結論を先に3つ書きます。
1つ目。増資(金銭の払込みによる募集株式の発行)は、①募集事項の決定 → ②引受けの申込みと割当て(または総数引受契約) → ③出資の履行(払込み) → ④効力発生 → ⑤変更登記、の順で進みます。公開会社でない株式会社(発行する全部の株式に譲渡制限のある会社。以下「非公開会社」)では、募集事項の決定は原則として株主総会の特別決議です(会社法199条2項・309条2項5号)12。
2つ目。変更登記の登録免許税は、増加した資本金の額の1000分の7。計算した税額が3万円に満たないときは、申請1件につき3万円です(登録免許税法 別表第一24号(一)ニ)34。課税標準は「払い込まれた総額」ではなく「増加した資本金の額」です。払込額の2分の1を超えない額は資本金として計上せず資本準備金にできるため(会社法445条2項・3項)5、資本金への計上額によって税額は変わります。
3つ目。変更登記の期限は原則2週間以内です。資本金の額も発行済株式の総数も登記事項なので(会社法911条3項5号・9号)、変更が生じたときから2週間以内に変更登記をしなければなりません(会社法915条1項)6。払込みの「期間」を定めた場合は、期間の末日から2週間以内で足ります(同条2項)6。
本記事は、非公開会社が、金銭の出資により、第三者割当てまたは株主割当てで募集株式を発行する場合を軸に説明します。公開会社の特則(会社法201条)と現物出資(会社法207条)は末尾で触れます。減資(資本金の額の減少)は対になる記事減資とはで扱っています。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 誰が増資を決めるのか | 非公開会社では原則として株主総会の特別決議(会社法199条2項・309条2項5号)12。委任(200条)・株主割当ての定款の定め(202条3項)・公開会社の特則(201条)の例外あり78 |
| 決めること | 募集株式の数・払込金額・払込みの期日または期間・増加する資本金と資本準備金に関する事項など(会社法199条1項)1 |
| お金はいつ・どこに払うのか | 払込みの期日または期間内に、会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所で全額を払い込む(会社法208条1項)9 |
| いつ株主になるのか | 払込期日を定めた場合はその期日。払込期間を定めた場合は出資の履行をした日(会社法209条1項)9 |
| 登記の期限 | 原則、変更から2週間以内(会社法915条1項)。払込期間を定めた場合は期間の末日から2週間以内で足りる(同条2項)6。数え方は変更登記の期限へ |
| 登録免許税 | 増加した資本金の額の1000分の7。3万円に満たないときは申請1件につき3万円(別表第一24号(一)ニ)34 |
| 必要書類 | 決議・決定機関に応じた議事録または決定書(株主総会議事録・取締役会議事録・取締役の決定書)・株主リスト(株主総会の決議を要する場合)・申込みを証する書面(または総数引受契約書)・払込みがあったことを証する書面・資本金の額の計上に関する証明書など(商業登記法46条・56条、商業登記規則61条)101112 |
| 自分でできるか | 登記申請は会社の代表者本人が行えます。書式と記載例は法務局サイト(項番1-20・1-29)にあります1213。依頼の判断は司法書士に頼むべきかへ |
増資の全体の流れ|5つのステップ
金銭出資・第三者割当ての基本形は次のとおりです。
| ステップ | すること | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 1 | 募集事項の決定(非公開会社は原則、株主総会の特別決議) | 会社法199条・309条2項5号12 |
| 2 | 引受けの申込みと割当て。割り当てる株式数を申込者に通知(払込期日の前日まで) | 会社法203条・204条14 |
| 2' | (2の代わりに)総数引受契約の締結と承認 | 会社法205条15 |
| 3 | 出資の履行(払込みの取扱いの場所で全額払込み) | 会社法208条9 |
| 4 | 効力発生(引受人が株主になる)・資本金の計上 | 会社法209条・445条95 |
| 5 | 変更登記の申請(原則2週間以内) | 会社法915条6 |
以下、順に見ていきます。
STEP1 募集事項の決定|非公開会社は原則、株主総会の特別決議
株式会社は、発行する株式(または処分する自己株式)を引き受ける者を募集するときは、その都度、募集事項を定めなければなりません。会社法199条1項が挙げるのは次の事項です1。
- 募集株式の数
- 募集株式の払込金額(1株と引換えに払い込む金銭の額)またはその算定方法
- 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨と財産の内容・価額
- 金銭の払込み(または財産の給付)の期日またはその期間
- 株式を発行するときは、増加する資本金および資本準備金に関する事項
この募集事項の決定は、原則として株主総会の決議によります(会社法199条2項)1。そしてこの決議は、会社法309条2項5号に列挙された特別決議です。原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数で行います(定足数は定款で3分の1まで軽減可、多数決要件は定款で加重可)2。
議事録の作成が必要です。議事録の一般的な作り方は株主総会議事録の作り方を参照してください。法務局の記載例1-20Aにも、募集事項を決定する臨時株主総会議事録の例が載っています12。
なお、払込金額が引受人に特に有利な金額である場合には、取締役は株主総会でその払込金額で募集をすることを必要とする理由を説明しなければなりません(会社法199条3項)1。どのような場合が「特に有利」に当たるかの判断は個別性が強いため、本記事では扱いません。迷う場合は司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。
例外1|取締役(取締役会)への委任(会社法200条)
株主総会は、その決議(これも特別決議です2)によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社では取締役会)に委任できます。この場合、委任に基づいて決定できる募集株式の数の上限と払込金額の下限を定めなければなりません(会社法200条1項)7。この委任の決議は、払込みの期日(期間を定めた場合はその末日)が決議の日から1年以内の募集についてのみ効力を持ちます(同条3項)7。
例外2|株主割当て(会社法202条)
既存の株主(発行会社自身を除く)に、その持株数に応じて割当てを受ける権利を与えて募集する方法です。割当てを受ける募集株式の数に1株に満たない端数があるときは、切り捨てられます(会社法202条1項・2項)8。この場合の募集事項等の決定機関は、次の区分によります(同条3項)8。
| 区分 | 決定機関 |
|---|---|
| 定款に「取締役の決定で定めることができる」旨の定めがある場合(取締役会設置会社を除く) | 取締役の決定 |
| 定款に「取締役会の決議で定めることができる」旨の定めがある場合 | 取締役会の決議 |
| 公開会社 | 取締役会の決議 |
| 上記以外 | 株主総会の決議(特別決議2) |
株主割当てでは、申込期日の2週間前までに、株主に対して募集事項・割当てを受ける株式数・申込期日を通知しなければなりません(同条4項)8。株主が申込期日までに申込みをしないと、割当てを受ける権利を失います(会社法204条4項)14。
決定の前に確認しておくこと|発行可能株式総数
定款には、株式会社が発行することができる株式の総数(発行可能株式総数)が定められています(会社法37条1項)16。募集後の発行済株式の総数がこの枠に収まるかを事前に確認し、収まらない場合は発行可能株式総数を増やす定款変更を先に検討することになります。定款変更の手続きは定款変更の手続きを参照してください。なお、公開会社では発行可能株式総数を発行済株式の総数の4倍を超えて増加できない規律がありますが(会社法113条3項)、非公開会社が非公開のまま変更する場合はこの4倍規制の対象に挙げられていません16。
STEP2 申込みと割当て|割当通知は払込期日の「前日」まで
申込み: 会社は、申込みをしようとする者に商号・募集事項・払込みの取扱いの場所などを通知し、申込みをする者は、氏名・住所と引き受けようとする募集株式の数を記載した書面を会社に交付します(会社法203条1項・2項)14。この書面(株式申込証など)は登記の添付書類になります(後述)10。
割当て: 会社は、申込者の中から割当てを受ける者と割り当てる株式数を定めます。申込数より減らして割り当てることもできます(会社法204条1項)14。募集株式が譲渡制限株式である場合、この割当ての決定は、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議によらなければなりません(同条2項)14。この株主総会決議も特別決議です2。
割当通知の期限に注意: 会社は、払込期日(払込期間を定めた場合はその初日)の前日までに、申込者に対して割り当てる株式数を通知しなければなりません(会社法204条3項)14。法務局の記載例も、申込者への通知前に申込者が決定されている必要があるため、払込期日を割当決議に係る株主総会の当日とすることはできないと注意しています12。日程を組むときは、割当ての決議・通知と払込期日の間に少なくとも1日置く形になります。
総数引受契約なら申込み・割当ての手続きを省略できる(会社法205条)
引受人となる者が募集株式の総数を引き受ける契約(総数引受契約)を会社と締結する場合には、203条・204条の申込み・割当ての規定は適用されません(会社法205条1項)15。引受先が決まっている第三者割当てで使われる方法です。ただし、募集株式が譲渡制限株式であるときは、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議によって契約の承認を受けなければなりません(同条2項)15。この承認の株主総会決議も特別決議です2。
申込者には会社が割り当てた数、総数引受契約の場合は引き受けた数について、それぞれ募集株式の引受人となります(会社法206条)15。
STEP3 出資の履行|払込みの取扱いの場所で全額を払い込む
引受人は、払込みの期日または期間内に、会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、募集株式の払込金額の全額を払い込まなければなりません(会社法208条1項)9。実務上は会社名義の銀行口座への振込みが使われ、登記申請には「払込みがあったことを証する書面」を添付します。法務局の記載例では、払込金受入証明書のほか、代表取締役が作成した払込みを受けたことを証明する書面に、預金通帳の写しや取引明細書を合わせてとじたものが挙げられています12。
注意点が2つあります。いずれも条文に明文があります9。
- 相殺はできない: 引受人は、払込みをする債務と会社に対する債権とを相殺できません(会社法208条3項)。会社への貸付金を出資に振り替えたい場合は、金銭債権を出資の目的とする現物出資(デット・エクイティ・スワップ)として別の手続きになります(後述の現物出資の項を参照)
- 払い込まないと失権する: 引受人が出資の履行をしないときは、株主となる権利を失います(会社法208条5項)
STEP4 効力発生と資本金の計上|払込額の2分の1まで資本準備金にできる
株主になる時期: 払込みの期日を定めた場合はその期日に、期間を定めた場合は出資の履行をした日に、引受人は株主となります(会社法209条1項)9。
資本金の額: 株式会社の資本金の額は、原則として、株式の発行に際して株主となる者が払込み(または給付)をした財産の額です(会社法445条1項)。ただし、払込額の2分の1を超えない額は資本金として計上しないことができ、計上しないこととした額は資本準備金として計上しなければなりません(同条2項・3項)5。たとえば1,000万円の払込みなら、資本金1,000万円(全額)〜500万円(半額)の範囲で決められ、資本金にしなかった分は資本準備金になります。いくらを資本金に計上するかは、募集事項の「増加する資本金及び資本準備金に関する事項」(会社法199条1項5号)として決めておく事項です1。
登記申請には、資本金の額が会社法・会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面(資本金の額の計上に関する証明書)を添付します(商業登記規則61条9項)11。法務局が様式を公開しており(項番1-29の2「募集株式発行の場合」)、払込みを受けた金銭の額から資本金等増加限度額を計算する形式です17。
STEP5 変更登記|2週間以内・登録免許税は増加資本金の1000分の7(最低3万円)
増資をすると、登記事項のうち資本金の額(会社法911条3項5号)と発行済株式の総数(同項9号)が変わるため、変更登記が必要です6。
期限
原則として、変更が生じたときから2週間以内に、本店の所在地で変更登記をしなければなりません(会社法915条1項)6。払込みの期間を定めた場合は、期間の末日現在により、末日から2週間以内にすれば足ります(同条2項)6。法務局の記載例でも、登記すべき事項の「変更の年月日」は払込期日または払込期間の末日を記載するとされています12。期間の数え方は変更登記の期限を参照してください。登記を怠った場合は、会社法976条1号の過料(100万円以下)の対象になり得ます18。過料の実情は変更登記をしないとどうなるかで扱っています。
必要書類
金銭出資・第三者割当ての場合の主な添付書類です。根拠は商業登記法46条・56条、商業登記規則61条と、法務局の記載例1-20Aです101112。
議事録・決定書は、募集事項の決定・割当ての決定・総数引受契約の承認をどの機関で行ったかに応じて添付するものが変わります。株主総会・取締役会の決議によった事項についてはその議事録を(商業登記法46条2項)、取締役会を設置しない会社で取締役の決定によった事項については、その決定(一致)があったことを証する書面(取締役決定書)を添付します(同条1項)10。決定の要件について、記載例1-20Aの注は、取締役が複数いる場合は、定款に別段の定めがない場合、取締役の過半数により決定する必要があるとしています12。法務局の記載例1-20Aの添付書類欄にも「株主総会議事録」「取締役決定書」が並記され、添付の要否は場合によるとの注記があります12。
| 書類 | 説明 |
|---|---|
| 株主総会議事録 | 募集事項の決定・割当決議・総数引受契約の承認を株主総会の決議で行った場合(商業登記法46条2項)10。委任(200条)の場合は、委任の決議をした株主総会議事録 |
| 取締役会議事録 | 取締役会設置会社で、割当ての決定(204条2項)・総数引受契約の承認(205条2項)や、委任(200条)・株主割当ての定款の定め(202条3項2号)に基づく募集事項の決定を取締役会の決議で行った場合(商業登記法46条2項)10 |
| 取締役の決定書 | 取締役会を設置しない会社で、委任(200条)や株主割当ての定款の定め(202条3項1号)に基づき取締役の決定で定めた場合。取締役の決定(一致)があったことを証する書面として添付します(商業登記法46条1項)1012 |
| 定款 | 取締役会を設置しない会社で、定款の定めに基づき割当て先・割り当てる募集株式を取締役の決定で定めた場合。記載例1-20A(A-2)の注は、その権限を取締役に与える定款の定めがあることを登記官が確認するため、登記申請の際には定款の添付が必要としています12。そのほか定款の定めに依拠して決定機関を変えた場合(202条3項2号・204条2項ただし書・205条2項など)の定款添付の要否は、管轄の法務局にご確認ください |
| 株主リスト | 登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合の添付書面(商業登記規則61条3項)11。議決権数上位10名か、議決権割合の合計が3分の2に達するまでのいずれか少ない方の株主を記載します。書き方は株主リストの書き方へ |
| 募集株式の引受けの申込みを証する書面(株式申込証)または総数引受契約を証する書面 | 商業登記法56条1号10 |
| 払込みがあったことを証する書面 | 商業登記法56条2号10。払込金受入証明書、または代表取締役作成の証明書+通帳の写し・取引明細書等12 |
| 資本金の額の計上に関する証明書 | 商業登記規則61条9項11。様式は法務局の項番1-29の217 |
| 委任状 | 代理人に申請を委任する場合のみ12 |
申請書の様式・記載例は、法務局「商業・法人登記の申請書様式」の項番1-20にあります。記載例は、A(非公開会社のうち取締役会を設置しない会社)・B(非公開会社のうち取締役会設置会社)・C(公開会社)に分かれています13。申請書の書き方の基本は登記申請書の書き方、窓口・郵送・オンラインの申請方法は変更登記の申請方法を参照してください。
登録免許税の計算
募集株式の発行による変更登記(資本金の増加の登記)の登録免許税は、登録免許税法 別表第一24号(一)ニが定めています。課税標準は増加した資本金の額、税率は1000分の7。これによって計算した税額が3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円です3。国税庁の税額表(タックスアンサーNo.7191)も、株式会社の資本金の増加の登記について「1,000分の7」「3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円」と案内しています4。
| 例 | 増加した資本金の額 | 計算 | 登録免許税 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1,000万円 | 1,000万円 × 7/1000 = 7万円 | 7万円 |
| 2 | 300万円 | 300万円 × 7/1000 = 2万1,000円 → 3万円未満 | 3万円 |
| 3 | 1,000万円の払込みのうち500万円を資本準備金に計上 | 500万円 × 7/1000 = 3万5,000円 | 3万5,000円 |
ポイントは、課税標準が払込総額ではなく資本金として計上した額だという点です。例3のように、払込額の2分の1を資本準備金に回すと(会社法445条2項・3項)5、資本金の増加額が小さくなる分、登録免許税の計算も変わります。資本金をいくらにするかは税務にも影響し得るため、金額の設計は税理士等にご相談ください。
端数の処理について、法務局の記載例は、課税標準に1,000円未満の端数があるときは切り捨て、税額に100円未満の端数があるときは切り捨てると案内しています12。納付は収入印紙または領収証書を申請書(収入印紙貼付台紙)に貼る方法などによります(登録免許税法21条・22条・24条の2)1912。
なお、増資と同時に別区分の登記(役員変更・本店移転など)を同じ申請書で申請する場合は、区分ごとに計算した額の合計になります(登録免許税法18条)19。
公開会社の場合|取締役会の決議で決められる
公開会社(発行する全部または一部の株式に譲渡制限のない株式会社。会社法2条5号)では、有利発行(会社法199条3項に規定する場合)を除き、募集事項の決定は株主総会ではなく取締役会の決議によります(会社法201条1項)7。その代わり、原則として、払込期日(期間の場合は初日)の2週間前までに株主に募集事項を通知(または公告)しなければなりません(同条3項・4項)7。ただし、その期日の2週間前までに金融商品取引法4条1項〜3項の届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、この通知の規定は適用されません(同条5項)7。公開会社の記載例は法務局の項番1-20のC様式です13。本記事の軸である非公開会社とは決定機関・スケジュールの組み方が変わるため、公開会社の増資は司法書士等へ相談することをおすすめします。
現物出資の場合|検査役の調査という別途の手続きがある
金銭以外の財産(不動産・債権など)を出資の目的とする場合は、募集事項にその旨と財産の内容・価額を定めたうえで(会社法199条1項3号)1、原則として裁判所に検査役の選任を申し立て、財産の価額の調査を受ける必要があります(会社法207条1項)20。現物出資財産の価額の総額が500万円を超えない場合や、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合など、検査役の調査が不要になる例外もあります(同条9項)20。添付書類も金銭出資と異なります(商業登記法56条3号)10。手続きの負担が大きく個別性も強いため、本記事では深入りしません。検討する場合は司法書士・弁護士等にご相談ください。
FAQ|よくある質問
Q. 増資に株主総会は必ず必要ですか。
A. 非公開会社では、募集事項の決定は原則として株主総会の特別決議です(会社法199条2項・309条2項5号)12。ただし、株主総会の特別決議で取締役(取締役会)に決定を委任した場合(200条)や、株主割当てについて定款に取締役決定・取締役会決議による旨の定めがある場合(202条3項)は、その決議・決定で進められます78。公開会社では原則として取締役会の決議です(201条1項)7。
Q. 登録免許税は必ず3万円ですか。
A. 3万円は下限です。増加した資本金の額 × 1000分の7 が3万円以上になれば、その計算額です(別表第一24号(一)ニ)34。計算額が3万円を超える範囲では、増加した資本金の額に応じて税額も大きくなります(計算額が3万円に満たない範囲では、一律3万円です)。
Q. 1,000万円の払込みを受けて、資本金の増加を500万円にすることはできますか。
A. 払込額の2分の1を超えない額までは資本金として計上しないことができ、その分は資本準備金として計上します(会社法445条2項・3項)5。1,000万円の払込みなら、資本金にしない額は最大500万円です。この場合、法務局の様式には、資本金の額の計上に関する証明書にその旨を記載するとともに、その額を決定したことを証する取締役会議事録等の添付を要すると注記されています17。
Q. 株主総会の当日を払込期日にできますか。
A. 割当てを決議する総会の当日を払込期日とすることはできない、と法務局の記載例が注意しています。払込期日(期間の初日)の前日までに申込者へ割り当てる株式数を通知しなければならないためです(会社法204条3項)1412。総数引受契約による場合は申込み・割当ての規定自体が適用されないため(205条1項)15、日程の組み方が変わります。
Q. 会社への貸付金を資本金に振り替えられますか(DES)。
A. 引受人は払込債務と会社に対する債権を相殺できません(会社法208条3項)9。金銭債権を出資の目的とする場合は現物出資の手続きによることになり、検査役の調査の原則と例外(弁済期到来済みの金銭債権で帳簿価額を超えないときなど。会社法207条9項5号)があります20。個別の可否・進め方は司法書士・弁護士等にご相談ください。
Q. 登記を2週間過ぎてしまったら申請できませんか。
A. 期限を過ぎても申請そのものは受け付けられます。期間の経過だけを理由に申請が却下されることはない、というのが法務局の案内です13。ただし、登記を怠ったときは会社法976条1号の過料(100万円以下)の対象になり得ます18。この点は変更登記をしないとどうなるかにまとめています。
書類作成サービスについて
wiz法人登記が現在対応しているのは、株式会社の本店移転と目的変更の登記書類の作成(4,500円・税別)です。増資(募集株式の発行)の登記書類の作成は対象外で、増資のみを申請する方には、本記事で参照した法務局の記載例1-20と様式・資本金の額の計上に関する証明書の様式121713をご自身でお使いいただく形になります。
増資とあわせて本店移転や目的変更の登記も必要な場合は、その部分の株主総会議事録・株主リスト・登記申請書の作成にwiz法人登記をご利用いただけます。フォームに入力した内容をそのまま書面に反映するオンラインソフトウェアで、個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。登録免許税などの実費は別途必要です。取締役会設置会社・監査役設置会社には対応していません21。
参照法令・出典(確認日: 2026-09-03)
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。公開会社でない株式会社の金銭出資による募集株式の発行の一般的なケースを対象としており、公開会社・種類株式発行会社・現物出資・新株予約権の行使などの場合は手続きが異なります。有利発行への該当性の判断、資本金の額の設計(税務への影響を含む)、現物出資の可否などの個別のケースについては、司法書士・弁護士・税理士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-09-03)時点の法令・公表情報に基づきます。
Footnotes
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会社法199条(募集事項の決定・1項各号・2項 株主総会の決議・3項 有利発行の理由説明)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_199 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
-
会社法309条2項5号(199条2項・200条1項・202条3項4号・204条2項・205条2項の株主総会は特別決議。議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合はその割合以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_309 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
-
登録免許税法9条(課税標準及び税率は別表第一による)・別表第一 二十四(一)ニ(株式会社又は合同会社の資本金の増加の登記・課税標準「増加した資本金の額」・税率「千分の七」・これによって計算した税額が三万円に満たないときは申請件数一件につき三万円)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(株式会社または合同会社の資本金の増加の登記 増加した資本金の額の1,000分の7・3万円に満たないときは申請件数1件につき3万円) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
会社法445条(資本金の額及び準備金の額・1項 払込み又は給付をした財産の額・2項 2分の1を超えない額は資本金として計上しないことができる・3項 資本準備金として計上)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_445 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
会社法911条3項5号(資本金の額)・9号(発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数)・915条1項(変更の登記・二週間以内)・2項(199条1項4号の期間を定めた場合は期間の末日から二週間以内)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_915 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
会社法200条(募集事項の決定の委任・数の上限と払込金額の下限・3項 決議の日から1年以内)・201条(公開会社における特則・取締役会・3項 2週間前までの通知・4項 公告による代替・5項 期日の2週間前までに金融商品取引法4条1項から3項までの届出をしている場合その他の法務省令で定める場合には3項を適用しない)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_200 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
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会社法202条(株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合・3項 決定機関の区分・4項 期日の2週間前までの通知)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_202 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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会社法208条(出資の履行・1項 払込みの取扱いの場所において全額・3項 相殺不可・5項 失権)・209条(株主となる時期・1項1号 期日・2号 出資の履行をした日)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_208 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
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商業登記法46条1項(登記すべき事項につき取締役の一致を要するときは一致があったことを証する書面を添付)・2項(登記すべき事項につき株主総会・取締役会等の決議を要するときは議事録を添付)・56条(募集株式の発行による変更の登記・1号 引受けの申込み又は総数引受契約を証する書面・2号 払込みがあったことを証する書面・3号 現物出資の場合の書面)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_56 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
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商業登記規則61条3項(株主リスト・議決権数上位の株主につき10名か議決権割合3分の2到達までのいずれか少ない人数)・9項(資本金の額の増加による変更の登記の申請書には資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-At_61 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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法務局 記載例1-20A「株式会社変更登記申請書(募集株式発行)(A:非公開会社のうち取締役会を設置しない会社の場合)」(登録免許税=資本金の額の増加分に1000分の7を乗じた額・3万円に満たない場合は3万円・課税標準1,000円未満切捨て・税額100円未満切捨て・変更の年月日は払込期日又は払込期間の末日・添付書類・払込みがあったことを証する書面の例・払込期日を割当決議に係る総会当日とすることはできない) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252679.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17
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法務局「商業・法人登記の申請書様式」(項番1-20 募集株式発行の様式A〜C・項番1-29 資本金の額の計上に関する証明書の例。同ページ注意事項1「会社・法人の登記においては、代表者…が会社・法人を代表して登記の申請をします。また、登記の申請は、代理人によってすることも認められています」・同注意事項2「登記すべき期間内に登記を怠り、その後に登記申請をする場合であっても、そのことだけをもって申請が却下されることはありませんが…100万円以下の過料に処される可能性があります」) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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会社法203条(募集株式の申込み・2項 書面の交付)・204条(募集株式の割当て・2項 譲渡制限株式の割当決議・3項 期日の前日までの通知・4項 申込みをしない株主の失権)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_204 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
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会社法205条(総数引受契約・2項 譲渡制限株式の場合の承認)・206条(募集株式の引受け)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_205 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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会社法37条1項(発行可能株式総数=株式会社が発行することができる株式の総数・定款で定める)・113条3項(公開会社が発行可能株式総数を増加する場合等は発行済株式の総数の4倍を超えることができない)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_113 ↩ ↩2
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法務局「資本金の額の計上に関する証明書(募集株式の発行の場合)」(会社計算規則14条・資本金等増加限度額・2分の1を超えない額を資本金として計上しない場合の注記) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188277.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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会社法976条1号(登記を怠ったときは百万円以下の過料)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_976 ↩ ↩2
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登録免許税法18条(同一の申請書により区分の異なる二以上の登記を受ける場合は各登記につき計算した金額の合計金額)・21条(現金納付)・22条(印紙納付)・24条の2(電子情報処理組織を使用する方法等による納付)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035#Mp-At_18 ↩ ↩2
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会社法207条(金銭以外の財産の出資・1項 検査役の選任の申立て・9項 検査役の調査を要しない場合)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_207 ↩ ↩2 ↩3
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wiz法人登記 サービス仕様(当社確認 2026-08-24: 対応は株式会社の本店移転・目的変更の書類作成。増資・役員変更・取締役会設置会社・監査役設置会社は非対応) https://app.wiztouki.com ↩
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。