株主リストの書き方|必要になる場面・記載事項・様式まで解説

更新: 2026年8月20日18分で読める

結論から。株主リストは、登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合などに、登記申請書に添付する書面です(商業登記規則61条)12 株主総会等の決議を要する場合(商業登記規則61条3項)に記載するのは、「議決権数上位10名の株主」か「議決権割合の多い順に加算して3分の2に達するまでの株主」のいずれか少ない方です12。その株主ごとに氏名または名称・住所・株式数・議決権数・議決権割合を書き、会社の代表者(登記申請人)が証明します123。株主全員の同意を要する61条2項の場合は、対象が株主全員になり、記載事項も氏名または名称・住所・株式数・議決権数の4点になります12

本記事は株式会社の一般的なケースを対象に、株主リストが必要になる場面、誰を書くか、何を書くか、様式の入手先と、その書式のどこに何を書くかまでを、法令と法務省の案内に基づいて解説します。まずは早見表からどうぞ。

知りたいこと答え
いつ必要?登記すべき事項につき株主総会(種類株主総会)の決議を要する場合、または株主全員(種類株主全員)の同意を要する場合12
誰を書く?決議を要する場合: 議決権数上位10名か、議決権割合が3分の2に達するまでの株主の、いずれか少ない方12
何を書く?氏名または名称・住所・株式数・議決権数・議決権割合の5点(株主総会決議の場合)12
誰が証明?会社の代表者(登記申請人)23
様式は?法務省の案内ページに書式例・記載例(Excel/PDF)が公開されている2

株主リストとは|平成28年10月1日から登記の添付書面に

株主リストは、株主の氏名または名称・住所・株式数・議決権数などを記載し、会社の代表者が証明する書面です12。法務省の案内によると、平成28年10月1日以降の株式会社等の登記の申請では、添付書面として株主リストが必要となる場合があります(商業登記規則61条2項・3項)2。施行日(平成28年10月1日)より前に株主総会が行われた場合でも、施行日以降に登記を申請するときは添付が必要とされています2

名前が似ている「株主名簿」とは別の書面です。株主名簿と株主リストでは記載内容(議決権数など)が異なるため、株主名簿を添付しても株主リストの代わりにはなりません3

株主リストが必要になる場面|61条3項と61条2項の2パターン

法務省の案内では、株主リストの添付が必要になるのは次の2つの場合と説明されています2

  1. 登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合(商業登記規則61条3項)12
  2. 登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合(商業登記規則61条2項)12

多くの変更登記で関係するのは1のパターンです。たとえば、事業目的の変更や、定款変更を伴う本店移転は、定款の変更として株主総会の決議が必要になり(会社法466条)4、この決議は特別決議です(会社法309条2項)5。つまり「登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合」に当たるため、登記申請には株主リストを添付します1。定款変更が必要かどうかの判定は定款変更の要否の記事で解説しています。

2のパターンは、登記すべき事項について総株主の同意が必要な場合に使うものです。1と2では、後述のとおり記載する株主の範囲と記載事項が異なります12。自分の手続きがどちらに当たるか分からない場合は、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。

なお、書面決議(みなし決議)で済ませた場合も株主リストは必要です(後述)12

誰を書くか|「上位10名」か「3分の2まで」の少ない方

株主総会の決議を要する場合(61条3項)に記載するのは、その決議で議決権を行使できる総株主の議決権数に対する議決権割合が高い順に上位となる株主のうち、次のいずれか少ない人数の株主です1

  • 10名(61条3項1号)1
  • 議決権割合を多い順に加算していき、その合計が3分の2に達するまでの人数(61条3項2号)1

法務省の案内でも「議決権数上位10名の株主」か「議決権割合が2/3に達するまでの株主」のいずれか少ない方と説明されており、2/3に達するまでの株主は議決権割合の多い方から加算する必要があるとされています2

注意点が2つあります。

  • その決議で議決権を行使できない株式(自己株式など)を持つ株主は記載しません。 一方、株主総会に欠席した株主や、出席しても議決権を行使しなかった株主は、議決権を行使できた以上、記載の対象に含まれます23
  • 同順位の株主が複数いる場合は全員書きます。 法務省のFAQでは、上位10名を記載するケースで第10位の株主が複数いるときは、その全員を記載する必要があるとされています3

判定例で確認(架空の単純例)

以下は61条3項の基準の当てはめ方を示すための架空の単純な例です。種類株式や議決権制限がない前提で計算しています。

例1: 株主が1人の会社(いわゆる1人会社)

株主Aが議決権の100%を持っている場合、Aの1名で議決権割合の合計が3分の2に達します。「10名」と「1名」の少ない方は1名なので、記載するのはAの1名だけです。

例2: 株主が5名の会社

議決権割合がA40%・B30%・C15%・D10%・E5%だとします。割合の多い順に加算すると、A(40%)→A+B(70%)の時点で3分の2(約66.7%)に達します。「10名」と「2名」の少ない方は2名なので、記載するのはAとBの2名です。C・D・Eを書く必要はありません。

何を書くか|記載事項は5点

株主総会の決議を要する場合(61条3項)の株主リストには、対象となる株主ごとに次の5点を記載します12

  1. 株主の氏名または名称1
  2. 住所1
  3. 株式数(種類株式発行会社は、株式の種類と種類ごとの数)1
  4. 議決権数1
  5. 議決権割合(総株主の議決権数に対するその株主の議決権数の割合)1

記載のしかたで迷いやすい点は、法務省のFAQで次のように案内されています。

  • 株主が法人の場合: 住所欄には本店所在地を記載します3
  • 住所の細かさ: 原則として地番まで記載しますが、会社が地番まで把握していない場合は、把握している限度で記載し、地番まで記載できない理由を注記します3

なお、株主全員の同意を要する場合(61条2項)は範囲と項目が変わり、株主全員について氏名または名称・住所・株式数(種類株式発行会社は種類と種類ごとの数)・議決権数を記載します(議決権割合の記載は求められていません)12。この場合、議決権を行使できない株式(自己株式など)を持つ株主も記載が必要とされています3

誰が証明するか|代表者(登記申請人)

株主リストは、原則として登記申請人である会社の代表者が作成します3。法務省の案内でも、記載事項の5点を「代表者が証明」すると説明されています2

株主総会の時点と登記申請の時点で代表者が変わっている場合は、登記申請時の代表者(新しい代表者)が作成します3

様式・記載例はどこにある?

法務省の案内ページ「「株主リスト」が登記の添付書面となりました」に、書式例・記載例がExcelとPDFで公開されています2。掲載されている書式は、おおむね次の構成です2

  • 簡易書式(書式例A-1・記載例A-1): 簡易な内容の株主リストを作る場合の書式と、その記載例(法務省ページでは別々のファイルとして公開されています)
  • 書式例1-1: 株主総会または種類株主総会の決議を要する場合(61条3項)の書式。10名を記載する例、3分の2までを記載する例、種類株式発行会社の例などの記載例つき
  • 書式例1-2: 株主全員または種類株主全員の同意を要する場合(61条2項)の書式・記載例

このほか、一定の場合には、法人税の確定申告で使う「同族会社等の判定に関する明細書」などを添付する書式も利用できるとされています3。ダウンロードした書式が実際にどういう形をしていて、株主の表以外にどこへ何を書くのかは、次の見出しで整理します。

書式例のどこに何を書くか|表題は「証明書」・日付は2か所

前の見出しで挙げた様式のうち、簡易書式の記載例A-1と書式例1-1をダウンロードすると、株主を並べる表のほかに、表題・冒頭の一文・末尾の日付と会社名・作成者の欄・表の下の合計欄があります。ここでつまずきやすい点を、法務省の書式例1-1と記載例A-1・1-1-1・1-1-2に沿って整理します。

表題は「株主リスト」ではなく「証明書」

書式例1-1も簡易書式の記載例A-1も、書面の表題は**「証明書」**です67。「株主リスト」は、この書面を指す呼び名として法務省の案内ページで使われているもので2、書式例の表題そのものには使われていません67

冒頭には「いつの・どの決議か」を書く

書式例1-1の冒頭は、次の書き出しになっています7

○○年○○月○○日付け○○株主総会の第○号議案につき、総議決権数(当該議案につき、議決権を行使することができる全ての株主の有する議決権の数の合計をいう。以下同じ。)に対する株主の有する議決権(中略)の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であって、次の①と②の人数のうち少ない方の人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(中略)及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権の数に係る当該割合は、次のとおりであることを証明します。

つまり冒頭の空欄に入るのは、その総会の年月日どの株主総会か(「○○株主総会」の○○の部分)・どの議案についてかの3点です7。引用中の「①と②」は、前の見出しで整理した「10名」と「3分の2に達するまで」のことです1

簡易書式(記載例A-1)では、この冒頭が一文と「対象」の3欄に分かれています6

記載例A-1の案内
株主総会等又は総株主の同意等の別株主総会・種類株主総会・株主全員の同意・種類株主全員の同意のいずれかを記載する。種類株主総会等の場合は対象となる種類株式も記載する6
上記の年月日株主総会等の年月日を記載する6
上記のうちの議案全議案または対象となる議案を記載する。総株主等の同意を要する場合は記載不要6

日付は「株主総会等の年月日」と「証明書作成年月日」の2か所

書式に出てくる日付は2か所で、意味が違います。

位置何の日付か出典
冒頭「○○年○○月○○日付け○○株主総会」株主総会等の年月日。記載例A-1は株主全員の同意・種類株主全員の同意の場合も同じ欄で扱います6書式例1-17・記載例A-1の「上記の年月日」欄6
末尾(会社名・代表者名の上)証明書作成年月日記載例A-1は欄名を「証明書作成年月日」としている6。書式例1-1は末尾に「令和○○年○○月○○日」と会社名・代表取締役名を並べる形7

末尾の日付欄は、記載例A-1では「証明書作成年月日」という別の欄として設けられています6。ただし、本記事が確認した書式例1-1と記載例A-1・1-1-1・1-1-2の4点には、この欄について欄名以上の説明はありませんでした6789。実務上の扱いを確かめたい場合は、管轄の法務局に確認してください。

末尾の名義は「登記申請人名義」

記載例A-1は、末尾に商号と証明書作成者(代表取締役の氏名)を記載する形になっており、注記で「証明書は、登記申請人名義で作成してください」とされています。ただし組織再編の登記の場合には例外もあるとされています6

表の下には「合計」と「総議決権数」の欄がある

株主を並べる表の下には、記載した株主の議決権数と議決権割合の合計を書く行と、総議決権数を書く行があります78合計行の株式数の欄には何も入りません。本記事が確認した書式例1-1と記載例A-1・1-1-1・1-1-2では、合計行に用意されているのは議決権数と議決権割合の2つです6789

記載例1-1-1では、10名分の合計が議決権数742・割合61.8%、総議決権数が1200という形で埋められています8。割合の合計が61.8%で3分の2に達していないのは、この記載例が**「10名」の方が先に上限に達したケース**だからです(前の見出しで整理した「10名」と「3分の2に達するまで」のいずれか少ない方)8

ここで注意が必要なのが分母側です。記載例A-1は「総議決権数にも自己株式等の議決権を有しない株式の分は加算しないでください」と注記しています6。議決権を有しない株式(自己株式など)を持つ株主を表に書かないだけでなく23、その分を総議決権数からも外すという指示です6(株主総会の決議を要する61条3項の場面)。

株主が書式例の10行に収まらないとき

書式例1-1の株主欄は10行です7。同順位の株主が複数いることなどにより10位以内の株主が10名以上いる場合について、記載例1-1-1・1-1-2はいずれも「その株主全てを任意の形式の別紙を作成して記載してください」と案内しています89。法務省のFAQも、書式例の株主欄が10名分しかないことに触れ、この書式例を利用する場合は任意の別紙を添付するか、10名以上記載できるよう表を加工するなどして作成するよう案内しています3

なお、申請書の「登記すべき事項」そのものを別の形で提出する話は、株主リストの別紙とは別のルールです。そちらは目的変更登記申請書の書き方で整理しています。

書面決議(みなし決議)でも株主リストは必要

株主総会を実際に開かず、株主全員の書面または電磁的記録による同意で決議があったものとみなす方法(会社法319条1項のみなし決議)を使った場合も、株主リストは必要です。商業登記規則61条3項は、決議があったものとみなされる場合を含むと明記しています1。法務省の案内でも、株主総会決議を省略する場合(会社法319条1項)にも株主リストの添付が必要とされています2

みなし決議の議事録の書き方は、目的変更の議事録の記事で解説しています。

FAQ|よくある質問

Q. 株主名簿と株主リストは何が違いますか?

A. 記載内容が異なる別の書面です。法務省のFAQでは、株主名簿と株主リストでは記載内容(議決権数など)が異なるため、株主名簿の添付で株主リストの添付を不要にすることはできないとされています3

Q. 株主が1人だけの会社でも株主リストは必要ですか?

A. 株主の人数にかかわらず、登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合には必要です12。1人会社の一般的なケースでは、上の判定例のとおり、その株主1名を記載することになります。

Q. 1回の株主総会で複数の事項を決議した場合、株主リストは何通必要ですか?

A. 法務省のFAQでは、原則として登記すべき事項ごとに作成するとされています。ただし、各議案を通じて記載内容が変わらない場合は、その旨を明記することで1通にまとめることもできるとされています3

Q. 本店移転でも株主リストは必要ですか?

A. 定款変更(株主総会の決議)が必要になる本店移転では必要です14。定款変更が不要な範囲の移転で、ほかに決議を要する登記事項もない場合は、61条3項の場面に当たりません1。ケースごとの必要書類は本店移転の必要書類チェックリスト本店移転の議事録の記事で整理しています。

株主リストは議事録・申請書とセットで整える書類です

株主リスト単体の作成は難しくありませんが、株主総会議事録の決議内容や申請書の記載と、日付・株主構成の整合をとる必要があります。

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参照法令・出典(確認日: 2026-07-19。脚注6〜9は2026-08-19に確認)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-19。脚注6〜9は2026-08-19)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 商業登記規則61条2項・3項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

  2. 法務省 「株主リスト」が登記の添付書面となりました https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

  3. 法務省 株主リストに関するよくあるご質問 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00103.html 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

  4. 会社法466条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2

  5. 会社法309条2項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  6. 法務省 株主リスト 記載例A-1(統合簡易書式・PDF) https://www.moj.go.jp/content/001338425.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

  7. 法務省 株主リスト 書式例1-1(商業登記規則61条3項の証明書・PDF) https://www.moj.go.jp/content/001338426.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10

  8. 法務省 株主リスト 記載例1-1-1(61条3項の証明書/10名・PDF) https://www.moj.go.jp/content/001338427.pdf 2 3 4 5 6

  9. 法務省 株主リスト 記載例1-1-2(61条3項の証明書/3分の2・PDF) https://www.moj.go.jp/content/001338428.pdf 2 3

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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