役員変更登記のやり方|必要書類・費用・期限を法務局の様式で確認する

18分で読める

結論から。取締役・監査役・代表取締役に変更があったときは、変更が生じた日から2週間以内に、本店の所在地で役員変更登記を申請します(会社法915条1項)1 登録免許税は1件につき3万円、資本金の額が1億円以下の会社は1万円です(登録免許税法 別表第一24号(一)カ)2

ただし「役員変更登記」はひとつの決まった手続きではありません。法務局が公開している申請書の記載例は、株式会社の役員変更だけで7種類に分かれています3。何が起きたか(就任・退任・重任・氏名や住所の変更)と、その会社が代表取締役をどう決めているかによって、使う様式も添付書類も変わるためです。

本記事は株式会社の一般的なケース(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)を対象に、様式や添付書類が分かれる要素・必要書類・費用・期限を、法令と法務局の様式に基づいて整理します。なお必要書類の説明は取締役・代表取締役・監査役を対象としており、会計参与・会計監査人に固有の添付書類(資格証明書や法人の登記事項証明書など)は扱いません。

知りたいこと答え
期限変更が生じた日から2週間以内(会社法915条1項)1
登録免許税1件につき3万円。資本金の額が1億円以下の会社は1万円2
どの様式を使う?何が起きたか×代表取締役の決め方で決まる(下の判定表)3
就任のときの共通書類就任を承諾したことを証する書面(商業登記法54条1項)4
退任のときの共通書類退任を証する書面(商業登記法54条4項)4
株主総会の決議が要る場合株主リストの添付が必要(商業登記規則61条3項)5
期限を過ぎたら申請はできます。ただし代表者に100万円以下の過料の可能性(会社法976条1号)67

役員変更登記が必要になる場面

会社法上の「役員」は、取締役・会計参与・監査役を指します(会社法329条1項)8。これらの人と代表取締役について登記されている事項が変わったときが、役員変更登記の場面です。

場面何が起きているか
就任株主総会の決議で新たに選任された(会社法329条1項)8
任期満了・重任任期が満了して退任し、同じ人が再び選任された
辞任本人の意思で退任した
解任株主総会の決議で解任された(会社法339条1項)9。なお同条の対象は役員(取締役等)で、取締役の地位は残したまま代表取締役の地位だけを解く「解職」は別の手続きです
死亡死亡により退任した
氏名の変更登記されている氏名が変わった
住所の変更代表取締役として登記されている住所が変わった

このうち**任期満了と同時に同じ人が再び選任される「重任」**は、人が入れ替わっていないため見落とされやすい場面です。取締役には会社法332条1項が定める任期があり10、それが満了すれば登記が必要になります。任期の数え方、重任の仕組み、そして重任のときに添付書類が軽くなる理由は重任とは|任期満了で同じ役員が続けるときの登記で扱っています。

登記されている住所が変わった場合は、様式1-5「役員変更登記申請書(住所移転)」を使います3。役員のうち住所が登記されるのは代表取締役で、記載例1-7の「登記すべき事項」でも「住所」の欄があるのは代表取締役だけです11。会社の本店の移転とは別の登記になります。詳しくは代表取締役の住所変更登記とはをご覧ください。

様式が分かれる2つの要素

法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページには、株式会社の役員変更として次の記載例が掲載されています3

様式場面
1-5役員の住所移転
1-6役員の氏名変更
1-7取締役会設置会社で、役員の全員が重任
1-8取締役会を設置していない会社で、取締役全員が各自会社を代表する場合または株主総会で代表取締役を選定する場合に、役員の全員が重任
1-9取締役会を設置していない会社で、互選により代表取締役を選定する場合に、役員の全員が重任
1-10辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合
1-10-1辞任等により新たな役員(監査役)が就任した場合

ここで注目したいのは、「全員が重任」というひとつの場面が1-7・1-8・1-9の3つに割れていることです。分かれ目は、その会社が代表取締役をどうやって決めているかです。

  • 1-7: 取締役会設置会社(取締役会の決議で代表取締役を選定する場合の記載例)
  • 1-8: 取締役会を設置していない会社で、取締役が各自会社を代表する、または株主総会で代表取締役を選定する場合
  • 1-9: 取締役会を設置していない会社で、取締役の互選により代表取締役を選定する場合

取締役会を設置していない株式会社では、定款、定款の定めに基づく取締役の互選、または株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができるとされています(会社法349条3項)12。他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合を除き、取締役が株式会社を代表します(同条1項・2項)12。定款で直接代表取締役を定めている会社もあり、その場合は定款が選定を証する書面になります13

これらの記載例は代表的な組み合わせを想定したものです。自社が採っている方法は定款で確認でき、定款の内容によっては記載例と扱いが変わることがあります。判断に迷う場合は管轄の法務局または司法書士にご確認ください。

整理すると、「何が起きたか」と「代表取締役をどう決めているか」の2つの要素で、様式と添付書類が決まる形になっています。

必要書類|機関設計で変わる

変更内容に応じて確認する主な書類

書類根拠
登記申請書法務局の様式3
就任を承諾したことを証する書面(就任承諾書)取締役・監査役・代表取締役・特別取締役の就任による変更の登記の申請書に添付しなければならないとされています(商業登記法54条1項)4。会計参与・会計監査人は同条2項で別に定められています4
退任を証する書面(辞任届・死亡届など)退任による変更の登記の申請書に添付しなければならないとされています(商業登記法54条4項)4
株主リスト登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合に添付します(商業登記規則61条3項)5
委任状代理人に申請を委任した場合のみ11

株主リストは、議決権割合の上位から10名、または議決権割合を多い順に加算して3分の2に達するまでの人数のうち、いずれか少ない人数の株主について、氏名または名称・住所・株式数・議決権数とその割合を記載する書面です(商業登記規則61条3項1号・2号)5

印鑑証明書と本人確認証明書は、機関設計と再任かどうかで変わる

ここが役員変更登記でつまずきやすいところです。法務局は「株式会社代表取締役の就任による変更登記添付書面一覧」(1-28)として、取締役会の有無と代表取締役の選定方法で添付書面の要否をまとめた表を公開しています。列は「各自代表/定款代表/総会代表/互選代表」(取締役会を設置していない会社)と「取締役会での代表取締役選定/株主総会での代表取締役の選定」(取締役会設置会社)の6つです13

条文の側から見ると、次のようになっています。

  • 取締役の就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書: 商業登記規則61条4項後段が求めています。ただし条文の対象は「取締役の就任(再任を除く。)」であり、取締役会設置会社ではこの「取締役」が「代表取締役または代表執行役」と読み替えられます(同条5項)5
  • 代表取締役を選んだ書面に押した印鑑の印鑑証明書: 代表取締役の就任による変更の登記の申請書には、選定の方法(株主総会決議・互選・取締役会決議)に応じた印鑑について市町村長の作成した証明書を添付するとされています。もっとも、押された印鑑が変更前の代表取締役(取締役を兼ねる者に限る)の登記所届出印と同じであれば、添付は要りません(商業登記規則61条6項ただし書)5
  • 本人確認証明書: 取締役・監査役・執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記で、住民票記載事項証明書や運転免許証の写しなど、公務員が職務上作成した証明書を添付します(商業登記規則61条7項)5。印鑑証明書を添付する場合は不要です5。法務局の1-28の注記も、印鑑証明書が添付書面とならない者については再任の場合を除き本人確認証明書が必要となるとしています13
  • 辞任届に押した印鑑の印鑑証明書: 代表取締役等(登記所に印鑑を提出した者がある場合はその者に限り、提出した者がない場合は会社の代表者に限る)の辞任による変更の登記の申請書には、辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならないとされています。ただし、その印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでないとされています(商業登記規則61条8項)5。法務局の記載例1-10にも、登記所届出印を押した場合は印鑑証明書は不要である旨の注記があります14

ここで見落とされやすいのが、括弧書きの「再任を除く」が4項と7項には入っている一方、6項には入っていないことです。同じ「印鑑証明書」でも、就任承諾書に付けるもの(4項)と、代表取締役を選んだ書面に付けるもの(6項)とで、再任のときの扱いが変わります。任期満了で同じ人が続く場合にこれがどう効くかは、重任とはで条文と記載例を並べて整理しています。

記載例どうしを比べると、新任が混ざるかどうかで添付書類が変わることが分かります。1-10(辞任等により新たな取締役が就任した場合)の添付書類欄には、辞任届(または死亡届等)・臨時株主総会議事録・株主リスト・就任承諾書に加えて、印鑑証明書と本人確認証明書が並んでいます14。1-7(役員の全員が重任)の添付書類欄にはこの2つがありません11

自社がどの列に当たるかは定款で確認し、判断に迷う場合は管轄の法務局または司法書士にご確認ください。

費用

登録免許税は、取締役・代表取締役・監査役等に関する事項の変更の登記について、申請件数1件につき3万円、資本金の額が1億円以下の会社については1万円とされています(登録免許税法 別表第一24号(一)カ)2。法務局の記載例でも、資本金の額が1億円を超える場合は3万円、1億円以下の場合は1万円と案内されています11

書面申請の場合、納付は収入印紙または領収証書によります11。このほか、印鑑証明書や住民票記載事項証明書などを取得する場合はその実費がかかります。

役員の辞任(または死亡)と就任の登記は、合わせて1件として申請することができるとされています14。記載例1-10も、辞任と就任を1通の申請書で扱いながら登録免許税を「金3万円(又は1万円)」と1件分で記載しています14

期限は2週間|過ぎた場合

会社において登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において変更の登記をしなければならないとされています(会社法915条1項)1。法務局も、株式会社の役員変更登記について、登記の事由が発生した時から本店の所在地において2週間以内にしなければならないと案内しています7

期限を過ぎた場合について、法務局は、登記すべき期間内に登記を怠りその後に登記申請をする場合であっても、そのことだけをもって申請が却下されることはないとしたうえで、会社・法人の代表者に対して裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があると案内しています7。会社法上も、取締役等が登記をすることを怠ったときは100万円以下の過料に処するとされています。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでないとされています(会社法976条柱書・1号)6。過料の名宛人は会社ではなく取締役等の個人で、科すのは裁判所です67

放置が長期に及ぶ場合の帰結として、法務局は「みなし解散の登記」の対象になる会社の条件(最後の登記から12年の経過)を案内しています7。取締役の任期を定款で長く伸ばしている会社ほど、この期間に近づきやすくなります。

過料とみなし解散の詳細は変更登記を忘れると過料はいくら?、2週間の数え方は変更登記の期限は2週間で扱っています。

よくある質問

Q. 人が誰も入れ替わっていなくても登記は必要ですか。 A. 任期が満了すると取締役は原則として退任し、同じ人が再び選任された場合は「重任」として登記事項に変更が生じます。法務局も、役員の全員が重任する場合の記載例(1-7・1-8・1-9)を用意しています3。任期の数え方や添付書類の扱いは重任とはをご覧ください。

Q. 辞任と就任で申請書を2通出すのですか。 A. 法務局の記載例1-10では、役員の辞任(または死亡)および就任の登記は合わせて1件として申請することができるとされています14

Q. 提出した議事録は返してもらえますか。 A. 法務局は、申請書の添付書面は原本を添付することが原則であるとしたうえで、議事録・許可書等、当事者が原本を保管する必要があるもの等については原本の還付を請求することができると案内しています。その場合は、原本をコピーしたものに、申請書に押印した人が「原本に相違ありません。」と記載して記名したものを、必ず原本とともに提出することとされています7

Q. 書類に不備があったらどうなりますか。 A. 法務局は、必要な添付書面が不足している、申請書や添付書面に記載した内容に誤りがあるといった不備があった場合には、登記所から申請人または代理人に連絡し、連絡を受けた申請人または代理人はその連絡に従って対応する必要があるとしています。これを補正といいます7

Q. 目的変更や本店移転と同時に申請できますか。 A. 同時申請の可否と登録免許税の扱いは登記の種類の組み合わせによります。目的変更との同時申請については目的変更登記は他の登記と同時にできる?で扱っています。

書類作成サービスについて

wiz法人登記は現在、株式会社の本店移転・目的変更の書類作成(4,500円・税別)に対応しており、役員変更登記の書類作成には対応していません。役員変更登記については、この記事で紹介した法務局の申請書様式と記載例31114をご利用いただき、ご自身で作成いただくことになります。本店移転や目的変更もあわせて必要な方は、その分の書類作成(株主総会議事録・株主リスト・登記申請書)にご利用いただけます。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。登録免許税などの実費は別途必要です。


参照法令・出典(確認日: 2026-08-05)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社については、取締役の任期や選任の手続きが本記事の説明と異なります。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-08-05)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 会社法915条1項(変更の登記・2週間以内)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_915 2 3

  2. 登録免許税法 別表第一24号(一)カ(取締役、代表取締役若しくは特別取締役、会計参与、監査役等に関する事項の変更の登記・申請件数1件につき3万円、資本金の額が1億円以下の会社は1万円)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2 3

  3. 法務局「商業・法人登記の申請書様式」(第1 株式会社/2 役員変更・様式1-5〜1-10-1。更新日2024年10月10日) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2 3 4 5 6 7

  4. 商業登記法54条1項・4項(取締役等の変更の登記の添付書面)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_54 2 3 4 5

  5. 商業登記規則61条3項(株主リスト)・4項・5項・6項(印鑑証明書)・7項(本人確認証明書)・8項(辞任を証する書面の印鑑証明書)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-At_61 2 3 4 5 6 7 8

  6. 会社法976条1号(登記をすることを怠ったときは100万円以下の過料)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_976 2 3

  7. 法務局「商業・法人登記の申請書様式」内「商業・法人登記申請の注意事項」(登記すべき期間・過料・みなし解散・補正・原本還付) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2 3 4 5 6 7

  8. 会社法329条1項(役員及び会計監査人の選任)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_329 2

  9. 会社法339条1項(解任)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_339

  10. 会社法332条1項(取締役の任期)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_332

  11. 法務局 記載例1-7「株式会社役員変更登記申請書(取締役会設置会社・役員の全員が重任)」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001298394.pdf 2 3 4 5 6

  12. 会社法349条1項・2項・3項(株式会社の代表)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_349 2

  13. 法務局「株式会社代表取締役の就任による変更登記添付書面一覧」(様式1-28) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188275.pdf 2 3

  14. 法務局 記載例1-10「株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合)」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252657.pdf 2 3 4 5 6

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

登記書類の作成でお困りですか?

Wiz法人登記なら、最短10分・4,500円で登記書類が完成します。

無料で始める