本店移転登記の必要書類チェックリスト|ケース別早見表で自分の場合が分かる

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結論から。株式会社の本店移転登記で必要になる基本の書類は5種類で、ケースによって増減します。 主な分かれ目は「定款変更が必要か」「取締役会があるか」「移転先が同じ法務局の管轄内か(管内/管外)」の3つです(この記事は株式会社の一般的なケースを前提にしています。機関設計や定款の定め、他の登記との同時申請により書類が変わることがあります)。まず早見表で自分のケースを確認してください。

あなたのケース登記申請書株主総会議事録株主リスト取締役会議事録取締役決定書
定款変更あり×取締役会あり管内1通/管外2通必要必要必要
定款変更あり×取締役会なし管内1通/管外2通必要必要必要
定款変更なし×取締役会あり管内1通/管外2通不要不要必要
定款変更なし×取締役会なし管内1通/管外2通不要不要必要

これに加えて、どのケースも共通で次の2点を押さえてください。

  • 委任状: 代理人に申請を頼む場合のみ必要です12
  • 印鑑届書: 管外移転でも2025年4月21日から提出不要になりました(後述)3。管内移転は登記所が変わらないため、印鑑に関する手続き自体が生じません

登録免許税は管内3万円・管外6万円(3万円×2件)です45。以下、各書類の中身と根拠を順に説明します。

まず自分のケースを判定する|3つの質問

質問1: 定款変更は必要?

「本店の所在地」は定款(会社の基本ルール)に必ず記載する事項です(会社法27条3号)6。定款に「当会社は、本店を東京都新宿区に置く」のように最小行政区画(市区町村など)まで規定している場合、その区画内での移転なら株主総会の決議は不要で、株主総会議事録も株主リストも添付しません。法務局の記載例にもこの旨が明記されています1。区画の外へ移転するなら定款変更が必要です。

質問2: 取締役会はある?

具体的な移転先と移転日は業務執行の決定として決めます(会社法362条2項1号・348条2項)6。添付書類は、取締役会設置会社なら取締役会議事録、置かない会社なら取締役決定書(取締役の過半数の一致を証する書面)です12

質問3: 移転先は同じ法務局の管轄内?

管轄をまたぐ「管外移転」は申請書が2通になります(詳細は後述)。管轄は法務局のウェブサイトで確認できます。自社がどのケースに当たるか判断に迷う場合は、管轄の法務局か司法書士に確認してください。

各書類の説明

株主総会議事録(定款変更をする場合のみ)

定款変更は株主総会の特別決議事項です(会社法466条・309条2項11号)6。議事録には定款の変更内容(「第○条 当会社は、本店を○県○市に置く」)を記載します12。決議要件の詳しい説明は議事録記事に譲ります。書き方の詳細とひな形は本店移転の議事録の書き方をご覧ください。

株主リスト(株主総会議事録とセット)

正式には「株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面」です。株主総会の決議を添付する登記申請では、商業登記規則61条2項・3項の株主を証明するこの書面もセットで必要です1。全株主を書く必要はなく、議決権割合の合計が3分の2に達するまでか、上位10位までの、いずれか少ない人数の株主を記載します1。会社の代表者名義で作成します1

取締役会議事録または取締役決定書(全ケース)

具体的な移転先(「○県○市○町○丁目○番○号」まで)と移転の時期を決めた記録です。取締役会設置会社は取締役会議事録、置かない会社は取締役決定書を添付します12。定款変更が不要なケースでは、この書類が決議関係の唯一の添付書類になります1

登記申請書(管内1通・管外2通)

申請書自体も自分で作成します。様式(Word)と記載例(PDF)は法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページで公開されています7。書き方の詳細は本店移転登記申請書の書き方で解説しています。

登録免許税は「本店1箇所につき3万円」です(登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ)4。国税庁の税額表でも同額を確認できます5。管外移転は旧所在地宛て・新所在地宛ての2件の申請にそれぞれ3万円がかかるため合計6万円です2

なお、移転日より前に登記申請をすることはできません1。申請は移転の日から2週間以内に行います(会社法915条1項)6

委任状(代理人に頼む場合のみ)

代理人が申請する場合に添付します12。代表取締役が自分で申請するなら不要です。管外移転で代理人に頼む場合は、旧所在地宛て・新所在地宛ての2通の委任状が必要です2

管外移転は申請書2通|新所在地宛てに添付書類は不要

管轄をまたぐ移転では、新所在地宛ての登記申請を旧所在地の法務局を経由して行い、旧所在地宛ての申請と同時に提出します(商業登記法51条1項・2項)8。つまり申請書2通を、どちらも旧所在地の法務局に出します2

ここで重要なのが、新所在地宛ての申請書には、委任状(商業登記法18条の書面)を除いて添付書類が不要という点です(商業登記法51条3項)8。株主総会議事録や取締役会議事録は旧所在地宛ての1通にだけ付ければ足ります2。管外移転の手続き全体(経由申請の仕組み・却下のルール・完了までの流れ)は管轄外への本店移転登記の進め方をご覧ください。

印鑑届書は不要になりました(2025年4月21日〜)

かつて管外移転では新しい法務局への印鑑届書が必要書類の定番でしたが、2025年(令和7年)4月21日施行の商業登記規則改正(令和7年法務省令第10号)で提出不要になりました3。古い解説記事では必要書類に挙げられたままのことがあるので注意してください。印鑑カードの再交付など移転後に残る手続きの詳細は管轄外への本店移転登記の進め方で解説しています。

書類の綴じ方・契印のルール

書類がそろったら、法務局の記載例に沿って次の点を確認してください12

  • 契印: 登記申請書(収入印紙貼付台紙を含む)が複数ページになる場合は、各ページのつづり目に契印(けいいん。ページのまたぎ目に押す印)が必要です。契印は申請書に押した印鑑(法務局に提出した会社実印、代理申請なら代理人の印鑑)と同一の印鑑を使います12
  • 収入印紙: 登録免許税分の収入印紙は、収入印紙貼付台紙に割印をしないで貼ります12
  • 押印: 申請書には法務局に提出している印鑑(会社実印)を押します。代理人が申請する場合は代理人の認印で、代表取締役の押印は不要です12

よくある質問

Q. 定款変更が必要かどうか分かりません。 A. まず定款の本店条項を確認してください。法務局の記載例では、定款に本店の所在地として最小行政区画(市区町村)までを規定している場合、その範囲内の移転であれば株主総会の決議(定款変更)は不要とされています1。範囲の外へ移転する場合は定款変更が必要です。定款の書き方によって要否が変わるため、自社のケースが不明な場合は管轄の法務局や司法書士に確認してください。

Q. 株主リストには株主全員を書くのですか? A. いいえ。議決権割合の合計が3分の2に達するまでか上位10位までの、いずれか少ない人数で足ります1

Q. 印鑑届書や印鑑証明書は要りませんか? A. 管外移転でも、2025年4月21日から印鑑届書の提出は不要になりました3。管内移転では登記所が変わらないため印鑑の手続きは生じません。管外移転では印鑑カードだけ再交付の請求が必要です3

Q. 移転前に書類だけ先に出せますか? A. できません。本店移転の日より前に登記申請をすることはできません1。移転日以降、2週間以内に申請してください6

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参照法令・出典(確認日: 2026-07-15)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。必要書類は会社の機関設計や定款の定めによって異なる場合があります。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-15)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 法務局 株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内で移転する場合)記載例 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001364566.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

  2. 法務局 株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外に移転する場合)記載例 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252661.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

  3. 法務省 本店を管轄登記所外に移転する際の印鑑届書の提出が不要になりました https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00228.html 2 3 4

  4. 登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2

  5. 国税庁 タックスアンサーNo.7191 登録免許税の税額表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm 2

  6. 会社法27条3号・309条2項11号・348条2項・362条2項1号・466条・915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2 3 4 5

  7. 法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html

  8. 商業登記法51条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 2

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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