取締役会議事録の書き方とひな形|会社法施行規則101条の記載事項と、押印が要る人・登記に添付するときの印鑑証明書

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結論を3つ先に書きます。

1つ目。取締役会議事録に何を書くかは、会社法施行規則101条3項に列挙されています。開催された日時と場所、議事の経過の要領とその結果は常に書き、特別の利害関係を有する取締役の氏名や議長の氏名などは、該当するときに書きます1。ひな形の空欄を埋める作業は、この列挙を1つずつ確認する作業です。

2つ目。誰が押すかは会社法369条3項が決めています。議事録を書面で作ったときは、出席した取締役および監査役が署名し、または記名押印しなければなりません2。株主総会議事録との違いは本店移転の株主総会議事録・取締役決定書の書き方で整理しています。

3つ目。登記に添付するとき、議事録の押印について印鑑証明書が要る場面は限られています。商業登記規則61条6項は、代表取締役または代表執行役の就任による変更の登記の申請書について、取締役会の決議で選定した場合には、出席した取締役および監査役が議事録に押した印鑑についての市町村長作成の証明書を求めています。ただし、その印鑑が変更前の代表取締役等(取締役を兼ねる者に限る)の登記所提出印と同一であれば、この限りではありません3。代表取締役等の就任を伴わない本店移転や支店設置の議事録は、この項の対象になりません。

扱う範囲を先に断っておきます。以下は株式会社のうち、取締役会を置く会社で、監査等委員会設置会社でも指名委員会等設置会社でもない会社の一般的なケースを前提にしています。この2類型は、施行規則101条3項1号の括弧書きや3号ト〜ヌが別の取扱いを含んでおり1、商業登記法46条4項・5項も添付書面を別に定めています4

迷いやすい点条文・記載例が示していること
書面か電子か書面または電磁的記録で作成する(規則101条2項)1
法定の記載事項規則101条3項の1号〜8号。常に書くのは1号(日時・場所)と4号(議事の経過の要領と結果)。2号・3号・5号〜8号は該当するときに書く1
押印する人書面のときは出席した取締役および監査役(会社法369条3項)2
電磁的記録のとき署名または記名押印に代わる措置(会社法369条4項)2
何も言わず決議に参加した取締役議事録に異議をとどめないと、賛成したものと推定される(会社法369条5項)2
保管取締役会の日から10年間、本店に備え置く(会社法371条1項)2
登記に添付する根拠登記すべき事項につき取締役会の決議を要するときは議事録を添付(商業登記法46条2項)4
印鑑証明書が要るとき取締役会の決議で代表取締役等を選定し、その就任による変更の登記をするとき。変更前の代表取締役等の登記所提出印と同一ならただし書で不要(商業登記規則61条6項3号・ただし書)3
会議を開かずに決めたとき定款の定めがあれば、議決に加わることができる取締役全員の書面または電磁的記録による同意で決議があったものとみなせる。監査役設置会社では、監査役がその提案に異議を述べていないことも必要(会社法370条)。議事録の記載事項は規則101条4項1号51

ひな形|法務局の記載例を骨格に、規則101条の項目を割り当てる

法務局の本店移転登記の記載例には、「取締役会議事録(取締役会設置会社の場合)」として次の形の書面が載っています6。決議事項の中身は本店移転ですが、基本的な構成は他の決議の議事録を作るときの参考になります。

                    取締役会議事録

   令和○年○月○日午前○時○分当会社の本店において、取締役○名(総取締役
  数○名)出席のもとに、取締役会を開催し、下記議案につき可決確定のうえ、午
  前○時○分散会した。
   出席取締役 ○○○○(議長)
         ○○○○
         ○○○○
   出席監査役 ○○○○

  1    決議事項
      当会社の本店を下記へ移転すること。
      本店移転先 ○県○市○町○丁目○番○号
      移転の時期は、令和○年○月○日とする。

   上記の決議を明確にするため、この議事録を作り、出席取締役及び監査役の
  全員がこれに記名押印する。

      令和○年○月○日

                        ○○商事株式会社
                         出席取締役     ○○○○   ㊞
                         同         ○○○○   ㊞
                         同         ○○○○   ㊞
                         出席監査役     ○○○○   ㊞

この書面のどの部分が、どの規定に対応するかを整理すると、次のようになります。

ひな形の部分対応する規定
「令和○年○月○日午前○時○分当会社の本店において」規則101条3項1号 取締役会が開催された日時及び場所1
「取締役○名(総取締役数○名)出席」決議の成立要件を示す部分。取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(定款でこれを上回る割合を定めたときはその割合以上)が出席して行う(会社法369条1項)2
「出席取締役」「出席監査役」の氏名会社法369条3項により署名または記名押印する人の特定2。議長を置いたときは、その氏名が規則101条3項8号の記載を兼ねる1
「下記議案につき可決確定のうえ」「1 決議事項 …」規則101条3項4号 議事の経過の要領及びその結果1
末尾の記名押印欄会社法369条3項(出席した取締役及び監査役の署名又は記名押印)2

記載例が「一例です。会社の実情に合わせて作成してください」と断っているとおり6、この形は出発点です。会社の実情に応じて、次の節の項目を足していきます。

法定の記載事項を1つずつ|会社法施行規則101条3項

会社法369条3項は「法務省令で定めるところにより、議事録を作成し」と定め2、その法務省令が会社法施行規則101条です1。同条3項は、取締役会の議事録が次の事項を「内容とするものでなければならない」としています1。1号と4号は常に書く項目、それ以外は該当するときに書く項目です。

1号 開催された日時及び場所。会議の場所にいない取締役・監査役などがテレビ会議等で出席した場合は、その出席の方法も含めるとされています(1号の括弧書き)1。ひな形の「午前○時○分」「当会社の本店において」がこの号です。

2号 会社法373条2項の取締役会であるときは、その旨。特別取締役による議決の定めがある会社で、特別取締役の取締役会であるときに書きます1

3号 イ〜ヌのいずれかに該当するときは、その旨。取締役・株主・監査役・執行役の請求を受けて招集された取締役会や、請求をした取締役・株主・監査役が自ら招集した取締役会、監査等委員会が選定した監査等委員や指名委員会等の委員の中から選定された者が招集した取締役会など、3号イ〜ヌに列挙された類型に当たるときに、その旨を書きます1。通常の取締役会ではいずれにも当たらないため、書く必要はありません。

4号 議事の経過の要領及びその結果。議案と、審議・採決の経過の要領、そして決議の結果です1。ひな形の「1 決議事項」の欄と「可決確定のうえ」がこれに当たりますが、条文が求めているのは決議事項と可否だけではなく、経過の要領を含みます。

5号 特別の利害関係を有する取締役の氏名。決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役がいるときは、その氏名を書きます1。会社法369条2項は、そのような取締役は議決に加わることができないと定めているため2、議事録上も誰が加わらなかったかが分かる必要があります。

6号 一定の規定により述べられた意見・発言の概要。監査役が必要と認めて述べた意見(会社法383条1項)など、6号イ〜チに挙がる規定に基づく意見や発言があったときは、その内容の概要を書きます1。監査役は、原則として取締役会に出席し、必要があると認めるときは意見を述べなければならないとされています(同項本文。監査役が2人以上いる会社で特別取締役による議決の定めがあるときは、ただし書により出席する監査役を互選で定めることができます)7

7号 出席した執行役、会計参与、会計監査人または株主の氏名または名称。この4つに当たる人が出席したときに、その氏名または名称を書きます1。取締役・監査役はこの号の対象ではありません。

8号 議長の氏名。議長が存するときは、議長の氏名を書きます1

署名・記名押印|会社法369条3項〜5項

書面で作ったときは、出席した取締役および監査役が署名し、または記名押印しなければなりません(369条3項)2。条文は署名と記名押印のどちらでもよいとしており2、記載例は記名押印の形をとっています6

押印する印鑑の種類について、会社法369条は指定していません2。指定が出てくるのは、次の節で扱う商業登記規則61条6項の場面です3

電磁的記録で作ったときは、署名または記名押印に代わる措置として法務省令で定めるものをとらなければなりません(369条4項)2

何も言わず決議に参加した取締役について、369条5項は、取締役会の決議に参加した取締役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定すると定めています2。反対したことを後から主張したい取締役にとっては、議事録に反対の旨をとどめておくことが重要になる、という規定です。

登記に添付するとき

議事録を添付する根拠|商業登記法46条2項

商業登記法46条2項は、登記すべき事項につき株主総会・種類株主総会・取締役会・清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならないと定めています4。本店移転で取締役会の決議によって移転先と時期を定めた場合や、取締役会で代表取締役を選定した場合の添付書面が、この議事録です。記載例の添付書類欄には「取締役会議事録(又は取締役の過半数の一致を証する書面) 1通」と書かれています6

本店移転で株主総会の決議まで必要になるか、取締役会の決議で足りるかの判定は、本店移転の株主総会議事録・取締役決定書の書き方本店移転で定款変更が不要なケースで扱っています。

印鑑証明書が要るのは、取締役会で選定した代表取締役の就任の登記のとき|商業登記規則61条6項3号

商業登記規則61条6項は、代表取締役または代表執行役の就任による変更の登記の申請書に、市町村長の作成した印鑑証明書を添付しなければならないと定め、その3号で、取締役会の決議によって代表取締役または代表執行役を選定した場合には、出席した取締役および監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑についての証明書を添付するとしています3

同項ただし書は、その印鑑と、変更前の代表取締役または代表執行役(取締役を兼ねる者に限る)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでないとしています3。変更前の代表取締役等が会社の届出印を議事録に押していれば、この限度で証明書が要らなくなる、という構造です。

つまり、取締役会議事録に押す印鑑の種類が登記の場面で問題になるのは、取締役会で選定した代表取締役等の就任の登記に添付する議事録に限られます。本店移転や支店の設置・移転など、代表取締役等の就任を伴わない決議の議事録は、61条6項の対象ではありません3。代表取締役の選定を含む役員変更の全体像は役員変更登記のやり方で扱っています。

原本を返してもらう|商業登記規則49条

登記の申請人は、申請書に添付した書類の還付を請求することができます(商業登記規則49条1項)3。請求するには、申請書に当該書類と相違がない旨を記載した謄本(コピー)も添付します(同条2項)3。取締役会議事録は会社が本店に備え置く書類でもあるため(次々節)、原本還付を請求できることを覚えておくと役に立ちます。

会議を開かずに決めたとき|みなし決議の議事録

会社法370条は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をし、その事項について議決に加わることができる取締役の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができるとしています。監査役設置会社では、監査役がその提案について異議を述べたときは除かれます5。株主総会のみなし決議(会社法319条1項)と違い、定款の定めが前提です58

この方法で決議があったものとみなされた場合も、議事録は作ります。施行規則101条4項1号は、その議事録の内容として4点を挙げています。みなされた決議の事項の内容(イ)、その事項を提案した取締役の氏名(ロ)、取締役会の決議があったものとみなされた日(ハ)、そして議事録作成の職務を行った取締役の氏名(ニ)です1。会議を開いていないため、開催の日時・場所や議長の氏名ではなく、この4点が記載事項になります。

登記に使うときは、商業登記法46条3項により、議事録に代えて「当該場合に該当することを証する書面」を添付します4。会社法370条の要件(定款の定め、議決に加わることができる取締役全員の同意、監査役設置会社では監査役の異議がないこと)を満たしていることを示す書面が、これに当たります。具体的にどの書面で示すかは、管轄の法務局にご確認ください。

保管|取締役会の日から10年間、本店に備え置く

会社法371条1項は、取締役会設置会社は、取締役会の日(みなし決議の日を含む)から10年間、議事録(みなし決議のときは同意の意思表示を記載・記録した書面または電磁的記録)を本店に備え置かなければならないと定めています2。株主は、権利を行使するため必要があるときは、営業時間内はいつでも閲覧・謄写を請求できます(同条2項)。ただし監査役設置会社などでは、この請求に裁判所の許可が必要とされています(同条3項)2

FAQ|よくある質問

Q. 出席していない取締役の名前も書きますか。

A. 会社法369条3項が署名・記名押印を求めているのは「出席した取締役及び監査役」です2。記載例も「出席取締役」「出席監査役」として出席者を列挙し、総取締役数は「(総取締役数○名)」の形で別に示しています6。欠席した取締役に押印させる形にはなっていません。ただし、氏名の記載と押印は別の話で、決議事項について特別の利害関係を有する取締役がいるときは、出席の有無にかかわらず規則101条3項5号によりその氏名を書きます1

Q. 議長の氏名は必ず書くのですか。

A. 施行規則101条3項8号は「取締役会の議長が存するときは、議長の氏名」としています1。議長を置いたなら書きます。

Q. 取締役会を置いていない会社では、この議事録は要りますか。

A. 取締役会を置かない会社で取締役が2人以上いる場合、業務の決定は定款に別段の定めがある場合を除き取締役の過半数で行うとされています(会社法348条2項)2。この場合の書面を、記載例は「取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会を設置しない会社の場合)」として、「取締役決定書」という表題で示しています6。登記の添付書面としての根拠は商業登記法46条1項(ある取締役の一致を要するときは、その一致があったことを証する書面)です4。書き方は本店移転の株主総会議事録・取締役決定書の書き方で扱っています。

Q. 議事録に押した印鑑の印鑑証明書は、登記のたびに必要ですか。

A. 商業登記規則61条6項で議事録の押印についての印鑑証明書が求められるのは、代表取締役等の就任による変更の登記で、取締役会の決議によってその代表取締役等を選定した場合です。変更前の代表取締役等の登記所提出印と同一であれば、ただし書により添付を要しません3。本店移転の議事録など、代表取締役等の就任を伴わない登記では同項の対象になりません。個別の事案での要否は、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。

Q. 議事録の日付は開催日と同じですか。

A. 記載例では、冒頭に開催の「令和○年○月○日午前○時○分」があり、末尾の記名押印欄の上にも「令和○年○月○日」の欄があります6。前者は規則101条3項1号の開催日時です1。末尾の日付欄の位置づけについて、記載例に説明はありません。

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参照法令・出典(確認日: 2026-08-29)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。株式会社のうち取締役会設置会社の一般的なケースを対象としており、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社については、議事録の記載事項や登記の添付書面が本記事の説明と異なります。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-08-29)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 会社法施行規則101条(取締役会の議事録・書面又は電磁的記録・第3項各号の記載事項・第4項みなし決議の場合の記載事項)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010012#Mp-At_101 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

  2. 会社法348条(業務の執行・取締役の過半数をもって決定)・369条(取締役会の決議・議事録の作成・署名又は記名押印・電磁的記録・異議をとどめない取締役の推定)・371条(議事録等の備置き・十年間・閲覧謄写)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_369 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

  3. 商業登記規則49条(添付書類の還付・相違がない旨を記載した謄本)・61条6項(代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記・3号取締役会の決議によって選定した場合・ただし書)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-At_61 2 3 4 5 6 7 8 9

  4. 商業登記法46条(添付書面の通則・1項一致を証する書面・2項議事録・3項みなし決議の場合に該当することを証する書面・4項5項監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_46 2 3 4 5

  5. 会社法370条(取締役会の決議の省略・議決に加わることができる取締役の全員・定款で定めることができる・監査役が異議を述べたときを除く)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_370 2 3

  6. 法務局 記載例「株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外への移転)」のうち「取締役会議事録(取締役会設置会社の場合)」「取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会を設置しない会社の場合)」及び添付書類欄 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252661.pdf 2 3 4 5 6 7 8

  7. 会社法383条1項(監査役の取締役会への出席義務・意見・ただし書)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_383

  8. 会社法319条1項(株主総会の決議の省略)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_319

  9. wiz法人登記 サービス仕様(当社確認 2026-08-24: 本店移転で作成する書類は株主総会議事録・取締役決定書・株主リスト・登記申請書。取締役会設置会社・監査役設置会社は非対応) https://app.wiztouki.com

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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