変更登記は司法書士に頼むべき?|自分でできるケースと判断基準

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先に結論です。株式会社の変更登記(本店移転・目的変更・役員変更などの登記)は、会社の代表者がご自身で申請できます。 法務局の案内でも、会社・法人の登記は代表者が会社・法人を代表して申請するものとされています1。一方、他人の依頼を受けて、登記申請の代理を業として行えるのは司法書士等に限られます(司法書士法3条1項1号・73条1項)23

つまり「自分で申請する」も「司法書士に依頼する」も、どちらも制度上正当な選択肢です。本記事は株式会社の一般的なケースを対象に、本人申請と司法書士への依頼を検討する際に一般的に考慮されている要素を整理します。

状況向いている進め方
変更の内容が少なく、法務局が公開している記載例に沿って書類を作成できる自分での申請(本人申請)も選択肢になる
期限に余裕があり、書類の準備をご自身で進められる自分での申請を検討しやすい
複数の変更を同時に申請する(役員変更+本店移転など)司法書士への相談を検討
種類株式(内容の異なる複数の株式)や役員の就退任など、権利関係の判断が絡む司法書士への相談を検討
期限が迫っている・補正対応などの負担を抑えたい司法書士への相談を検討

前提知識|登記申請には「本人申請」と「代理申請」があります

法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページには、申請人について次の説明があります1

会社・法人の登記においては、代表者(設立の登記については、会社・法人を代表することとなる者)が会社・法人を代表して登記の申請をします。 また、登記の申請は、代理人によってすることも認められています。その場合には、委任状が必要になります。(法務局)

代表者自身が申請するのが本人申請、代理人に委任して申請してもらうのが代理申請です。申請方法としては、オンライン申請と書面申請の2つがあります1

登記申請の代理を「業」にできるのは司法書士等だけです

では、誰でも代理人になれるのかというと、ここに司法書士法の線引きがあります。司法書士法3条1項は、司法書士の業務を次のように定めています2

司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。 一 登記又は供託に関する手続について代理すること。(司法書士法3条1項1号)

そして同法73条1項が、司法書士等以外の者によるこれらの業務を禁止しています3

司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。(司法書士法73条1項)

ポイントは、禁止されているのが「他人の依頼を受けて」「業とする」事務だという点です23。会社の代表者が自社の登記を申請する本人申請は、他人の依頼を受けた代理ではないため、この禁止の対象ではありません。法務局も、申請書様式と記載例を一般に公開して申請方法を案内しています4

自分で申請しやすい典型ケース

次のような条件がそろっているときは、本人申請を検討しやすいといえます。

  • 変更の内容が少ない。 例えば、変更する登記事項が1つだけのケースです。ただし、同じ種類の変更でも、決議の内容や定款の定めによって必要な確認事項は変わります
  • 法務局の記載例を参照して作成できる。 法務局は主な商業・法人登記について申請書様式と記載例を公開しており4、変更の内容が記載例に近い場合の参考になります
  • 期限に余裕がある。 変更登記の申請期限は、変更が生じたときから2週間以内です(会社法915条1項)5。起算日を含む詳しい数え方は期限の数え方の解説記事にまとめています
  • 添付書類が少なく、そろえ方がわかっている。 本店移転を例にした書類のそろえ方は本店移転登記の必要書類チェックリストが参考になります

なお、自分で申請する場合、書類に不備があると登記所(法務局)から連絡を受けて対応する「補正(ほせい)」が必要になることがあります6。補正の流れは登記の補正対応にまとめています。補正は制度として用意された通常の手続きですが、対応の手間と日数は見込んでおきましょう。

司法書士への相談を検討したい典型ケース

一方、次のような場合は、無理に自分で進めず、司法書士への相談を検討してください。

  • 複数の変更を同時に申請する場合。 役員変更と本店移転と目的変更を一度に行うなど、書類の組み合わせが増えるほど、整合性の確認が難しくなります
  • 権利関係の判断が絡む場合。 種類株式を発行している、役員の就任・退任の経緯が複雑、といったケースでは、前提となる法律関係の整理が必要です
  • 株主総会の決議要件に自信がない場合。 定款(会社の基本ルール)の変更は株主総会の決議で行い(会社法466条)7、この決議には原則として出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成という重い要件(特別決議)が課されています(会社法309条2項)8。定足数や賛成数の計算に不安があるときは、専門家の確認を受ける価値があります
  • 期限が迫っている・補正対応などの負担を抑えたい場合。 変更登記には2週間以内という期限があり、登記を怠ると100万円以下の過料(かりょう。裁判所から命じられる金銭の支払い)の対象になり得ます(会社法976条1号)9。期限や手続きの進め方に不安があるときは、早めに司法書士または管轄の法務局に確認してください

司法書士に依頼すると、登記申請の代理(司法書士法3条1項1号)だけでなく、法務局に提出する書類の作成(同2号)や、これらの事務についての相談(同5号)も業務として対応してもらえます2。決議の内容から書類一式まで通して見てもらえることが、依頼の大きな価値です。

報酬額は事務所や案件の内容によって異なります。依頼を検討する場合は、見積りで確認しましょう。自分で申請する場合と依頼する場合の費用面の全体像は、費用の比較記事で整理しています。

中間の選択肢|書類作成ソフトを使って本人申請する

「判断が必要な論点はないが、書類をゼロから作るのは不安」という場合には、書類作成ソフトを使って本人申請する方法もあります。当社のwiz法人登記もこの類型です。

この類型のサービスができるのは、入力内容を書式に反映して書類のひな形を組み立てる、機械的な作成補助までです。個別の事情を踏まえた法的判断や、申請の代理は行いません。申請はあくまで本人申請であり、内容の最終確認と法務局への提出はご自身で行うことになります。この線引きを明示しているサービスかどうかは、選ぶ際の一つの目安になります。

よくある質問

Q. 法務局は申請書の書き方を教えてくれますか? A. 法務局には「登記手続案内」の制度があります。例えば東京法務局では、完全予約制で、対面・電話・ウェブにより、登記申請に当たっての不明点を解消するための手続案内を受けられます10。ただし、これは登記手続についての質問・説明の場です10。どの決議が必要かといった個別の事情に踏み込む判断が必要な場合は、司法書士への相談を検討してください。

Q. 書類の作成だけ、など一部だけを司法書士に頼めますか? A. 司法書士の業務には、登記申請の代理のほかに、法務局に提出する書類の作成やその相談も含まれています(司法書士法3条1項)2。どの範囲で依頼できるか、費用がどうなるかは事務所によって異なるため、相談・見積りの際に確認してください。

Q. 本人申請だと審査で不利になりますか? A. 法務局の案内では、代表者による申請も代理人による申請も、いずれも認められた方法として説明されています1。分かれ目は誰が申請するかではなく、申請書と添付書類を不備なく用意できるかどうかです。不備があった場合の流れは登記の補正対応で説明しています。

自分で申請すると決めた方へ

判断の必要な論点がなく、自分で申請すると決めた方には、書類作成の負担を減らす選択肢があります。

wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、本店移転や目的変更などの変更登記に必要な株主総会議事録・株主リスト・登記申請書をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。なお、登録免許税などの実費は別途必要です。


参照法令・出典(確認日: 2026-07-18)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。自分で申請するか司法書士に依頼するかを含め、個別のケースの判断については、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-18)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 法務局 商業・法人登記の申請書様式(登記申請人及びその代理人) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2 3 4

  2. 司法書士法3条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197 2 3 4 5

  3. 司法書士法73条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197 2 3

  4. 法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2

  5. 会社法915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  6. 法務局 商業・法人登記の申請書様式(補正) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html

  7. 会社法466条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  8. 会社法309条2項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  9. 会社法976条1号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  10. 東京法務局 登記手続のご案内 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/category_00020.html 2

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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