結論を先に4つ書きます。
1つ目。取締役の任期は、原則として「選任後2年以内に終了する事業年度」のうち、最終のものに関する「定時株主総会の終結の時」までです(会社法332条1項本文)1。「就任から2年」ではなく、ゴールは定時株主総会に置かれています。
2つ目。この任期は、定款または株主総会の決議のどちらでも短縮できます(同項ただし書)1。一方、伸長できるのは公開会社でない株式会社が定款で定めた場合だけで、上限は「選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時」です。監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社はこの伸長の対象から外れています(同条2項)1。
3つ目。監査役の任期は選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで(336条1項)、公開会社でない会社が定款で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長できる点は取締役と同じですが、取締役にある「定款または株主総会の決議で短縮できる」というただし書が監査役にはありません(同条)2。
4つ目。任期が満了すると取締役は退任し、続けてもらうなら株主総会で改めて選任します。同じ人が続いても登記事項は変わるため、変更が生じた日から2週間以内に変更の登記を申請します(915条1項)3。法務省も、再任の場合でも役員変更の登記が必要であると案内しています4。
扱う範囲を先に断っておきます。以下は株式会社の取締役の任期を、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社以外の会社を中心に説明します(両者は332条3項〜6項で別の定めがあり、該当箇所で触れます)。任期を変えるための定款変更の手続きは定款変更の手続き、任期満了後の重任登記の書類は重任とは、役員変更登記の全体は役員変更登記のやり方で扱っています。
| 迷いやすい点 | 会社法332条・関連条文が定めていること |
|---|---|
| 原則の任期 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(332条1項本文)1 |
| 短くできるか | できる。定款または株主総会の決議による(332条1項ただし書)1 |
| 長くできるか | 公開会社でない株式会社が、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除き、定款によって、選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長できる(332条2項)1 |
| 「公開会社でない」とは | 発行する全部の株式について譲渡による取得に会社の承認を要する旨を定款で定めている会社(2条5号の反対)5。法務省は、株式を市場に公開しているかどうかは関係ないと注記している4 |
| 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社 | 監査等委員でない取締役・指名委員会等設置会社の取締役は「2年」が「1年」に置き換わる(332条3項・6項)。監査等委員である取締役は1項ただし書による短縮の対象外(同条4項)1 |
| 途中で就任した取締役 | 条文上は同じ数え方。定款で前任者・他の在任取締役の残任期に合わせる定めを置くことができる(1項ただし書の短縮の一形態)。定めがなければ原則どおり1 |
| 定款変更で任期が切れる場面 | 監査等委員会・指名委員会等を置く/置く定めを廃止する定款変更、譲渡制限の定めを廃止する定款変更の効力発生時(332条7項)1 |
| 監査役との違い | 監査役は原則4年・公開会社でない会社は定款で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長可・短縮の規定なし(補欠監査役の例外のみ)(336条1項〜3項)2 |
| 任期満了後 | 退任。員数を欠くときは後任が就任するまで権利義務を有する(346条1項)6。改選のうえ2週間以内に変更登記(915条1項)3 |
会社法332条を7項まで読む
任期の話が食い違うのは、多くの解説が332条の1項・2項だけを引いて終わるためです。条文は7項あり、それぞれが違う場面を受け持っています1。
| 項 | 誰の・何の定めか | 内容 |
|---|---|---|
| 1項本文 | 取締役全般の原則 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで |
| 1項ただし書 | 短縮 | 定款または株主総会の決議によって任期を短縮することを妨げない |
| 2項 | 伸長 | 公開会社でない株式会社は、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除き、定款によって、選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない |
| 3項 | 監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員を除く) | 1項の「2年」を「1年」と読み替える |
| 4項 | 監査等委員である取締役 | 1項ただし書(短縮)を適用しない |
| 5項 | 補欠の監査等委員である取締役 | 定款によって、満了前に退任した監査等委員の補欠者の任期を、退任者の任期が満了する時までとすることを妨げない |
| 6項 | 指名委員会等設置会社の取締役 | 1項の「2年」を「1年」と読み替える |
| 7項 | 定款変更による任期満了 | 監査等委員会・指名委員会等を置く旨の定款変更、その定めを廃止する定款変更、譲渡制限の定めを廃止する定款変更をした場合、取締役の任期はその定款変更の効力が生じた時に満了する |
この表から読み取れる構造は3つです。
- 原則は1項本文、それを短くする道が1項ただし書、長くする道が2項。短縮と伸長で条件が違う(次節)。
- 3項〜6項は監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社の特則。これらの会社では原則が1年になり、監査等委員である取締役は逆に短縮できない。
- 7項は「任期の途中でも定款変更で任期が切れる」場面。会社の機関設計や株式の譲渡制限を変えると、在任中の取締役の任期がそこで満了する。
「選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時」の読み方
条文の言い回しを3つの部品に分けると読めます1。
- 起算は「選任後」。株主総会で選任された時から数え始めます(就任承諾の日や登記の日ではありません)。
- **「2年以内に終了する事業年度のうち最終のもの」**を探す。選任の時から2年の線を引き、その線までに終了する事業年度を並べて、いちばん後ろのものを取ります。判定の対象は事業年度の終了日であって、株主総会の開催日ではありません。
- **その事業年度に関する「定時株主総会の終結の時」**が満了の時。定時株主総会は毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないとされています(296条1項)7。
つまり、任期は「日付」ではなく「特定の定時株主総会が終わる瞬間」で切れます。選任からちょうど2年後の日に何かが起きるわけではありません。
事業年度の途中で就任した取締役
途中就任でも条文の数え方は変わりません。変わるのは結果です。事業年度の終わりに近い時期に選任されると、「2年以内に終了する事業年度」が実質1年分と少ししか入らないため、満了は選任から2年より手前に来ます。逆に事業年度の初めに選任されると、2年に近い長さになります。
計算の一般例を1つだけ置きます(12月決算・任期は原則の2年・定款に補欠増員の任期調整の定めがない・定時株主総会は毎年3月に開くと仮定)。
| 部品 | 当てはめ |
|---|---|
| 選任 | 2025年5月の臨時株主総会 |
| 2年の線 | 2027年5月 |
| 線までに終了する事業年度 | 2025年12月期・2026年12月期。最終は2026年12月期 |
| 満了 | 2026年12月期に関する定時株主総会(仮定では2027年3月)の終結の時 |
この例では、選任から約1年10か月で任期が満了します。ここで示したのは条文の当てはめ方であり、決算期・定時株主総会の開催時期・定款の定めは会社ごとに異なります。決算期や選任時期を入れ替えた別の例と、日付から満了日を見積もる手順は重任とはで扱っています。自社の取締役の満了時期を確定させる作業は、選任決議の議事録と選任当時からの定款を揃えたうえで、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。
短縮と伸長は条件が違う
短縮|定款でも、株主総会の決議でも
332条1項ただし書は、定款または株主総会の決議によって任期を短縮することを妨げないとしています1。手段が2つある点が重要です。定款に短い任期を書いておく方法と、選任のたびに株主総会の決議で「この取締役の任期は○○まで」と定める方法のどちらも条文上は認められています。
伸長|公開会社でない会社が、定款で
これに対して2項は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)が、定款によって、選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げないとしています1。条文が挙げている条件は3つです。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 会社の属性 | 公開会社でないこと。公開会社とは、発行する全部または一部の株式について譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない会社です(2条5号)5。全株式に譲渡制限が付いていれば「公開会社でない」に当たります。法務省は、株式を市場に公開しているかどうかは関係ないと注意書きを付けています4 |
| 機関設計 | 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社でないこと1 |
| 手段 | 定款で定めること。株主総会の決議だけで伸ばす道は2項に書かれていません1 |
| 上限 | 選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで1 |
短縮は「定款または株主総会の決議」、伸長は「定款のみ」。この非対称が、任期の設計で最初に押さえる点です。任期を伸ばすには定款変更、すなわち株主総会の特別決議が必要になります(466条・309条2項11号)8。手続きは定款変更の手続きで扱っています。
補欠・増員で選任された取締役の任期
任期の途中で取締役を追加したり、退任者の後任を選んだりすると、そのままでは取締役ごとに任期満了の時期がばらばらになります。そこで、定款に「補欠または増員として選任された取締役の任期は、前任者または他の在任取締役の任期の満了する時までとする」といった趣旨の定めを置く会社があります。この定めは、332条1項ただし書が認める「定款による任期の短縮」の一形態として位置づけられるものです1。
押さえておきたいのは次の2点です。
- 定款にこの定めがなければ、補欠・増員の取締役の任期も原則どおり(選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで)です1。定款を見ずに「他の取締役と同時に満了する」と扱うことはできません。
- 取締役については、株主総会の選任決議の中で任期を短く定めることも1項ただし書の範囲に入ります1。定款に定めがない場合に決議で調整するという道が条文上はあります。
なお、あらかじめ「補欠の役員」を選任しておく制度は329条3項に定められています(役員が欠けた場合または法律・定款で定めた員数を欠くこととなるときに備えて、法務省令で定めるところにより選任できる)9。監査等委員である取締役の補欠については332条5項に、監査役の補欠については336条3項に、それぞれ「退任した者の任期の満了する時まで」とする定款の定めを置けることが別に書かれています12。
定款変更で任期が満了する3つの場面(332条7項)
一般の解説で落ちやすいのが7項です。次の定款変更をすると、在任中の取締役の任期は、その定款変更の効力が生じた時に満了します1。
- 監査等委員会または指名委員会等を置く旨の定款変更
- 監査等委員会または指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款変更
- 発行する株式の全部の内容として譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款変更(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社がするものを除く)
1と2は機関設計の切替えです。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では取締役の任期の原則が1年に変わる(3項・6項)ため、切替えの時点で在任取締役の任期をいったん満了させ、新しい機関設計のもとで選び直す構造と読めます。3は、譲渡制限を外して公開会社になる場面です。2項の伸長は公開会社でない会社にしか認められていないため、公開会社になる時点で在任取締役の任期を終わらせる組み立てと読めます。
これらの定款変更をしたときは、任期満了に伴う退任と、必要なら新たな選任の登記が発生します。任期が満了していないつもりでいても、7項に当たる定款変更の効力発生時に任期は終わっています。
同じ仕組みは監査役にもあります。336条4項は、監査役を置く旨の定めの廃止、監査等委員会または指名委員会等を置く旨の定款変更、監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定めの廃止、譲渡制限の定めの廃止の4つの定款変更で、監査役の任期が満了するとしています2。会計参与についても、会計参与を置く旨の定めを廃止する定款変更で任期が満了します(334条2項)10。
監査役・会計参与の任期との対比
「役員の任期」とひとくくりに語られますが、取締役と監査役では条文の作りが違います12。
| 項目 | 取締役(332条) | 監査役(336条) |
|---|---|---|
| 原則 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(1項本文) | 選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(1項) |
| 短縮 | 定款または株主総会の決議で可(1項ただし書) | 一般的な短縮の規定なし。定款で置けるのは補欠監査役の任期に関する定め(前任者の任期の満了する時までとする・3項)に限る |
| 伸長 | 公開会社でない会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)が定款で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(2項) | 公開会社でない会社が定款で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(2項)。機関設計による除外の括弧書きはない |
| 定款変更による満了 | 7項の3場面 | 4項の4場面 |
監査役の任期を短くできないのは、監査する側の地位を株主総会の都度の決議で不安定にしないための設計と読めますが、本記事では条文の差だけを示します。実務上の帰結は、取締役と監査役の両方を置く会社では、原則の任期のままなら任期満了の時期が別々に来ることです。それぞれの満了時に登記が発生します。
会計参与の任期については、334条1項が332条(4項・5項を除く)を準用しています。原則2年・短縮可・公開会社でない会社は定款で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長可、という取締役と同じ骨格です10。
任期が満了したら何が起きるか|346条→改選→915条
任期満了後の流れは、条文を3つつなぐと1本の線になります。
1. 任期満了で退任する。ただし員数を欠くときは権利義務が続く
定時株主総会の終結の時に任期が満了すれば、その取締役は退任します。法務省の案内も、代表取締役の地位は取締役の地位に基づくものであるため、取締役の任期が満了した代表取締役は代表取締役としても退任するとしています4。
ここで346条1項が働く場面があります。役員が欠けたとき、または法律・定款で定めた役員の員数を欠くことになったときは、任期満了や辞任で退任した役員が、後任者の就任までなお役員としての権利義務を持ち続けます6。取締役が1人の会社で、その取締役の任期が満了したまま後任を選んでいない、という状態が典型です。この場合、その人は「退任したが権利義務は続いている」という状態になり、後任の就任まで会社の運営から外れるわけではありません。裁判所が利害関係人の申立てにより一時役員の職務を行うべき者を選任できる仕組みも同条2項にあります6。
346条1項が働くと、登記の原因年月日として何をどう書くかは任期満了の日そのままとはならない場合があります。任期満了の日と登記の起算がずれうる点は、重任とはと役員変更登記のやり方で扱っています。
2. 株主総会で改選する
取締役は株主総会の決議で選任します(329条1項)9。決議の要件は、309条1項の普通決議の一般則ではなく341条の特則で、議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上の割合まで軽減可)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数(定款で加重可)をもって行います9。任期満了と同時に同じ人を選び直すのが「重任」、別の人を選ぶのが退任と就任です。任期満了を迎える定時株主総会で改選の決議を行うのが通常の流れですが、決議の時期や方法は会社の事情によります。
株主総会を開かずに、取締役または株主の提案に対して、議決権のある株主の全員が書面か電磁的記録で同意の意思表示をしたときに、その提案を可決する決議があったものとみなす道(319条1項)11もあります。この経路の詳細は定款変更の手続きで扱っています。
3. 2週間以内に変更の登記をする
取締役の氏名は登記事項(911条3項13号)であり、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければなりません(915条1項)3。法務省は、株式会社の場合は役員の任期満了から2週間以内に役員変更の登記をする必要があり、再任の場合でも登記事項に変更が生じているため登記が必要である(登記上は「重任」という)と案内しています4。
登記を怠ったときは、取締役等が100万円以下の過料に処される可能性があります(976条1号)12。法務局の案内も、期間内に登記を怠った後の申請がそれだけで却下されることはないとしつつ、代表者に対して裁判所が100万円以下の過料を科す可能性に触れています13。重任の添付書類(印鑑証明書・本人確認証明書が不要になる条文上の理由)は重任とは、新任の就任承諾書は就任承諾書の書き方、退任者が辞任する場合の辞任届は辞任届の書き方、2週間の数え方は変更登記の期限は2週間、過料の詳細は変更登記をしないとどうなる?で扱っています。
任期を伸長するかを考えるときの材料
任期を何年にするかは会社の事情による判断で、本記事はどちらが良いとは書きません。条文と法務省の案内から読み取れる材料だけを並べます。
- 登記の回数。任期が長いほど、任期満了に伴う登記(重任・退任・就任)の回数は減ります。登記は変更が生じるたびに2週間以内に必要です(915条1項)3。
- 休眠会社のみなし解散との距離。株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過した会社は「休眠会社」とされ、法務大臣の官報公告から2か月以内に事業を廃止していない旨の届出も登記もしないと、期間満了の時に解散したものとみなされます(472条1項)14。全国の法務局で毎年この整理作業が行われており15、法務局の案内も最後の登記から12年を経過している株式会社がみなし解散の登記の対象になると注記しています13。2項の上限近くまで任期を伸長して運用すると、次の登記までの間隔がこの12年に近づきます。
- 任期途中の解任との関係。役員は株主総会の決議でいつでも解任できます(339条1項)が、解任された者は、正当な理由がある場合を除き、解任によって生じた損害の賠償を会社に請求できると同条2項が定めています16。任期を長く設定すると、任期の途中で交代させる場面にこの条文が関わりうることは、条文の存在として押さえておく点です。個別の場面でどう働くかは司法書士または弁護士にご相談ください。
- 株式の譲渡制限との連動。2項による伸長は公開会社でない会社に限られ、譲渡制限を外す定款変更をすると在任取締役の任期はその時点で満了します(332条2項・7項3号)1。
FAQ|よくある質問
Q. 取締役の任期は2年と決まっているのですか。
A. 原則は選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時までですが、定款または株主総会の決議で短縮でき、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)は定款で選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長できます(332条1項・2項)1。「10年」は暦の上の上限ではなく、選任から10年以内に終了する最終の事業年度の定時株主総会の日で切れるため、総会の日によっては選任から10年を超えることも手前に来ることもあります。実際の任期は、まず自社の定款の任期条項を確認して判断することになります。
Q. 株主総会の決議だけで任期を伸ばせますか。
A. 332条2項が伸長の手段として挙げているのは「定款によって」です1。株主総会の決議で任期を変えられると書かれているのは、1項ただし書の短縮の場面です1。伸長するには定款変更(株主総会の特別決議)を経ることになります8。
Q. 取締役1人の会社で、任期満了後に何もしていません。会社はどうなりますか。
A. 役員が欠けたときは、任期満了で退任した役員も、後任者が就任するまでなお役員としての権利義務を持つとされています(346条1項)6。登記については、346条1項が働く場合、任期満了の日だけで退任の登記の期限が進み始めるとは限らず、後任者の就任などによって登記できる変更が生じた時点が問題になります(本文「1. 任期満了で退任する」の節)。長期に放置すると、最後の登記から12年で休眠会社の整理作業の対象になる旨を法務省が案内しています415。どの日付で何を登記するかは事情によるため、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。
Q. 監査役の任期も定款で2年に短くできますか。
A. 336条には、取締役の332条1項ただし書に当たる一般的な短縮の規定がありません。同条3項が定款で置けるとしているのは、満了前に退任した監査役の補欠者について、その任期を前任の監査役の任期が満了する時までとする定めです2。
Q. 取締役会設置会社と非設置会社で任期は違いますか。
A. 332条は、取締役会の有無では任期を区別していません。任期の原則が変わるのは監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社(3項・6項で1年)で、伸長の可否を分けるのは公開会社かどうかです(2項)1。
Q. 定款で任期を伸ばしたら、今の取締役の任期も伸びますか。
A. 会社法332条は、任期を変える定款変更が在任中の取締役に及ぶかどうかを直接には定めていません1。定款変更の効力発生時期の定め方や登記実務上の取扱いに関わる論点であるため、本記事では扱いません。任期満了を迎える定時株主総会で任期を伸ばす定款変更をする場合は特に、司法書士または管轄の法務局に確認のうえ進めてください。
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取締役の任期満了に伴う役員変更登記(重任・退任・就任)の書類作成には対応していません。また、取締役会設置会社・監査役設置会社にも対応していません17。ご自身で作成する場合は、法務省・法務局が公開している申請書様式1-7〜1-10-1と記載例4を参照できます(司法書士に依頼する選択肢もあります)。任期満了の定時株主総会にあわせて本店移転や目的変更も予定している場合、その2つの登記に必要な株主総会議事録・株主リスト・登記申請書の作成にご利用いただけます。
参照法令・出典(確認日: 2026-09-02)
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。株式会社の取締役の任期を中心に扱っており、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社については該当箇所で触れた特則のほかにも手続きが異なる点があります。自社の取締役の任期満了時期の判定、任期を何年に設定するかの判断、任期途中の解任に関する事項は、司法書士または弁護士、管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-09-02)時点の法令・公表情報に基づきます。
Footnotes
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会社法332条1項〜7項(取締役の任期。原則・定款または株主総会の決議による短縮・公開会社でない株式会社の定款による十年伸長・監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社の読替え・監査等委員の短縮除外・補欠監査等委員・定款変更による任期満了)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_332 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20 ↩21 ↩22 ↩23 ↩24 ↩25 ↩26 ↩27 ↩28
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会社法336条1項〜4項(監査役の任期・定款による伸長・補欠監査役・定款変更による任期満了)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_336 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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会社法911条3項13号(取締役の氏名は登記事項)・915条1項(変更の登記・二週間以内)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_915 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」(株式会社の役員の任期・公開会社の注記・代表取締役の地位は取締役の地位に基づく・任期満了から2週間以内・申請書様式1-7〜1-10-1・12年で休眠整理作業の対象) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00091.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
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会社法2条5号(公開会社の定義)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_2 ↩ ↩2
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会社法346条1項・2項(役員等に欠員を生じた場合の措置・なお役員としての権利義務を有する・一時役員の職務を行うべき者)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_346 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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会社法296条1項(定時株主総会は毎事業年度の終了後一定の時期に招集)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_296 ↩
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会社法466条(定款の変更・株主総会の決議)・309条2項11号(特別決議)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_466 ↩ ↩2
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会社法329条1項・3項(役員の選任・補欠の役員の選任)・341条(役員の選任および解任の株主総会の決議の要件)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_341 ↩ ↩2 ↩3
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会社法334条(会計参与の任期・332条の準用・定款変更による任期満了)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_334 ↩ ↩2
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会社法319条1項(株主総会の決議の省略・株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは可決する決議があったものとみなす)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_319 ↩
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会社法976条1号(登記をすることを怠ったときは百万円以下の過料)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_976 ↩
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法務局「商業・法人登記の申請書様式」内「商業・法人登記申請の注意事項」(登記すべき期間・過料・最後の登記から12年を経過している株式会社はみなし解散の登記の対象) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2
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会社法472条1項(休眠会社のみなし解散・登記が最後にあった日から十二年)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_472 ↩
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法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」(毎年の整理作業・公告から2か月・みなし解散の登記) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00082.html ↩ ↩2
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会社法339条1項・2項(解任・正当な理由がある場合を除き損害の賠償を請求できる)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_339 ↩
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wiz法人登記 サービス仕様(当社確認 2026-08-24: 対応は株式会社の本店移転・目的変更の書類作成。役員変更・取締役会設置会社・監査役設置会社は非対応) https://app.wiztouki.com ↩
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。