変更登記をしないとどうなる?|過料100万円以下と放置リスク

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結論から。変更登記を怠ったときは、100万円以下の過料(かりょう。裁判所が金銭の支払いを命じるもの)の対象になります(会社法976条1号)1。ただし、期限を過ぎても登記の義務は消えないため、一般には今からでも速やかに申請することになります。

本記事は株式会社の一般的なケースを対象に、変更登記をしないまま放置すると何が起きるのかを、条文と法務局・法務省の公表情報に基づいて整理します。まず全体を早見表で確認してください。

項目内容
罰則はあるか100万円以下の過料の対象(会社法976条1号)1。過料は刑罰ではありません1
誰が科すのか裁判所です(非訟事件手続法119条)2。科すかどうか・金額は個別の判断
放置し続けると最後の登記から12年で休眠会社として「みなし解散」の対象(会社法472条)3
今からの対応登記義務は消えません。期限経過後の申請も、そのことだけでは却下されません4

変更登記は法律上の義務|期限は2週間以内

役員の交代や重任(任期満了後に同じ人が再び就任すること)、本店移転、商号や目的の変更など、登記している事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければなりません(会社法915条1項)5。法務局の案内でも、会社・法人の登記には登記すべき期間が法令で定められていると明記されています4。つまり「落ち着いたらやる」でよい任意の手続きではなく、期限付きの義務です。

2週間の起算日(数え始めの日)や数え方の詳細は、変更登記の期限の起算日と数え方で解説しています。また、目的変更に特化した期限の解説は目的変更登記はいつまでに申請するかをご覧ください。

過料とは何か|刑罰ではなく、裁判所が科すもの

会社法976条1号は、この法律の規定による登記をすることを怠ったときは100万円以下の過料に処すると定めています1。対象になるのは会社そのものではなく、取締役などの役員等です1。法務局の案内でも、過料に処される可能性があるのは「会社・法人の代表者」とされています4

過料の性質は、次の3点を押さえると誤解がありません。

  • 刑罰ではありません。 会社法976条には「その行為について刑を科すべきときは、この限りでない」というただし書があり、条文上、過料は刑(罰金などの刑罰)とは別のものとして扱われています1
  • 科すのは裁判所です。 過料事件(過料についての裁判の手続きに係る事件)は、当事者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が扱います(非訟事件手続法119条)2。行政機関が科すものではありません
  • 科すかどうか・金額は個別の判断です。 条文が定めるのは「100万円以下」という上限だけです1。裁判所は、過料の裁判に理由を付し、あらかじめ検察官の意見と当事者の陳述を聴いたうえで判断します(非訟事件手続法120条)2。金額の「相場」や科される確率を断定することはできません

期限を過ぎても申請できます|義務は消えません

「もう2週間を過ぎてしまったから手遅れでは」と考える必要はありません。法務局は、期限内に登記をせず後から申請するケースについて、期限を過ぎたという理由だけで申請が却下されることはないと案内しています4

ただし同じ案内は、期限後の申請であっても代表者が裁判所から100万円以下の過料に処される可能性は残る、という点もあわせて示しています4。後から申請すれば過料の可能性が当然に消えるわけではありませんが、登記を怠った状態を続けるほど、怠った期間は長くなっていきます。登記義務が消えない以上、取るべき対応は速やかな申請です。

放置し続けた場合|12年で「みなし解散」の対象になります

過料と並んで知っておきたいのが、休眠会社(きゅうみんがいしゃ)のみなし解散です。会社法472条は、登記が最後にあった日から12年を経過した株式会社を「休眠会社」とし、法務大臣が官報(国の機関紙)に公告した場合において、2か月以内に「事業を廃止していない」旨の届出をしないときは、その期間の満了の時に解散したものとみなすと定めています(期間内にその会社の登記がされたときを除く)3。公告があったときは、登記所(法務局)から会社宛てに通知も発せられます3

この整理作業は実際に行われています。令和7年度は、12年以上登記がされていない株式会社に対して官報公告と管轄登記所からの通知が行われ、期限までに必要な登記の申請または届出がない会社は登記官の職権でみなし解散の登記がされる、と法務省が案内しています6

この12年という期間の背景には、取締役の任期に関する会社法332条の規定があります。取締役の任期は、原則として選任後2年以内(公開会社でない株式会社では定款により最長10年以内まで伸長可)に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています(会社法332条1項・2項)7。法務省も、取締役の任期ごと、少なくとも10年に一度は役員変更(重任を含む)の登記がされるはずであることを、整理作業を行う理由として挙げています6。つまり、12年間登記が一度もない状態は、役員変更登記の懈怠(けたい。怠ること)を長期間放置した典型的な結果として生じます。

みなし解散に関して、あわせて押さえておきたい点が3つあります。

  • 「事業を廃止していない」旨の届出をしても、必要な登記の申請を行わない限り、翌年度も整理作業の対象になります6
  • 届出や登記申請でみなし解散を回避した場合でも、法務省の案内では、本来申請すべき時期に登記を怠っていた事実は解消されないため、100万円以下の過料の対象になるとされています6
  • 解散したものとみなされた株式会社は、みなし解散から3年以内に限り、株主総会の特別決議によって会社を継続できます(会社法473条)86。3年を経過した後は、会社法473条に基づく株主総会の決議による会社継続はできません

今からやること|3ステップ

登記を忘れていたことに気づいたら、手順は通常の変更登記と同じです。

  1. 変更内容の確認。 何の登記が漏れているかを洗い出します。最後にいつ登記をしたか不明な場合は、登記事項証明書等で確認する方法が法務省の案内でも紹介されています6
  2. 書類の作成。 変更の内容に応じて、株主総会議事録・株主リスト(株主の氏名や議決権数等を証する書面)・登記申請書などを作成します
  3. 申請。 本店所在地を管轄する法務局に申請します

複数の変更を放置していた場合、法務局の申請書様式には複数の変更をまとめて申請する形式のものも用意されています4。まとめ方の考え方は複数の変更登記を同時に申請して費用を抑える方法を、登録免許税など費用の全体像は変更登記の費用比較ガイドをご覧ください。

よくある質問

Q. 過料は実際にはいくら科されますか? A. 条文にあるのは上限の「100万円以下」だけで、具体的な金額の基準は書かれていません(会社法976条1号)1。科すかどうかを含めて裁判所が事件ごとに判断するものであり(非訟事件手続法119条・120条)2、事前に金額を見積もることはできません。個別の見通しについては、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。

Q. 過料はどうやって通知されるのですか? A. 過料は裁判所の裁判によって科されます。裁判には理由が付され、裁判所はあらかじめ検察官の意見と当事者の陳述を聴くこととされています(非訟事件手続法120条)2。手続きの具体的な流れが気になる場合は、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。

Q. 何年も前の変更を複数放置していました。今から全部申請できますか? A. 一般に、期限を過ぎても登記義務はなくならず、期限経過後の申請もそのことだけで却下されることはありません4。複数の変更をまとめて申請する様式も法務局から示されています4。どの変更をどうまとめるかの判断に迷う場合は、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。

変更登記の書類作成はオンラインで

放置していた期間を取り戻す第一歩は、書類を整えて申請することです。

wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、本店移転や目的変更などの変更登記に必要な株主総会議事録・株主リスト・登記申請書をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。なお、登録免許税などの実費は別途必要です。

期限の数え方をあらためて確認したい方は、変更登記の期限の起算日と数え方からどうぞ。


参照法令・出典(確認日: 2026-07-18)

免責

本記事は一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な手続きや過料の見通しの判断は、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。記載内容は確認日(2026-07-18)時点の法令・公表情報に基づいています。

Footnotes

  1. 会社法976条柱書・1号・ただし書(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2 3 4 5 6 7 8

  2. 非訟事件手続法119条・120条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000051 2 3 4 5

  3. 会社法472条(休眠会社のみなし解散・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2 3

  4. 法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2 3 4 5 6 7 8

  5. 会社法915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  6. 法務省 令和7年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html 2 3 4 5 6

  7. 会社法332条(取締役の任期・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  8. 会社法473条(株式会社の継続・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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