賃貸オフィスへの本店移転|登記前に確認すべき注意点

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結論から。賃貸オフィス(賃貸事務所・レンタルオフィス)へ会社の本店を移す場合も、行う手続きは「本店移転の変更登記」です。 本店の所在場所は登記事項であり(会社法911条3項3号)1、変更が生じた日から2週間以内の変更登記が義務づけられています(会社法915条1項)2。使う申請書も、法務局が記載例を公表している「株式会社本店移転登記申請書」です3

賃貸オフィスならではの注意点は、日付の区別にあります。登記すべき事項に記載する移転の日付は、議事録に記載されている移転の時期(実際に移転した日)であって3、賃貸借契約を結んだ日ではありません。また、本店移転の日より前に登記を申請することはできません3

本記事は株式会社の一般的なケースを対象に、賃貸オフィスへ移転するときの段取り・住所の書き方・費用の分かれ目を、法令と法務局の記載例に基づいて解説します。まずは早見表からどうぞ。

知りたいこと答え
賃貸オフィスに本店登記できる?本店の所在場所は登記事項1。賃貸オフィスへの移転も「株式会社本店移転登記申請書」で申請する3
申請の期限は?移転日(変更が生じた日)から2週間以内2
登録免許税は?本店移転の登記は1箇所につき3万円45。管轄外への移転は旧・新2通の申請書でそれぞれ3万円(計6万円)3
最初にやることは?定款の本店所在地の定めを確認する。移転先が定款の定めの範囲外なら、株主総会の決議による定款変更が必要67
契約すればすぐ申請できる?できない。本店移転の日より前に登記を申請することはできない3

賃貸オフィスでも本店移転登記はできる?|会社法の枠組み

会社法が本店について定めているのは、次の2点です。

  • 定款には本店の所在地を記載する(会社法27条3号)6
  • 本店及び支店の所在場所は登記する(会社法911条3項3号)1

そして、登記した事項に変更が生じた場合、その日から2週間以内の変更登記が義務です(会社法915条1項)2。賃貸オフィスへの移転も、この枠組みの中で「本店の所在場所の変更」として登記を申請します。

法務局が公表している本店移転登記申請書の記載例で申請書に記載するのは、会社法人等番号・商号のフリガナ・商号・本店・登記の事由・登記すべき事項・登録免許税・添付書類といった事項です3

一方で、登記とは別の問題として、その物件を会社の事務所として使うことについては、賃貸借契約や建物の管理規約に定めがある場合があります。契約前に契約書の内容を確認し、判断に迷う点があれば貸主・管理会社への確認や、司法書士・弁護士など専門家への相談をご検討ください。なお、住所や郵便物受取サービスのみを利用するバーチャルオフィスへの移転はバーチャルオフィスへの本店移転で扱います。

移転の段取り|「契約日」「移転日」「申請日」を区別する

賃貸オフィスへの移転では、賃貸借契約の締結日、実際に移転した日、登記を申請する日という3つの日付が登場します。登記の基準になるのは「実際に移転した日」です3。時系列で整理します。

1. 定款の確認

最初に、自社の定款で本店の所在地がどう定められているかを確認します。定款には本店の所在地を記載しなければならないため(会社法27条3号)6、移転先が定款の定めの範囲に収まるかどうかで、定款変更の要否が変わります。定款を変更する場合は、株主総会の決議が必要です(会社法466条)7。要否の判断の考え方は本店移転で定款変更が不要なケースで詳しく解説しています。

2. 移転の決議

法務局の記載例では、取締役会議事録(取締役会を置かない会社では取締役の過半数の一致を証する書面)に、本店移転先の住所と移転の時期を記載する例が示されています3。定款変更を伴う場合は、株主総会議事録も作成します3。議事録の日付や記載内容は、後の登記申請書と整合させる前提で作成します。

3. 賃貸借契約・入居準備

賃貸借契約の締結や内装・引越しの準備はこの段階ですが、契約日そのものが登記の「移転日」になるわけではない点に注意してください。登記すべき事項に記載する日付は、次の「実際に移転した日」です3

4. 実際の移転

記載例では、登記すべき事項の日付について「変更の決議をした議事録に記載されている移転の時期(実際に移転した日)を記載します」と案内されています3

5. 登記申請

実際に移転した日から2週間以内に、本店移転の変更登記を申請します(会社法915条1項)2。記載例には「本店移転の日より前に、本店移転の登記の申請をすることはできません」とあり3、前倒しの申請はできません。必要書類の詳細は本店移転登記の必要書類、手続き全体の流れは本店移転登記の完全ガイドを参照してください。

住所の書き方|ビル名・部屋番号の扱い

登記されるのは「本店の所在場所」です(会社法911条3項3号)1。法務局の記載例では、申請書の本店欄も、登記すべき事項の移転先も「○県○市○町○丁目○番○号」という形式で示されています3。取締役会議事録の移転先も同じ形式です3

一方、定款の定めについては、記載例の株主総会議事録(定款変更の例)に「当会社は、本店を○県○市に置く。」という条文例が示されています3。定款は市までの大きな単位で定め、登記には具体的な所在場所を記載する、という対応関係が記載例から読み取れます。

賃貸オフィスではビル名や部屋番号まで住所に含めるかどうかが気になるところですが、記載例で示されているのは「○丁目○番○号」までの形式です3。ビル名・部屋番号を登記に含めたい場合の取扱いは、申請前に管轄の法務局に確認するのが確実です。決議の議事録に記載する移転先と申請書の記載がずれると訂正の手間が生じるため、表記は決議の段階からそろえておきましょう。

管轄内か管轄外かで税額と申請書の数が変わる

本店移転の登記の登録免許税は、本店1箇所につき3万円です(登録免許税法別表第一)4。国税庁の税額表でも「本店または支店の移転の登記」は1箇所につき3万円とされています5

移転先が同じ法務局(登記所)の管轄内かどうかで、申請の形が変わります。

区分申請書登録免許税
管轄内の移転1通3万円45
管轄外の移転変更前宛て・変更後宛ての2通各3万円(計6万円)3

管轄外への移転では、変更前の本店所在地宛てと変更後の本店所在地宛ての2通の申請書を作成し、2通を同時に、変更前の本店所在地の登記所に提出します3。記載例では、この2通の登録免許税がいずれも金3万円とされています3。手続きの詳細は管轄内の本店移転管轄外の本店移転でそれぞれ解説しています。

定款変更が必要かどうかを先に確認する

移転先の住所が決まったら、登記の前に定款を確認します。定款には本店の所在地を記載しなければならず(会社法27条3号)6、定款を変更するには株主総会の決議が必要です(会社法466条)7。定款の定め方と移転先の関係によって定款変更の要否が変わるため、判断の考え方は本店移転で定款変更が不要なケースを参照してください。

登記のあとに必要な届出

登記が完了しても、手続きはそれで終わりではありません。たとえば納税地の異動をした場合には、異動届出書を異動等後速やかに、異動前の納税地の所轄税務署長に提出します(e-Taxでの提出も案内されています)8。税務署以外にも届出先があるため、全体は本店移転後に必要な手続きにまとめています。

FAQ|よくある質問

Q. 居住用の賃貸マンションを本店にできますか?

A. 登記手続きの面では、本店の所在場所の変更として本店移転登記を申請する点は本記事の内容と同様です21。一方で、その物件を会社の事務所として使うことについては、賃貸借契約や管理規約に定めがある場合があります。契約内容を確認のうえ、必要に応じて貸主・管理会社への確認や専門家への相談をご検討ください。

Q. 賃貸借契約を結べば、入居前でも登記申請できますか?

A. できません。法務局の記載例では「本店移転の日より前に、本店移転の登記の申請をすることはできません」と案内されています3。登記すべき事項に記載する日付は、議事録に記載されている移転の時期(実際に移転した日)です3。契約から入居まで期間が空く場合は、決議で定める移転の時期を実態に合わせて設定してください。

Q. レンタルオフィスの住所でも同じ手続きですか?

A. 個室などを借りて実際に使うレンタルオフィス(サービスオフィス)への移転も、本記事で説明した本店移転登記の流れで申請します23。ただし、本店所在地としての利用(登記利用)を認めるかどうかは事業者や契約プランによって異なるため、利用契約の内容を確認してください。住所利用が中心のバーチャルオフィスについてはバーチャルオフィスへの本店移転で解説しています。

Q. 2週間の期限はいつから数えますか?

A. 起算の基準は、変更が生じた日、つまり実際に移転した日です23。賃貸借契約の締結日や鍵の引渡し日から数えるのではありません。決議した移転の時期と実際の移転日を一致させておくと、期限の管理が明確になります。

移転日が決まれば、書類の準備は始められます

賃貸オフィスへの本店移転は、定款の確認・移転の決議・実際の移転・登記申請という段取りさえ押さえれば、着実に進められる手続きです。移転日と移転先の住所が固まった段階で、議事録や申請書の準備を始めましょう。

wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、本店移転登記に必要な株主総会議事録・株主リスト・登記申請書をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。なお、登録免許税などの実費は別途必要です。


参照法令・出典(確認日: 2026-07-19)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-19)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 会社法911条3項3号(株式会社の設立の登記・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2 3 4 5

  2. 会社法915条1項(変更の登記・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2 3 4 5 6 7

  3. 法務局 株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外に移転する場合)記載例 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252661.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

  4. 登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2 3

  5. 国税庁 タックスアンサーNo.7191 登録免許税の税額表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm 2 3

  6. 会社法27条(定款の記載又は記録事項・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2 3 4

  7. 会社法466条(定款の変更・e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2 3

  8. 国税庁 C1-8 異動事項に関する届出 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_5.htm

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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