代表取締役の交代・変更登記|選定方法別の必要書類と、解職・死亡・辞任の違い

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結論を先に4つ書きます。

1つ目。代表取締役の交代の登記は、「前任の退任」と「後任の就任」という2つの変更を申請するものです。登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に、本店の所在地で変更の登記をしなければなりません(会社法915条1項)1

2つ目。後任を誰がどう選ぶかは、機関設計で決まります。取締役会設置会社では取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します(会社法362条2項3号・3項)2。取締役会を設置していない会社では、定款・定款の定めに基づく取締役の互選・株主総会の決議のいずれかで定めることができます(349条3項)3。どの方法も定めなければ、取締役は各自、会社を代表し(349条1項・2項)3、取締役の選任とは別に代表取締役を「選定する」行為はありません。取締役が1人の会社で他に代表を定めていない場合も、その取締役が会社を代表します(349条1項)3。法務局の添付書面一覧(1-28)は、この選び方を6つの類型(取締役会を設置していない会社の各自代表・定款代表・総会代表・互選代表、取締役会設置会社の取締役会での選定・株主総会での選定)に分けて整理しています4

3つ目。必要書類は選定の類型ごとに変わります。選定に関する書面(株主総会議事録・互選書・取締役会議事録など)と、そこに押した印鑑についての印鑑証明書の要否は、商業登記規則61条が選定方法の区分に応じて定めています5。代表取締役の就任承諾書も、類型によって要否が変わります4。変更前の代表取締役が登記所に届け出ている印鑑(会社の実印)を押すと印鑑証明書を省略できる場面があり、交代の登記ではここが実務の分かれ目になります5

4つ目。「代表取締役でなくなること」と「取締役でなくなること」は別です。代表の地位だけを外す手続き(取締役会設置会社では取締役会による解職。362条2項3号)と、取締役を辞めさせる株主総会の解任決議(339条1項)は別の制度です26。この区別が、解職・解任・辞任・死亡それぞれの手続きの違いにつながります。

本記事の対象は、株式会社の一般的なケース(指名委員会等設置会社を除く)です。役員変更登記の手続き全体(オンライン・窓口・郵送の申請方法や様式の選び方)は役員変更登記のやり方、費用の詳細は役員変更登記の費用で扱っており、本記事は「代表取締役の交代」に絞ります。人は代わらず住所だけが変わった場合は代表取締役の住所変更登記へ。代表取締役の辞任を深掘りした記事(地位のみの辞任・後任が決まらない場合・権利義務代表取締役)は代表取締役の辞任へ。

知りたいこと答え
何を登記するか前任の退任と後任の就任。代表取締役の氏名及び住所は登記事項(会社法911条3項14号)1
誰が後任を選ぶか取締役会設置会社は原則として取締役会(362条2項3号・3項)。設置していない会社は定款・定款の定めに基づく取締役の互選・株主総会の決議(349条3項)。何も定めなければ取締役の各自代表(349条1項・2項)32
必要書類は何で決まるか選定の類型(法務局1-28の6類型・商業登記規則61条)と、後任が新たに取締役になるかどうか54
期限変更から2週間以内・本店の所在地(915条1項)1。怠ると100万円以下の過料の対象(976条1号)7。数え方は登記の期限
登録免許税申請1件につき3万円。資本金の額が1億円以下の会社は1万円(登録免許税法 別表第一24号(一)カ)89。退任と就任を1通にまとめれば1件分10
会社の実印(届出印)新しい代表取締役が印鑑を届け出るには印鑑届書を提出(商業登記規則9条1項)1112
代表だけ交代できるかできる。前任は取締役として残り、後任は取締役の中から選定される(349条3項・362条3項)32

前提|「代表取締役の地位」と「取締役の地位」は別

代表取締役は、取締役の中から定められます。取締役会を設置していない会社の選定について条文は「取締役の中から代表取締役を定めることができる」(349条3項)、取締役会設置会社について「取締役の中から代表取締役を選定しなければならない」(362条3項)と書いています32。つまり代表取締役は必ず取締役であり、その人は「取締役の地位」と「代表取締役の地位」の2つを持っています。法務省も、代表取締役の地位は取締役の地位に基づくものであると説明しています13

交代のパターンは、この2つの地位のどちらが動くかで分かれます。

  • 代表の地位だけが動く交代。前任は代表取締役を退くが取締役としては残り、在任中の別の取締役が新しい代表取締役になる。登記するのは代表取締役に関する変更です
  • 取締役ごと入れ替わる交代。前任は取締役も退任し、後任は株主総会で取締役に選任されたうえで(329条1項)6、代表取締役に選定される。取締役の変更と代表取締役の変更を合わせて登記します

どちらのパターンかで、株主総会での取締役選任の手続きと書類(就任承諾書・印鑑証明書・本人確認証明書)が要るかどうかが変わります。以下では両方を扱います。

後任の選定方法|機関設計で決まる

取締役会を設置していない会社|349条

取締役会を設置していない会社では、取締役は原則として各自、会社を代表します(349条1項本文・2項)3。この各自代表の状態では、株主総会で取締役を選任すれば(329条1項)6その取締役が会社を代表するので、取締役の選任とは別に代表取締役を「選定する」行為はありません。取締役が1人の会社で他に代表を定めていない場合も同じで、その1人が会社を代表します(349条1項)3。法務局の1-28も「各自代表」を独立の類型として掲げ、この類型には「代表取締役の選定に関する書面」を挙げていません4

代表取締役を特に定めるには、次の3つの方法があります(349条3項)3

方法決め方補足
定款で定める定款に代表取締役の氏名を記載する交代のたびに定款変更の手続きが絡みます。定款変更の手続き参照
定款の定めに基づく取締役の互選「代表取締役は取締役の互選により定める」という定款の定めを置き、取締役の互選で決める互選の結果は互選書(互選を証する書面)にします5
株主総会の決議株主総会で代表取締役を選定する決議をする決議の要件は定款の定めで変わりえます(309条1項)6

このうち定款で氏名を直接定める方法は、交代のたびに定款変更の手続きが必要になります。必要書類は、後述の1-28の類型別一覧で、各自代表を含む6類型すべてを整理します4

なお、取締役会を設置していない会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定するとされています(348条2項)3。互選をどのように行うかを定款でどう定めているかも、あわせて確認してください。

取締役会設置会社|362条

取締役会設置会社では、代表取締役の選定及び解職は取締役会の職務です(362条2項3号)2。取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければなりません(362条3項)2。取締役会の決議は取締役会議事録に記録し、登記の添付書面になります(商業登記法46条2項)14。議事録のひな形は取締役会議事録の書き方で扱っています。

なお、法務局の1-28は、取締役会設置会社について「取締役会での代表取締役選定」のほかに「株主総会での代表取締役の選定」という類型も掲げており、その場合の選定に関する書面として定款と株主総会議事録を挙げています4。取締役会設置会社の株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議できるとされているためです(295条2項)15。定款にこうした定めを置いている会社は、定款の内容とあわせて管轄の法務局または司法書士にご確認ください。

前任の退任|原因は5つ、手続きが違う

前任の代表取締役が代表でなくなる原因ごとに、性質と登記の添付書面を整理します。退任を証する書面の添付は商業登記法54条4項が求めています14

退任の原因どの地位が動くか退任側の主な書面
辞任辞任の内容による(代表の地位のみか、取締役ごとか)辞任届10。書き方と押印は辞任届の書き方へ。深掘りは代表取締役の辞任
任期満了取締役の任期が満了すると、代表取締役の任期も満了して退任する13任期満了の場合の証明はケースで変わります。取締役の任期重任とは
解職(取締役会設置会社)代表の地位のみ。取締役としては残る解職を決議した取締役会議事録(商業登記法46条2項)14
解任(株主総会)取締役の地位ごと外れる。代表の地位も失う解任を決議した株主総会議事録と株主リスト(商業登記法46条2項・商業登記規則61条3項)145
死亡取締役・代表取締役の両方を退任死亡届又は法定相続情報一覧図の写し10

解職|代表の地位だけを外す(362条2項3号)

取締役会設置会社では、取締役会が代表取締役を解職できます。条文は取締役会の職務として「代表取締役の選定及び解職」を挙げています(362条2項3号)2

押さえておきたいのは、解職されても取締役の地位は残ることです。解職は代表の地位を外す手続きであり、取締役の地位は株主総会の選任(329条1項)・解任(339条1項)で動く別の制度だからです26。解職された人を取締役からも外したい場合は、株主総会の解任決議が別に必要です。

なお、解職を決議する取締役会に当該代表取締役本人が加われるかなど、決議手続の適法性に関わる論点は、本記事で確認した条文だけでは決まりません。解職を検討している場合は、司法書士または弁護士にご相談ください。

取締役会を設置していない会社には、362条2項3号は適用されません(取締役会設置会社の規定です)2。一方で、取締役会を設置していない会社の株主総会は、会社法が規定する事項だけでなく、会社の組織・運営・管理をはじめ会社に関する一切の事項を決議できる機関です(295条1項)15。代表の地位を外すためにとるべき手続きは、元の選定方法(定款で定めた・互選で定めた・株主総会で定めた)と定款の定めによって変わりうるため、選定方法を確認したうえで、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。

解任|取締役の地位ごと外す(339条)

役員は、いつでも、株主総会の決議によって解任できます(339条1項)6。取締役を解任すれば、取締役であることを前提とする代表取締役の地位も失われます。

解任の決議要件は341条が定めています。定足数は「議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席」で、定款により3分の1以上の割合まで引き下げられます。可決には出席株主の議決権の過半数が必要で、定款でこれを上回る割合を定めることもできます6。ただし、累積投票により選任された取締役や監査等委員である取締役の解任は、特別決議によります(309条2項7号)6

解任された者は、解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対して解任によって生じた損害の賠償を請求できるとされています(339条2項)6。解任を検討する場合は、決議の前に司法書士または弁護士にご相談ください。

死亡|委任の終了により両方の地位を退任

会社と役員との関係は委任に関する規定に従い(330条)16、委任は受任者の死亡によって終了します(民法653条1号)16。取締役が死亡すると、取締役の地位も代表取締役の地位も終了します。

登記の添付書面は、法務局の記載例では「死亡届又は法定相続情報一覧図の写し」とされています10

ここで1つ、条文の文言に注意があります。代表取締役が欠けた場合に前任がなお権利義務を有するとする規定(351条1項)が対象にするのは、「任期の満了又は辞任により退任した代表取締役」です17。死亡による退任はこの文言に含まれていません。代表取締役が死亡して欠けた状態では、後任の選定を進めることになり、必要があると認めるときは裁判所が利害関係人の申立てにより一時代表取締役の職務を行うべき者を選任する制度もあります(351条2項)17。権利義務代表取締役の詳細は代表取締役の辞任で扱います。

選定方法別の必要書類|商業登記規則61条で決まる

後任側の書類を、選定の類型別に整理します。法務局の1-28「株式会社代表取締役の就任による変更登記添付書面一覧」は、取締役会を設置していない会社の4類型(各自代表・定款代表・総会代表・互選代表)と取締役会設置会社の2類型(取締役会での選定・株主総会での選定)の6類型別に添付書面を一覧化しています4

どの選定方法でも共通

後任が新たに取締役になる場合(取締役ごと入れ替わる交代)は、まず取締役の選任・就任の書類が必要です。

  • 取締役を選任した株主総会議事録(商業登記法46条2項)14と、株主リスト(商業登記規則61条3項)5。株主リストの書き方は株主リストの書き方
  • 取締役の就任承諾書(商業登記法54条1項)14。書き方は就任承諾書の書き方
  • 取締役会を設置していない会社では、取締役の就任承諾書に押した印鑑についての市町村長作成の印鑑証明書(再任を除く。商業登記規則61条4項)5。取締役会設置会社では、この印鑑証明書のルールは代表取締役の就任承諾書に読み替えて適用されます(61条5項)5
  • 印鑑証明書を添付しない新任の取締役については、氏名・住所が分かる本人確認証明書(再任を除く。61条7項)5

在任中の取締役が代表取締役になるだけ(代表の地位だけが動く交代)なら、ここは不要で、次の選定の書類からになります。

選定を証する書面と印鑑証明書|61条6項の3区分

代表取締役の就任による変更の登記では、選定方法の区分に応じて、選定を証する書面に押した印鑑についての市町村長作成の印鑑証明書を添付します(商業登記規則61条6項)5

選定方法選定を証する書面印鑑証明書が求められる印鑑
株主総会の決議株主総会議事録(商業登記法46条2項)+株主リスト145議長及び出席した取締役が議事録に押印した印鑑(61条6項1号)5
定款の定めに基づく取締役の互選互選を証する書面(互選書)と、互選の定めを確認するための定款(商業登記規則61条1項)54取締役が互選を証する書面に押印した印鑑(61条6項2号)5
取締役会の決議取締役会議事録(商業登記法46条2項)14出席した取締役及び監査役が議事録に押印した印鑑(61条6項3号)5

そして交代の登記で重要なのが、61条6項のただし書です。選定書面に押した印鑑が、変更前の代表取締役(取締役を兼ねる者に限る)が登記所に提出している印鑑と同一であるときは、印鑑証明書の添付は不要とされています5。つまり、前任の代表取締役が退任前に選定の議事録等へ会社の届出印(いわゆる会社実印)を押しておけば、出席者全員の個人の印鑑証明書を集めずに済む、という構造です。円満な交代でこの形が取れるかどうかで、集める書類の量が変わります。

1-28の類型別一覧|6類型で見る選定書面・印鑑証明書・就任承諾書

法務局の1-28の表を、類型別にまとめ直すと次のとおりです4。「その書面の押印に係る印鑑証明書」の列(各自代表を除く5類型の、代表取締役の選定に関する書面についての印鑑証明書)には、「変更前の代表取締役の登記所届出印が押印されている場合を除く」(61条6項ただし書に対応)という留保が付きます54。これに対し、各自代表の類型で必要になる「取締役を選任した株主総会議事録」の議長及び出席取締役の印鑑証明書は、1-28では独立の行で「必要」とされ、この留保は付されていません4

類型代表取締役の選定に関する書面その書面の押印に係る印鑑証明書代表取締役の就任承諾書
各自代表(非設置)−(別個の選定書面は掲げられていない)−(代わりに、取締役を選任した株主総会議事録に押印した議長及び出席取締役の印鑑証明書が必要)
定款で定めた場合(非設置)株主総会議事録議長及び出席取締役の印鑑証明書
株主総会で選定(非設置)株主総会議事録議長及び出席取締役の印鑑証明書
定款の定めに基づく互選(非設置)定款+取締役の互選書互選した取締役の印鑑証明書必要
取締役会で選定(設置会社)取締役会議事録出席取締役・監査役の印鑑証明書必要(承諾書に係る印鑑証明書も必要)
株主総会で選定(設置会社)定款+株主総会議事録議長及び出席取締役の印鑑証明書必要(承諾書に係る印鑑証明書も必要)

読み方の注意点を3つ挙げます。

  • 代表取締役の就任承諾書は、全類型で必要になるわけではありません。1-28で「必要」とされているのは互選代表(非設置)と取締役会設置会社の2類型で、各自代表・定款代表・総会代表(非設置)には掲げられていません4。承諾書に押した印鑑についての印鑑証明書まで必要なのは、取締役会設置会社の2類型です(商業登記規則61条4項後段を5項が代表取締役に読み替え)54
  • 各自代表では、印鑑証明書の対象が取締役を選任した株主総会議事録になります。別個の選定行為がないため、選任の議事録に押印した議長及び出席取締役の印鑑証明書が求められています4
  • 1-28は、定時株主総会で取締役を選任し、各自代表の場合以外はさらにそれぞれの選定方法で代表取締役を定めた場合を想定した一覧です(同表の注)4。株主リストと取締役の就任承諾書は全類型で必要で、取締役の就任承諾書に係る印鑑証明書は取締役会を設置していない会社の4類型で必要です(61条4項)54。印鑑証明書を添付しない者には本人確認証明書が必要です。1-28の注も「印鑑証明書が添付書面とならない者については、再任の場合を除き、本人確認証明書が必要」としています4

自分のケースで揃える書類の最終確認は、法務局の添付書面一覧4と申請書様式のページ12、または管轄の法務局で行ってください。法務局の記載例1-10(辞任等により新たな役員が就任した場合)の注は、新たな代表取締役が就任する場合の選定に係る添付書類について、記載例1-7(取締役会設置会社)・1-8(取締役会を設置していない会社で、取締役全員が各自会社を代表する場合又は株主総会で代表取締役を選定する場合)・1-9(同じく取締役の互選により選定する場合)を参照するよう案内しています10

会社の届出印(会社実印)の手続き

登記所に印鑑を提出しているのは会社ではなく「会社の代表者」です(商業登記規則9条1項4号)11。そのため代表取締役が交代したら、新しい代表取締役が印鑑を届け出るには印鑑届書を提出します。印鑑の提出は、当該印鑑を明らかにした書面(印鑑届書)で行うと定められています(9条1項)11。法務局の申請書様式のページでも、辞任・就任の記載例(1-10)とセットで印鑑届書の様式・記載例が掲載されています12

届け出る印鑑について、商業登記規則9条は大きさ(3項)と照合に適すること(4項)を求めています11。少なくとも同条には、前任者が届け出ていた印鑑と同一のものを避けるよう求める定めは確認できません11。これは規則9条の範囲での確認なので、前任と同じ印鑑を届け出られるかどうかと届出の方法は、管轄の法務局にご確認ください。印鑑を引き継ぐ場合も新しく作る場合も、銀行印や契約書の押印フローなど、登記以外の場面への影響もあわせて確認してください。

登記の内容・期限・費用

登記事項。代表取締役の氏名及び住所は登記事項です(会社法911条3項14号)1。取締役の氏名も登記事項なので(911条3項13号)1、取締役ごと入れ替わる交代では両方の変更を登記します。申請書の「登記すべき事項」には、前任について退任の原因と年月日(辞任・死亡など)、後任について就任の年月日を書きます。法務局の記載例1-10が辞任と就任を並べた記載を示しています10

期限。変更が生じたときから2週間以内に、本店の所在地で変更の登記をします(915条1項)1。起算日の数え方は変更登記の期限へ。登記を怠ったときは100万円以下の過料の対象です(976条1号)7。放置した場合の帰結は変更登記をしないとどうなるかで扱っています。

費用。登録免許税は、代表取締役を含む役員に関する事項の変更の区分(登録免許税法 別表第一24号(一)カ)で申請1件あたり3万円、資本金の額が1億円以下の会社では1万円と定められています89。前任の退任と後任の就任は、1通の申請書にまとめれば1件分です。法務局の記載例にも、役員の辞任(又は死亡)及び就任の登記は合わせて1件として申請できるとあります10。件数の数え方や他の登記と同時に申請する場合の税額は役員変更登記の費用へ。

FAQ|よくある質問

Q. 社長を交代しますが、前の社長は取締役として会社に残ります。何の登記が必要ですか。

A. 代表取締役に関する変更の登記です。前任の代表取締役としての退任と、後任の就任を申請します。前任は取締役としては退任していないので、取締役の変更の登記は生じません。後任の選定は、取締役会設置会社なら原則として取締役会の決議(362条2項3号)、設置していない会社なら定款・互選・株主総会の決議のいずれか(349条3項)です32。設置していない会社でどの方法も定めていなければ各自代表(349条1項・2項)であり、必要書類の類型が変わります34

Q. 代表取締役を解職したら、その人は会社からいなくなりますか。

A. 解職だけでは取締役として残ります。取締役会設置会社では、解職は代表の地位を外す取締役会の決議です(362条2項3号)2。取締役会を設置していない会社に362条2項3号の適用はなく、株主総会は会社に関する一切の事項について決議できるため(295条1項)15、代表の地位を外す手続きは元の選定方法(定款・互選・株主総会決議)との関係で変わります。どちらの機関設計でも、取締役の地位まで外すには株主総会の解任決議(339条1項)が別に必要です6。解任には損害賠償のリスクもあるため(339条2項)6、事前に司法書士または弁護士にご相談ください。

Q. 代表取締役が亡くなりました。登記には何を添付しますか。

A. 法務局の記載例では、死亡の場合の添付書面は「死亡届又は法定相続情報一覧図の写し」とされています10。あわせて後任の選定・就任の書類が必要です。死亡により委任関係が終了するため(330条・民法653条1号)16、取締役と代表取締役の両方の退任を登記します。

Q. 出席者全員の印鑑証明書が要ると聞きました。省略できませんか。

A. 選定を証する書面(株主総会議事録・互選書・取締役会議事録)に押した印鑑が、変更前の代表取締役(取締役を兼ねる者に限る)が登記所に提出している印鑑と同一であれば、その印鑑証明書は添付不要です(商業登記規則61条6項ただし書)5。前任が議事録に会社の届出印を押せる円満な交代では、この方法を利用できる場合があります。押せない事情がある場合(死亡など)にただし書が使えるかは、管轄の法務局にご確認ください。

Q. 前の代表と同じ会社実印を使い続けたいのですが。

A. 印鑑の届出は印鑑届書で行います(商業登記規則9条1項)11。少なくとも同条には、前任者が届け出ていた印鑑と同一のものを避けるよう求める定めや、交代のたびに印鑑の作り直しを求める定めは確認できません11。印鑑を提出しているのは代表者個人単位なので(9条1項4号)、同じ印鑑を使う場合でも新しい代表取締役として印鑑届書の提出が必要です11。同じ印鑑を届け出られるかどうかは、管轄の法務局にご確認ください。

Q. 退任と就任で登録免許税は2件分かかりますか。

A. 1通の申請書にまとめれば1件分です。法務局の記載例にも、辞任(又は死亡)と就任の登記は合わせて1件として申請できるとあります10。税額は別表第一24号(一)カの区分で1件3万円(資本金の額が1億円以下の会社では1万円)です89

Q. 代表取締役の任期は何年ですか。

A. 法務省は、代表取締役の地位は取締役の地位に基づくものであるため、取締役の任期が満了した場合には代表取締役の任期も満了して退任すると説明しています13。取締役の任期そのもの(原則と定款による変更)は取締役の任期へ。任期満了で同じ人が続く場合は重任とはへ。

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wiz法人登記が現在対応しているのは、株式会社の本店移転と目的変更の登記書類の作成(4,500円・税別)です。役員変更登記(代表取締役の変更を含む)の書類作成には対応していません。また、取締役会設置会社・監査役設置会社にも対応していません18。代表取締役の交代のみを登記する方は、本記事で参照した法務局の様式・記載例12410をご自身で使うか、司法書士に依頼する形になります。

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参照法令・出典(確認日: 2026-09-03)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。株式会社の一般的なケース(指名委員会等設置会社を除く)を対象としており、機関設計・定款の定め・株式の内容によって手続きや必要書類が異なる場合があります。解職・解任は当事者間の紛争につながりうる手続きであり、決議手続の適法性を含め、実行前に司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-09-03)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 会社法911条3項13号(取締役の氏名は登記事項)・14号(代表取締役の氏名及び住所は登記事項)・915条1項(変更が生じたときは二週間以内に本店の所在地で変更の登記)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_915 2 3 4 5 6

  2. 会社法362条(取締役会の権限等。2項3号: 代表取締役の選定及び解職は取締役会の職務/3項: 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_362 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

  3. 会社法349条(株式会社の代表。1項: 取締役は株式会社を代表する・他に代表取締役等を定めた場合を除く/2項: 取締役が二人以上ある場合は各自代表/3項: 取締役会設置会社を除く株式会社は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる)・348条2項(取締役会を設置していない会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_349 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

  4. 法務局 1-28「株式会社代表取締役の就任による変更登記添付書面一覧」(取締役・代表取締役の就任の登記の添付書面を、取締役会を設置していない会社(各自代表・定款代表・総会代表・互選代表)と取締役会設置会社(取締役会での選定・株主総会での選定)の別に一覧化。印鑑証明書が添付書面とならない者については再任の場合を除き本人確認証明書が必要) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188275.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

  5. 商業登記規則61条(添付書面。1項: 定款の定めがなければ登記すべき事項につき無効等となる申請には定款を添付/3項: 株主総会の決議を要する場合の株主リスト/4項: 取締役会を設置していない会社の取締役の就任(再任を除く)は就任承諾書の印鑑につき市町村長作成の証明書を添付/5項: 取締役会設置会社では代表取締役に読み替え/6項: 代表取締役の就任は選定方法の区分(1号: 株主総会の決議=議長及び出席した取締役の議事録押印印鑑、2号: 取締役の互選=互選を証する書面の押印印鑑、3号: 取締役会の決議=出席した取締役及び監査役の議事録押印印鑑)に応じ印鑑証明書を添付、ただし変更前の代表取締役(取締役を兼ねる者に限る)の登記所提出印鑑と同一のときは不要/7項: 印鑑証明書を添付しない取締役等の就任(再任を除く)には本人確認証明書を添付)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-At_61 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

  6. 会社法329条1項(役員は株主総会の決議によって選任)・339条(役員はいつでも株主総会の決議によって解任できる・2項: 正当な理由がある場合を除き損害賠償請求可)・341条(役員の選任・解任の決議要件)・309条1項(普通決議)・2項7号(累積投票により選任された取締役・監査等委員である取締役の解任等は特別決議)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_339 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

  7. 会社法976条1号(この法律の規定による登記をすることを怠ったときは百万円以下の過料)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_976 2

  8. 登録免許税法 別表第一 二十四(一)カ(取締役、代表取締役若しくは特別取締役…に関する事項の変更の登記・課税標準「申請件数」・一件につき三万円(資本金の額が一億円以下の会社又は一般社団法人等については、一万円))(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2 3

  9. 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(取締役または代表取締役もしくは監査役等に関する事項の変更の登記 1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社については1万円)) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm 2 3

  10. 法務局 記載例1-10「株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合)」(登記すべき事項の記載・役員の辞任(又は死亡)及び就任の登記は合わせて1件として申請することができる・(死亡の場合)死亡届又は法定相続情報一覧図の写し・登録免許税 金3万円(又は1万円)) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252657.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10

  11. 商業登記規則9条1項(印鑑の提出は当該印鑑を明らかにした書面をもってしなければならない・4号: 会社の代表者は商号・本店・資格・氏名・出生の年月日等を記載)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-At_9 2 3 4 5 6 7 8

  12. 法務局「商業・法人登記の申請書様式」(印鑑の提出は「印鑑届書」により行う旨の案内・印鑑届書の様式と記載例。役員変更の様式1-5〜1-10-1のうち1-10: 株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合)とセットで印鑑届書の様式・記載例を掲載) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2 3 4

  13. 法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」(代表取締役の地位は取締役の地位に基づくものであるため、取締役の任期が満了した場合には代表取締役の任期も満了して退任する) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00091.html 2 3

  14. 商業登記法46条1項(登記すべき事項につき取締役の一致等を要するときは、その一致があったことを証する書面を添付)・2項(株主総会・取締役会の決議を要するときは議事録を添付)・54条1項(取締役・代表取締役等の就任による変更の登記には就任を承諾したことを証する書面を添付)・4項(退任による変更の登記には、これを証する書面を添付)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_54 2 3 4 5 6 7 8

  15. 会社法295条(株主総会の権限。1項: 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる/2項: 取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_295 2 3

  16. 会社法330条(株式会社と役員との関係は委任に関する規定に従う)・民法653条1号(委任は委任者又は受任者の死亡によって終了)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_653 2 3

  17. 会社法351条(代表取締役に欠員を生じた場合の措置。1項: 任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する/2項: 裁判所は利害関係人の申立てにより一時代表取締役の職務を行うべき者を選任できる)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_351 2

  18. wiz法人登記 サービス仕様(当社確認 2026-08-24: 対応は株式会社の本店移転・目的変更の書類作成。役員変更・取締役会設置会社・監査役設置会社は非対応) https://app.wiztouki.com

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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