結論から。商業・法人登記の申請方法には、オンライン申請と書面申請の2つがあります12。書面申請はさらに、法務局の窓口への持参と郵送に分かれるため3、実務上は「窓口」「郵送」「オンライン」の3択です。本記事は株式会社の一般的なケース(本店移転・目的変更・役員変更などの変更登記)を対象に、3つの方法の違いと選び方を整理します。
| 方法 | 必要な準備 | 受付・利用時間 | 申請日の扱い | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 窓口 | 紙の申請書+添付書類(収入印紙等) | 平日8時30分〜17時15分(業務取扱時間)42 | 業務取扱時間内に提出したその日 | 法務局が近く、直接出したい人 |
| 郵送 | 窓口と同じ紙一式+封筒(「登記申請書在中」と明記)3 | 受付は法務局の業務日 | 申請書が法務局に配達された日(配達日)を申請日とみなす扱い5 | 法務局が遠い人。期限に余裕がある人 |
| オンライン | 申請用総合ソフト+電子証明書(電子署名)26 | 平日8時30分〜21時(祝日・年末年始12/29〜1/3を除く)27 | 17時15分以降の送信は翌業務日の受付2 | 電子証明書を持っている人。今後も繰り返し申請する人 |
なお、株式会社の変更登記は、原則として変更が生じたときから2週間以内に申請する必要があります(会社法915条1項)8。期限の数え方は変更登記の期限の数え方で詳しく解説しています。
方法1: 窓口申請(法務局に持参する)
もっとも基本的な方法です。紙の登記申請書と添付書類(株主総会議事録・株主リストなど)を用意し、会社の本店所在地を管轄する法務局(登記所)に提出します。
- 法務局の業務取扱時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです4。なお、東京法務局は午前9時から午後5時までの「窓口対応時間」内の窓口利用を案内しています(2026年7月18日確認)4
- 法務省の案内でも、登記所での登記申請の受付時間は8時30分から17時15分までとされています2
- 土日祝日は申請できないため、平日に法務局へ行く時間を確保できることが前提です
書面申請には、通常の書面申請のほかに「QRコード(二次元バーコード)付き書面申請」という方法もあります。申請用総合ソフト(法務省が無料で提供する申請書作成ソフト)で申請書を作って印刷・提出する方式で、電子証明書がなくても利用でき、申請の処理状況をパソコンで確認できるといったオンライン申請と同様のメリットがあります19。
方法2: 郵送申請(法務局に送る)
商業・法人登記の申請は、郵送でもすることができます39。書類の中身は窓口申請とまったく同じで、管轄の法務局宛てに送るだけです。法務省の案内では、次の点が示されています3。
- 送付方法は郵送のほか、信書便等でも差し支えありません
- 普通郵便でも差し支えありませんが、できる限り到達の確認が可能な書留等で送付します
- 封筒の適宜の箇所に「登記申請書在中」と明記します
- 申請書には連絡先(電話番号等)を記載するよう案内されています
注意したいのは申請日の扱いです。東京法務局は、郵便等により登記申請をした場合、申請書が法務局に配達された日(配達日)を申請日とみなして登記完了予定日を確認するよう案内しています5。つまり、発送した日ではなく法務局に届いた日が基準になるため、2週間の期限が迫っているときは配達日数も見込んでおく必要があります。
申請後に不備があった場合の補正(訂正)も郵送等で対応できます3。申請後の流れと補正については登記完了までの日数と補正をご覧ください。
方法3: オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)
商業・法人登記は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を使ってオンラインで申請できます21。ただし、電子証明書や専用ソフトの準備といった事前準備が必要です。
- 申請書情報は「申請用総合ソフト」(システムで取り扱う手続の全てを行える無料のソフト9)などで作成し、システムに送信します26
- 申請書情報には、申請人またはその代理人の電子署名(電子証明書)を付与する必要があります210
- システムの利用時間は、平日(祝日・休日、年末年始12月29日〜1月3日を除く)の8時30分から21時までです(2026年7月18日確認)27
- ただし、登記所での申請の受付時間は8時30分から17時15分までで、17時15分以降に送信した申請書情報は翌業務日の受付になります2
- 添付書面は電子データで送信するほか、書面により提出・送付する方法も法務省の案内に示されています(その場合は申請番号を記載するか、内訳表を添付します)2
なお、Webブラウザだけで使える「かんたん登記・供託申請」というサービスもあります。ただし、このWebブラウザ方式で申請できる商業・法人登記の手続きは「役員の住所氏名変更登記申請」だけです(2026年7月18日確認)1110。本店移転などの変更登記には使えないため、オンラインで申請するなら申請用総合ソフトが前提です。オンライン申請の準備と流れの詳細は本店移転のオンライン申請ガイドで解説しています。
どれを選ぶべきか(判断の目安)
次の3つの軸で考えると選びやすくなります。
- 電子証明書を持っているか — 電子証明書(オンラインで本人確認をするための証明書)がなければ、オンライン申請はまず電子証明書の取得から始まります2。1回きりの変更登記のためだけに準備すると、かえって手間がかかることもあります
- 法務局までの距離 — 管轄の法務局が近ければ窓口、遠ければ郵送やオンラインが候補になります。法務局の窓口は平日日中しか開いていない点も考慮に入れてください4
- 期限までの残り日数 — 郵送は配達日が申請日とみなされる扱いのため5、期限が迫っている場合は、業務取扱時間内の窓口持参など、当日中に受付される方法を検討してください
まとめると、次のような整理になります。
- 窓口が向いている人: 法務局が近い。期限が迫っている。初めてで不安がある
- 郵送が向いている人: 法務局が遠い。平日に時間が取れない。期限に余裕がある
- オンラインが向いている人: 電子証明書をすでに持っている。今後も繰り返し申請する予定がある
どの方法でも「書類の中身」は同じ
窓口・郵送・オンラインのどれを選んでも、必要な書類の中身は変わりません。登記申請書と、変更内容に応じた添付書類(株主総会議事録・株主リストなど)を正しく作ることが出発点です12。申請書の具体的な書き方は本店移転登記申請書の書き方をご覧ください。
変更登記の書類づくりから始めるなら
wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、本店移転や目的変更などの変更登記に必要な株主総会議事録・株主リスト・登記申請書をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。なお、登録免許税などの実費は別途必要です。
よくある質問
郵送は普通郵便でもいいですか?
法務省の案内では、普通郵便によることも差し支えないものの、できる限り到達の確認が可能な書留等で送付するようにとされています3。申請書が法務局に届いたかどうかを追跡できるほうが安心です。詳細は管轄の法務局にご確認ください。
オンライン申請でも書類の郵送が必要になることはありますか?
あります。法務省の案内では、添付書面を書面により提出・送付する場合の方法(申請番号の記載、または内訳表の添付)が示されています2。添付書類をすべて電子データで用意できないケースでは、オンライン申請と書面の送付を組み合わせることになります。個別の要否は管轄の法務局または司法書士にご相談ください。
申請日はいつになりますか?
窓口は業務取扱時間内に提出したその日です。郵送は、申請書が法務局に配達された日(配達日)を申請日とみなす扱いが案内されています5。オンラインは、17時15分以降に送信すると翌業務日の受付になります2。期限との関係で申請日が重要な場合は、管轄の法務局にご確認ください。
参照法令・出典(確認日: 2026-07-18)
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。申請方法・受付時間・オンライン申請システムの仕様等は変更される場合があります。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-18)時点の法令・公表情報に基づきます。
Footnotes
-
法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2 ↩3
-
法務省 商業・法人登記のオンライン申請について https://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15
-
法務省 商業・法人登記の郵送申請について https://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI90/minji90.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
東京法務局 業務取扱時間・開庁日のお知らせ https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00071.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
東京法務局 【郵便により登記申請をされた場合】 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/case_post.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
登記・供託オンライン申請システム 申請用総合ソフトとは https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/whats/sogosoft/what_sogosoft.html ↩ ↩2
-
登記・供託オンライン申請システム トップページ(ご利用可能時間) https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/ ↩ ↩2
-
会社法915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 ↩
-
法務局 QRコード(二次元バーコード)付き書面申請について https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page8_000001_00016.html ↩ ↩2 ↩3
-
登記・供託オンライン申請システム 商業・法人登記手続 https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/toukinet/shogyo/shogyo.html ↩ ↩2
-
登記・供託オンライン申請システム オンラインによる申請・請求が可能な手続(手続ごとの申請方法一覧表・※4) https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/whats/tetsuzuki_list.html ↩
-
法務局 よくあるご質問等<商業・法人登記関係> https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/shougyou.html ↩
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。