同じ管轄内での本店移転登記(管内移転)|最短ケースなら書類2種類

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結論から。同じ法務局の管轄内での本店移転(管内移転)は、申請書1通・登録免許税3万円で登記でき、自分で申請できます。 さらに、定款を変えなくてよいケースなら、法務局に出す書類は実質2種類(申請書+取締役の決定を証する書面)で済みます。本記事は株式会社の一般的なケースを前提に解説します(特殊なケースは法務局・司法書士にご確認ください)。

項目内容
申請書1通(管外移転のような2通提出はなし)
登録免許税3万円(1箇所につき3万円)123
申請期限移転日から2週間以内(会社法915条1項)4
提出先本店を管轄する法務局
最短ケースの書類申請書+取締役決定書(または取締役会議事録)の2種類3
定款変更が必要な場合上記に株主総会議事録+株主リストが加わる3
様式・記載例法務局が様式1-13として無料公開5

最短ケース|定款変更なしなら「申請書+取締役決定書」の2種類

管内移転が最小の手間で終わるのは、定款に本店の所在地が最小行政区画(市区町村、東京の特別区など)までで書かれていて、その区画の中で移転する場合です。

法務局の記載例(様式1-13)の注記には、この場合「株主総会の決議は必要なく、取締役会の決議(取締役会設置会社でない会社にあっては、取締役の過半数の一致)により移転することになりますので、株主総会議事録及び株主リストの添付を要しません」と明記されています3

たとえば定款が「当会社は、本店を東京都新宿区に置く」となっていて新宿区内の別のビルへ移る場合、必要なのは次の2種類だけです(代理人に頼む場合は委任状も)。なお申請書には収入印紙貼付台紙を綴じるため、複数ページになるときは申請書に押印した人がつづり目に契印します3

  1. 本店移転登記申請書 1通
  2. 取締役決定書(取締役会設置会社は取締役会議事録) 1通

代理人に申請を頼むときだけ、これに委任状が加わります3。取締役決定書・取締役会議事録のひな形も様式1-13の記載例に含まれているので、そのまま参考にできます3

定款変更が必要な管内移転もある

「管内=定款変更不要」ではない点に注意してください。本店の所在地は定款に必ず記載する事項なので(会社法27条3号)6移転先が定款の記載の範囲から外れるなら、同じ管轄内でも定款変更が必要です。たとえば次のようなケースです。

  • 1つの法務局が複数の市町村を管轄していて、定款記載の市から管轄内の別の市へ移る場合
  • 定款に番地まで書いてあり、移転で記載と実際が食い違う場合

定款変更は株主総会の決議事項で(会社法466条)7、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成による特別決議を要します(定足数は議決権の過半数。会社法309条2項11号)8。このとき申請書には株主総会議事録と株主リストを添付します3。具体的な移転先と移転日は、取締役会の決議(取締役会非設置会社では取締役の過半数の一致)で決めます(会社法362条2項1号・348条2項)9

議事録の書き方は本店移転の議事録の作り方で詳しく解説しています。

管内か管外かの見分け方|管轄法務局の調べ方

管内移転かどうかは、移転前と移転後の住所を管轄する登記所(法務局・支局・出張所)が同じかどうかで決まります。法務局の「管轄のご案内」ページで都道府県ごとの法務局を選ぶと、管轄一覧と地図から各登記所の管轄区域を確認できます(商業・法人登記の管轄は不動産登記と異なる場合があるため、「商業・法人登記」の列を見てください)10

登記所の管轄区域は市区町村の区割りと必ずしも一致しないので、「同じ市だから管内のはず」と思い込まず、新旧両方の住所を必ず確認してください。

管轄をまたぐ場合(管外移転)は、申請書が2通になり登録免許税も合計6万円となるうえ、2通とも旧所在地の法務局へ同時に提出する「経由申請」という別ルールが適用されます(商業登記法51条)11。詳しくは管轄外への本店移転登記の進め方をご覧ください。

申請から完了までの流れ

  1. 定款の本店規定を確認し、必要な決議を行う(最短ケースは取締役の決定のみ)
  2. 申請書を作成する。様式(Word)と記載例(PDF)は法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページの様式1-13から入手できます5。書き方の詳細は本店移転登記申請書の書き方
  3. 収入印紙3万円分を収入印紙貼付台紙に貼る(割印はしない)35
  4. 移転の日から2週間以内に、管轄の法務局へ提出する4

2つ注意点があります。まず、移転日より前に登記申請はできません。登記の原因日付は、決議で定めた実際の移転日を記載します35。次に、申請してから登記が完了するまでは、その会社の証明書(登記事項証明書・印鑑証明書)を原則取得できなくなります5。完了時期は、申請した法務局のホームページにある「登記完了予定日」が目安になります(補正がある場合などを除く。管轄をまたぐ移転と違い、管内移転は目安の対象です)5

なお、管内移転では登記所が変わらないため、管外移転で話題になる印鑑カードの再交付のような印鑑関係の手続きは生じません11

移転先の「同一商号・同一本店」に注意

商号の登記は、他人(他の会社など)が既に登記している商号と同一で、かつ本店の所在場所も同一のときはできません(商業登記法27条)12。同じビルの同じ部屋に同じ商号の会社が登記されているケースはまれですが、シェアオフィス等へ移転する場合は、念のため移転先住所に同一商号の登記がないかを事前に確認しておくと安全です。

よくある質問

Q. 株主総会は必ず開く必要がありますか? A. いいえ。定款に最小行政区画までが書かれていて、その範囲内で移転する一般的なケースでは株主総会の決議は不要です3。定款の記載範囲を超える場合のみ特別決議が必要です8

Q. 2週間の期限を過ぎるとどうなりますか? A. 期限後も申請自体はできますが、登記の懈怠(けたい)は100万円以下の過料の対象と定められています(会社法976条1号)13。個別の事情は法務局または司法書士にご相談ください。

Q. 登記が完了したかどうかは、どうやって分かりますか? A. 登記完了予定日まで法務局から連絡がなければ、補正等がなく登記手続が完了したことになります5

Q. 登記のほかにやることはありますか? A. 税務署や年金事務所などへの届出が別途必要になる場合があります。全体像は会社の住所変更手続きまとめで整理しています。

書類作成はオンラインで

管内移転は本店移転の中でもっとも書類が少ないケースです。とはいえ、申請書と決定書の整合(移転日・新住所の表記)がずれると補正の原因になります。

wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、本店移転登記に必要な書類をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。このほか登録免許税3万円などの実費が別途かかります。


参照法令・出典(確認日: 2026-07-15)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-07-15)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 登録免許税法 別表第一24号(一)ヲ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035

  2. 国税庁 タックスアンサーNo.7191 登録免許税の税額表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

  3. 法務局 株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内で移転する場合)記載例(様式1-13) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001364566.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

  4. 会社法915条1項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2

  5. 法務局 商業・法人登記の申請書様式 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2 3 4 5 6 7

  6. 会社法27条3号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  7. 会社法466条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  8. 会社法309条2項11号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 2

  9. 会社法362条2項1号・348条2項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

  10. 法務局 管轄のご案内 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

  11. 商業登記法51条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 2

  12. 商業登記法27条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125

  13. 会社法976条1号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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