結論から。登記申請から完了までの日数は、各法務局が公表している「登記完了予定日」が目安になります(補正がある場合などを除く)1。 会社法が定める「2週間以内」は申請の期限であり、完了までの日数を約束するものではありません2。 そして、申請後に法務局から不備の連絡(補正の連絡)が来ても、それだけで申請が無効になるわけではありません。連絡に従って期限内に対応すれば、登記は完了に向かいます1。
本記事は株式会社の一般的なケースを対象に、申請「後」に起きること――完了までの日数の考え方、進捗の確認方法、補正・却下・取下げへの対応――を、法令と法務局の案内に基づいて解説します。まずは早見表からどうぞ。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 完了まで何日? | 管轄法務局が公表する「登記完了予定日」が目安(補正がある場合などを除く)1 |
| 進捗はどこで見る? | 管轄法務局ホームページの「登記完了予定日」タブ1。オンライン申請・QRコード付き書面申請なら処理状況をパソコンで確認可能1 |
| 完了前に証明書は取れる? | 原則、その会社の登記事項証明書・印鑑証明書は完了まで発行されません3 |
| 補正の連絡が来たら? | 登記所からの連絡に従って対応します。補正できる不備を登記官の定めた期間内に補正したときは、その不備を理由に却下されることはありません45 |
| 却下されることはある? | 却下事由は商業登記法24条に法定されています6。補正できる不備には補正の機会があります6 |
なお、変更登記の申請そのものの期限は、変更が生じた日から2週間以内です(会社法915条1項)2。期限の数え方は変更登記の期限の数え方で解説しています。
登記完了までの日数|「登記完了予定日」が目安
申請の期限(2週間以内)とは異なり、完了までの日数は一律の日数が決まっているものではありません。法務局は完了時期の見込みとして「登記完了予定日」を公表しており、法務局の案内でも、登記手続が完了する日はこの登記完了予定日が目安になると説明されています1。
ただし、目安が使えない場合が明示されています。法務局の案内では、補正がある場合や、管轄の法務局が変わる本店移転の場合などは除くとされています1。つまり、申請内容に不備があったり、2つの法務局をまたぐ手続だったりすると、公表されている予定日どおりには完了しないことがあります。
登記完了予定日は法務局ごとに公表されるものです。申請先の法務局が公表している日付を確認するのが確実な方法です。
登記完了予定日の確認方法
登記完了予定日は、登記申請を行った登記所(とうきしょ。登記事務を扱う法務局・支局・出張所)を管轄する法務局のホームページにある「登記完了予定日」のタブから確認できます1。
手順は次のとおりです。
- 法務局ホームページの管轄一覧から、申請した登記所を管轄する法務局のページを開く
- ページ内の「登記完了予定日」タブを開く
- 申請した登記所と受付日に対応する完了予定日を確認する
また、オンライン申請やQRコード(二次元バーコード)付き書面申請を利用した場合は、申請の処理状況をパソコンで確認できます1。オンライン申請では、登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)の処理状況照会で、申請に対する処理の進み具合を確認できます7。申請方法ごとの違いは変更登記の申請方法の比較にまとめています。
完了までの間にできないこと|証明書は原則発行されない
申請後、意外と困るのがこの点です。登記申請を行ってから登記所での手続が完了するまでの間、原則として、その会社の登記事項証明書・印鑑証明書は発行されません3。再び発行できるようになるのは、登記手続が完了したときです3。
融資や口座開設、契約などで証明書の提出予定がある場合は、申請前に必要な通数を取得しておくと、完了待ちの期間に手続が止まりません。なお、変更前の内容の証明書でよいかどうかは提出先の判断になるため、提出先に確認してください。
補正とは|不備があったときの法務局からの連絡と対応
補正(ほせい)とは、申請書や添付書面に不備があった場合に、登記官(登記所で登記事務を担当する職員)の指示に従って直すことです。
法務局の案内では、次のように説明されています。申請後、提出された申請書・添付書面について、必要な添付書面が不足している、記載した内容に誤りがあるといった不備があった場合には、登記所から申請人またはその代理人に連絡があります。連絡を受けた申請人・代理人は、その連絡に従って対応する必要があります。これが補正です4。
ポイントは2つです。
- 補正の連絡は「不合格通知」ではありません。 商業登記法24条ただし書により、不備が補正できるものである場合に、登記官が定めた相当の期間内に申請人が補正したときは、却下されません6。期間内に対応すれば申請は生きています。
- 連絡が来る前提として、申請書に日中つながる電話番号を書いておくことが大切です。 法務局は、申請書に申請人または代理人の電話番号(携帯電話番号でも可)を記載するよう案内しています1。
オンライン申請の場合の補正
オンラインで登記申請をした場合、申請書情報や添付書面情報に不備があると、登記所から「補正のお知らせ」が登記・供託オンライン申請システムに送信され、処理状況表示画面に「補正」ボタンが表示されます5。事案によっては、登記所の職員から電話で直接不備の内容を伝えられる場合もあります5。
補正の方法には、オンラインによる方法と書面による方法があります5。オンラインで補正する場合は、申請用総合ソフトの補正書様式で補正情報を作成し、電子署名をしてシステムに送信します5。
なお、登記官の定めた期間内に不備が補正されない場合は、その登記申請は却下されます5。補正の連絡を受けたら、まず期限を確認し、期限内の対応が難しそうなときは早めに登記所に相談してください。
却下と取下げ|補正で直せないときの2つの結末
却下は商業登記法24条に事由が法定されている
登記官が申請を却下(きゃっか。申請を退けること)できるのは、どんな場合でも自由に、ではありません。商業登記法24条は、管轄違い、必要な書面の添付がないこと、申請書の記載が添付書面や登記簿と合致しないこと、登録免許税を納付しないことなど、却下事由を各号で法定しています6。登記官は、これらの事由がある場合に、理由を付した決定で申請を却下しなければならないとされています6。
同時に、同条ただし書は、不備が補正できるものであれば、登記官が定めた相当の期間内の補正により却下を免れることを定めています6。つまり「不備=即却下」ではなく、直せる不備にはまず補正の機会がある、というのが法律の建て付けです。
取下げという選択肢
申請人の側から申請を取り下げる(取下げ)こともできます5。法務省の案内では、不備がある登記申請について、申請人から取下げをすることもでき、取下げがされない場合には登記官が却下することになる、と説明されています5。
取下げを選ぶ場面として、法務省の案内は、不備を登記官の定める期間内に補正できない場合や、不備の性質上補正できない場合(例: 登記所の管轄を誤って申請した場合)を挙げています5。また、登記が完了するまでは、申請の意思を撤回して取り下げることもできます5。取下げの方法にも、オンラインによる方法と書面による方法があります5。
補正・却下・取下げの関係を整理すると次のとおりです。
| 状況 | 帰結 |
|---|---|
| 不備なし | 登記完了予定日を目安に完了1 |
| 補正できる不備 → 期間内に適切に補正 | その不備を理由とする却下は回避され、審査が続く6 |
| 補正できる不備 → 期間内に補正しない | 却下される5 |
| 補正できない不備(管轄違いなど) | 取下げをするか、取下げがなければ却下5 |
完了したかどうかの確認方法
法務局の案内によると、登記完了予定日まで登記所から連絡がない場合には、補正等がなく登記手続が完了したことになります1。「連絡がないこと」が完了のサインです。
完了後は、その会社の登記事項証明書・印鑑証明書が再び発行できるようになります3。変更後の内容が記載された登記事項証明書を取得すれば、登記が反映されたことを書面でも確認できます。完了後に必要になる税務署・年金事務所などへの届出は本店移転登記が完了した後の手続きにまとめています。
FAQ|よくある質問
Q. 補正の連絡はどうやって来ますか?
A. 書面申請の場合、登記所から申請人または代理人に連絡があります。申請書に記載した電話番号が使われるため、日中つながる番号を書いておいてください14。オンライン申請の場合は、補正のお知らせが登記・供託オンライン申請システムに送信されるほか、事案によっては電話連絡もあります5。
Q. 補正になったら完了は遅れますか?
A. 公表されている登記完了予定日は「補正がある場合などを除く」目安です1。補正がある場合はこの目安の対象外になるため、当初の予定日どおりに完了するとは限りません。個別の完了時期は申請先の登記所にご確認ください。
Q. 急いで完了させたい場合はどうすればよいですか?
A. 申請後に完了を早める制度的な手段について、法務局の一般的な案内には記載がありません。申請前に書類を十分に確認して不備を減らすことが、補正の可能性を下げることにつながります。申請書の書き方は本店移転登記申請書の書き方を参考にしてください。個別の事情がある場合は、管轄の法務局または司法書士にご相談ください。
申請前の書類の精度が、完了までの近道です
補正も却下も、出発点は申請書類の不備です。申請前に書類の整合性を確認しておくことが、完了の遅れを避けるうえで重要です。
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参照法令・出典(確認日: 2026-07-18)
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-18)時点の法令・公表情報に基づきます。
Footnotes
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法務局 商業・法人登記の申請書様式(登記完了予定日・登記中の注意・チェックポイント) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14
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会社法915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 ↩ ↩2
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法務局 商業・法人登記の申請書様式「4 登記中の注意」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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法務局 商業・法人登記の申請書様式「5 補正」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2 ↩3
-
法務省 商業・法人登記のオンライン申請について「6 補正・取下げ」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14
-
商業登記法24条(申請の却下・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
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登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)処理状況照会 https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/ ↩
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。