ソフト) | 必要3 | 不要(添付書面も電子添付する場合)1 | 申請書の作成・送信・納付までオンライン1 |
| QRコード付き書面申請(申請用総合ソフト+印刷) | 不要4 | 提出は窓口または郵送4 | 申請書データを事前送信し、印刷した書面を提出4 |
| 書面申請(窓口・郵送) | 不要 | 提出は窓口または郵送 | 法務局サイトの様式に記入して提出5 |
| かんたん登記・供託申請(Webブラウザ) | — | — | 本店移転は対象外(役員の住所氏名変更登記のみ)23 |
本店移転手続きの全体像(決議・書類・流れ)は会社の住所変更手続きまとめを、書面申請の様式と書き方は本店移転登記申請書の書き方をご覧ください。以下、株式会社の一般的なケースを前提に解説します。
かんたん登記申請(Webブラウザ)では本店移転はできない
登記ねっとの「かんたん登記・供託申請」は、Webブラウザからオンラインで一部の登記申請や証明書請求ができるサービスです6。ただし、商業・法人登記の申請でWebブラウザから申請できる手続きは「役員の住所氏名変更登記申請」に限られます(2026年7月15日確認時点)23。
つまり、本店移転登記をオンラインで申請したい場合は、「申請用総合ソフト」を使います。申請書作成から電子署名の付与、送信、データ管理まで、システムで取り扱う全手続きを行える無料のソフトウェアです47。公式ページが推奨環境として掲載しているOSはWindows 11で、.NET Framework 4.8.1が必要です8。
完全オンライン申請には電子署名(電子証明書)が必要
商業・法人登記のオンライン申請では、申請書情報への電子署名が必須です(QRコード付き書面申請書などを除く)3。申請人(会社代表者)の電子署名に使える主な電子証明書は次のとおりです1。
- 商業登記電子証明書 — 会社・法人の代表者等に対して発行される電子証明書。管轄の法務局で取得でき、オンラインで請求することも可能です9
- 公的個人認証サービス電子証明書 — マイナンバーカードに格納されている署名用電子証明書です110
- そのほか、法務大臣の定める特定認証業務電子証明書等1
代表者個人のマイナンバーカードがあれば、商業登記電子証明書を新たに取得しなくても申請書に電子署名できます(ICカードリーダー等の環境は別途必要です)110。
なお、商号・本店・代表者の資格・氏名などの変更に関する登記をオンライン申請すると、申請時に送信した商業登記電子証明書が失効する場合があります(一定の条件を満たせば手数料不要で再発行を申請できます)1。継続利用中の会社は申請前に法務局へご確認ください。
申請用総合ソフトでの申請の流れ
法務省の案内1に沿った一般的な流れです。
- 申請者情報の登録・ソフトのインストール — 登記ねっとで申請者情報を登録し(初回のみ)、申請用総合ソフトをインストールします4
- 申請書情報の作成・電子署名 — 本店移転の様式を選んで入力し、電子署名を付与します1。「登記すべき事項」の書き方は申請書の書き方と共通です
- 添付書面情報の添付 — 株主総会議事録などを電子データ(署名付きPDF等)で添付する場合は、作成者の電子署名が必要です1。添付ファイルの合計は1申請15MBまでです1。紙のまま提出することもできます(後述)
- 送信・納付 — 申請データを送信し、登録免許税を納付します
管轄の異なる法務局へ移転する「管轄外移転」は、2件の登記申請書を同時に送信する必要があります(同時申請)1。管外移転特有の仕組みは管轄外への本店移転登記の進め方で解説しています。
システムの利用時間は、平日(祝日・年末年始を除く月〜金)の8時30分から21時までです1。登記所の受付時間は8時30分から17時15分までのため、17時15分以降に送信した申請は翌業務日の受付になります1。
登録免許税は電子納付できる
オンライン申請した場合、登録免許税(本店移転は1箇所につき3万円、管轄外移転は旧・新あわせて計6万円)1112は次のいずれかで納付します1。
- 電子納付 — インターネットバンキング、モバイルバンキング、または電子納付対応のATMで納付します113。申請データの送信後に発行される電子納付情報に基づき、申請用総合ソフトの「納付」ボタンから手続きします113
- 収入印紙・領収証書での納付 — オンライン申請でも、納付用紙に収入印紙等を貼り付けて登記所へ提出・送付する方法が使えます1
電子納付の納付期限は、申請書情報がシステムに到達した日の翌日から起算して3日間(行政機関の休日を除く)です1。期限内に納付されないと申請は却下されるため、送信後は速やかに納付してください1。費用全体の内訳は本店移転登記の費用まとめをご覧ください。
議事録などの添付書面は紙のままでも提出できる
添付書面が電磁的記録(電子データ)で作成されていない場合は、書面のまま提出・送付することも認められています1。この場合、添付書面に申請番号を記載するか、申請用総合ソフトから印刷できる「書面により提出した添付情報の内訳表」を添えて、登記所に提出・送付します1。
さらに、電子証明書自体を持っていない場合は「QRコード付き書面申請」が使えます。申請用総合ソフトで作成した申請書の情報を事前にインターネット経由で登記所に送信し、印刷した申請書(QRコードが自動で印字されます)を収入印紙を貼った台紙・添付書面とあわせて登記所に提出する方法です(郵送も可能)4。電子署名・電子証明書は不要で、入力漏れの確認や処理状況のオンライン確認といったメリットがあります4。必要書類の全体像は本店移転登記の必要書類、議事録の作り方は本店移転の議事録の書き方をご覧ください。
オンラインと書面、どちらを選ぶ?(一般的な目安)
- 代表者のマイナンバーカード(+カードリーダー)か商業登記電子証明書がある — 完全オンライン申請が候補です。法務局に行かずに申請から納付まで完結できます1
- 電子証明書はないが、申請書を正確に作りたい・処理状況を追いたい — QRコード付き書面申請が候補です4
- パソコン環境が合わない(申請用総合ソフトの推奨環境はWindows 11)8 — 従来どおりの書面申請(窓口・郵送)になります。公式様式のダウンロード先と書き方はこちらで解説しています5
どの方法でも、本店移転の登記は移転の日から2週間以内に申請する必要がある点は共通です(会社法915条1項)14。個別のケースでの方法選択に迷う場合は、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。
よくある質問
Q. かんたん登記申請(Webブラウザ)で本店移転登記はできますか?
A. できません(2026年7月15日確認時点)。Webブラウザから申請できる商業・法人登記は「役員の住所氏名変更登記申請」のみです23。本店移転は申請用総合ソフトを使うか、書面で申請します。
Q. マイナンバーカードだけで完全オンライン申請できますか?
A. 申請書への電子署名には、マイナンバーカードの署名用電子証明書が使えます110。ただし、議事録などの添付書面を電子データで添付する場合は作成者の電子署名が別途必要です1。紙で作成した添付書面は書面のまま提出・送付できます1。
Q. 土日や夜間でもオンライン申請できますか?
A. システムの利用時間は平日8時30分〜21時のため、土日祝日・年末年始は送信できません1。また、17時15分以降に送信した申請の受付は翌業務日になります1。
Q. 管轄の違う県外への移転もオンラインでできますか?
A. 可能です。2件の登記申請書を同時に送信する「同時申請」になります1。詳しくは管轄外への本店移転登記の進め方をご覧ください。
申請書・議事録の作成はwiz法人登記で
どの方法で申請する場合も、申請書や議事録を正しく作ることが出発点です。
wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、本店移転登記の申請書・株主総会議事録・株主リストなどをご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)15。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。法定実費として登録免許税(管内3万円・管外6万円)が別途かかります1112。
参照法令・出典(確認日: 2026-07-15)
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。オンライン申請の対応手続き・動作環境・納付方法等は変更される場合があります。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-15)時点の法令・公表情報に基づきます。
Footnotes
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法務省 商業・法人登記のオンライン申請について https://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20 ↩21 ↩22 ↩23 ↩24 ↩25 ↩26 ↩27 ↩28 ↩29 ↩30
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登記・供託オンライン申請システム オンラインによる申請・請求が可能な手続(手続ごとの申請方法一覧表・※4) https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/whats/tetsuzuki_list.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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登記・供託オンライン申請システム 商業・法人登記手続 https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/toukinet/shogyo/shogyo.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
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法務局 QRコード(二次元バーコード)付き書面申請について https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page8_000001_00016.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
-
法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2
-
登記・供託オンライン申請システム トップページ https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/ ↩
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登記・供託オンライン申請システム 申請用総合ソフトとは https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/whats/sogosoft/what_sogosoft.html ↩
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登記・供託オンライン申請システム ご利用環境 https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/kankyo/riyo_kankyo.html ↩ ↩2
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法務省 商業登記に基づく電子認証制度 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00028.html ↩
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公的個人認証サービス ポータルサイト(地方公共団体情報システム機構) https://www.jpki.go.jp/ ↩ ↩2 ↩3
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国税庁 タックスアンサーNo.7191 登録免許税の税額表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm ↩ ↩2
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登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 ↩ ↩2
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登記・供託オンライン申請システム 電子納付による手数料等のお支払いについて https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/charge/charge.html ↩ ↩2
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会社法915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 ↩
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wiz法人登記 本店移転(価格表示、当社サイト・確認日2026-07-15) https://wiztouki.com/honten-iten ↩
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。