定款変更の株主総会議事録の書き方とひな形|会社法施行規則72条3項の記載事項・特別決議の書き方・議案文の型と、登記に添付するとき/しないとき

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結論を4つ先に書きます。

1つ目。定款変更の株主総会議事録に何を書くかは、会社法318条1項が「法務省令で定めるところにより」作成するとし1、その法務省令である会社法施行規則72条3項が列挙しています。主なものは、株主総会が開催された日時と場所、議事の経過の要領とその結果、出席した取締役等の氏名、議長の氏名、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名で、一定の規定に基づく意見・発言があったときはその概要も加わります2。法定の様式はなく、法務局の記載例も「一例です。会社の実情に合わせて作成してください。」と断っています3

2つ目。定款変更の決議は原則として特別決議です(会社法466条・309条2項11号)4。議事録でそれを示すには、議決権を行使することができる株主の議決権の数、出席株主の議決権の数、そして賛成の数が読み取れる形で書きます。法務局の記載例は、この数字を議事録の冒頭にまとめて置いています3

3つ目。議事録は、登記が要る定款変更でも要らない定款変更でも作ります。 作成義務の根拠は会社法318条1項で、登記の要否とは関係がありません1。作成した議事録は株主総会の日から10年間本店に、その写しを5年間支店に備え置きます(同条2項・3項)1。登記の要否で変わるのは、その議事録を登記申請書に添付するかどうかです(商業登記法46条2項)5

4つ目。株主総会議事録に署名や押印を義務づける規定は、施行規則72条にはありません2。取締役会議事録が出席取締役・監査役の署名または記名押印を求めている(会社法369条3項)6のとは違います。ただし、法務局の記載例は末尾に議長・出席取締役・出席監査役が記名する形をとっており3、登記に添付する議事録はこの形に沿って作るのが分かりやすいです。

扱う範囲を先に断っておきます。以下は株式会社の一般的なケース、つまり定款変更が会社法309条2項の特別決議で足りる場合を前提にしています。発行する全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更(309条3項1号・種類株式発行会社を除く)、会社法109条2項の定めについての定款変更(309条4項)は決議要件が別に定められており4、発行する全部の株式を取得条項付株式とする定めの設定・変更のように株主全員の同意を要する定款変更(110条・種類株式発行会社を除く)7、種類株式発行会社で種類株主総会の決議が必要になる場合(322条)8も、本記事のひな形をそのまま使えません。定款変更の手続き全体(特別決議の要件・公証人の認証が不要なこと・登記が要る変更と要らない変更の判定表・登録免許税)は定款変更の手続きで扱っています。合同会社の定款変更は合同会社の定款変更へ。

迷いやすい点条文・記載例が示していること
議事録の作成は義務か株主総会の議事について、法務省令の定めにより議事録を作成しなければならない(会社法318条1項)1
何を書くか施行規則72条3項の1号〜6号。開催の日時・場所/議事の経過の要領と結果/一定の意見・発言の概要(あるとき)/出席した取締役等の氏名/議長の氏名(議長がいるとき)/議事録作成の職務を行った取締役の氏名2
書面か電子か書面または電磁的記録で作成する(施行規則72条2項)2
決議の種類定款変更は466条の株主総会決議で、原則として309条2項11号の特別決議(第六章から第八章までの規定による決議)4。定款で定足数の引下げ(3分の1以上まで)・賛成数の加重・追加要件を定めている会社はその要件4。309条3項・4項・110条・322条の場合は別(対象限定の段落)
署名・押印施行規則72条3項に署名・記名押印の項目はない2。記載例は末尾に記名する形3
保管株主総会の日から10年間本店に備え置き、5年間その写しを支店に備え置く(会社法318条2項・3項。電磁的記録で所定の措置をとる会社は支店の備置きにただし書あり)1
株主総会を開かないとき議決権を行使できる株主全員の書面または電磁的記録による同意で決議があったものとみなされる(会社法319条1項)。その場合の議事録の記載事項は施行規則72条4項1号12
登記に添付するか変更した事項が会社法911条3項の登記事項なら、変更登記の申請書に議事録を添付し(商業登記法46条2項)、株主リストも添付する(商業登記規則61条3項)9510。登記事項でない変更なら添付先の申請がない

ひな形|目的・商号・本店以外の定款変更にも使える一般形

法務局が公開している記載例のうち、株主総会議事録の例が載っているのは目的変更(記載例1-12)3と商号変更(記載例1-11)11などです。どちらも構成は同じで、冒頭に開催日時・場所と株主・議決権の数、次に出席役員、議長の選任と開会、議案、閉会、末尾に記名欄が並びます。この骨格を保ちながら、事業年度の変更・公告方法の変更・発行可能株式総数の変更など、どの定款変更にも当てはめられる形にしたのが次のひな形です。条項の内容と数字は会社の実情に合わせて差し替えてください。

                    臨時株主総会議事録

1 開催日時 令和○年○月○日 午前○時○分から午前○時○分まで
2 開催場所 当会社本店(○県○市○町○丁目○番○号)
3 株主および議決権の状況
  株主の総数                   ○名
  発行済株式の総数                ○株
   (うち自己株式の数 ○株)
  議決権を行使することができる株主の数      ○名
  議決権を行使することができる株主の議決権の数  ○個
  出席した株主の数(委任状による出席を含む)   ○名
  出席した株主の議決権の数            ○個
4 出席した取締役 ○○○○(議長・議事録作成者)、○○○○
5 議事の経過の要領およびその結果
  定刻、取締役○○○○が定款第○条の定めにより議長席に着き、上記のとおり
  議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主の出席があ
  り本総会が適法に成立したことを告げ、開会を宣した。

  第1号議案 定款一部変更の件
  議長は、○○のため当会社定款の一部を別紙新旧対照表のとおり変更したい旨
  を述べ、変更の理由を説明したうえで本議案を議場に諮った。審議の後、出席
  した株主の議決権の3分の2以上に当たる賛成(賛成○個・反対○個)により、
  本議案は原案のとおり承認可決された。

  議長は、以上をもって本総会の議事をすべて終了した旨を述べ、午前○時○分
  閉会を宣した。

 上記の議事の経過の要領およびその結果を明確にするため、この議事録を作成し、
 議長および出席した取締役が次に記名押印する。

 令和○年○月○日
          ○○株式会社 臨時株主総会
           議長 代表取締役 ○○○○ ㊞
              取締役   ○○○○ ㊞

(別紙)定款新旧対照表(事業年度を変える場合の例。変更部分に下線を引くと分かりやすい)

現行定款変更後定款
(事業年度)第○条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。(事業年度)第○条 当会社の事業年度は、毎年1月1日から12月31日までとする。

このひな形の各部分が、施行規則72条3項のどの号に対応するかを整理します2

ひな形の部分対応する規定
1 開催日時・2 開催場所72条3項1号「株主総会が開催された日時及び場所」。会場にいない取締役・監査役・株主などがオンラインで出席したときは、その出席の方法も1号に含まれる(1号の括弧書き)2
3 株主および議決権の状況72条3項に直接の号はないが、特別決議の定足数(309条2項)を満たしたことを2号「議事の経過の要領及びその結果」の一部として示す部分42。記載例も「議決権を行使することができる株主の議決権の数」「出席株主の議決権の数」を冒頭に置く3
4 出席した取締役72条3項4号「株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称」。監査役を置く会社は出席監査役も書く2
5 議長席に着き〜開会72条3項5号「株主総会の議長が存するときは、議長の氏名」2
5 第1号議案〜承認可決72条3項2号「株主総会の議事の経過の要領及びその結果」。定款変更の内容、審議の経過、賛否の結果がここ2
4の「議事録作成者」72条3項6号「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」。記載例は「(議長兼議事録作成者)」と付記する形23
末尾の記名押印欄対応する号はない(次の「署名・押印」の節)。記載例に倣った任意の形式23

なお、72条3項3号は、監査役・会計参与・会計監査人などが一定の規定に基づいて株主総会で述べた意見や発言があるときに、その内容の概要を書くよう求めています2。定款変更の決議だけの臨時株主総会でそのような発言がなければ、書く事項はありません。

ひな形の「うち自己株式の数」は、記載例が「自己株式がある場合に記載します」と注記している項目です3。自己株式がなければ行ごと削ります。

議案の書き方|変更後条文型・新旧対照型・複数条項をまとめる型

72条3項2号が求めているのは「議事の経過の要領及びその結果」で、議案の文言の形式を指定してはいません2。定款のどの条を、どの内容に変えたのかが議事録から特定できる書き方として、次の3つの型を挙げます。

型1: 変更後の条文をそのまま置く(法務局記載例の型)。記載例1-12の議事録は、議案「定款変更の件」の下に「定款第2条を次のとおり変更すること。」と書き、続けて変更後の第2条の全文を置いています3。記載例1-11も同じ構成で、「定款第1条を次のとおり変更すること。」の後に「第1条 当会社は、商号を○○商事株式会社と称する。」と変更後の条文を書いています11。旧条文は議事録に現れません。1つの条を丸ごと書き換える定款変更に向いた型です。目的変更でこの型を使う場合、変更後の目的は変わらない号も含めて全部を書きます(記載例の注記。詳しくは目的変更の株主総会議事録の書き方3

型2: 新旧対照表を別紙にする。上のひな形で採用した型です。現行の条文と変更後の条文を左右に並べ、変更箇所に下線を引くなどして示します。条文の一部だけを変える場合や、複数の条項に手を入れる場合に、何が変わったかを一目で確認できます。議事録本文には「別紙新旧対照表のとおり変更する」と書き、別紙を議事録の一部として綴じます。

型3: 複数の条項を1つの議案にまとめる。会社法466条は定款変更を株主総会の決議で行えると定めるだけで、1回の決議で変更できる条項の数を限っていません4。事業年度の変更にあわせて定時株主総会の招集時期の条項も変える、といった関連する変更は、1つの議案「定款一部変更の件」の中で新旧対照表に並べて示せます。ただし、変更する条項の一部が登記事項に当たるとき(たとえば公告方法と事業年度を同時に変えるとき)は、その議事録が登記の添付書面になるので、登記事項の変更部分が明確に読み取れる書き方にしておきます。

附則(効力発生日)を置くとき。会社法466条は1文の条文で、定款変更の効力がいつ生じるかについての定めを置いていません4。記載例は、登記申請書の原因年月日を「令和○年○月○日変更」と書く形をとっています3。決議の日より後の日を効力発生日にしたいときは、議案の中に「この定款変更は、令和○年○月○日をもって効力を生ずる」といった附則を置くことになりますが、その場合の登記の原因年月日の書き方は個別の事情によるため、管轄の法務局にご確認ください。

特別決議であることを議事録に書く|会社法309条2項

定足数と賛成数

株式会社は、成立後、株主総会の決議によって定款を変更でき(会社法466条)4、その決議は309条2項11号の対象に当たります。同号は第六章から第八章までの規定で株主総会の決議が要る場合の株主総会を挙げており、466条は第六章「定款の変更」に置かれた規定だからです4。これが特別決議です。

309条2項の要件は2段です。定足数は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主の出席で、定款で3分の1以上の割合まで下げられます。賛成数は、出席した株主の議決権の3分の2以上で、定款でこれを上回る割合にできます4。さらに、この要件に加えて「一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件」を定款で定めることも認められています4

議事録に書くのは、この要件を満たしたことが分かる数字です。上のひな形では「議決権を行使することができる株主の議決権の数」と「出席した株主の議決権の数」で定足数を、「賛成○個・反対○個」で賛成数を示しています。自社の定款に株主総会の決議要件の条項があれば、議事録の成立宣言と可決の記述は、その定款の要件に合わせます。 定款で定足数を3分の1に下げている会社が「過半数を有する株主の出席」と書いても誤りではありませんが、実際の出席がそれに届かない場合は定款の要件で成立したことを書く必要があります。

記載例は、「総株主の議決権の過半数に相当する株式を有する株主が出席した」ことを理由に本会が適法に成立したと宣言し、可決は「満場一致の決議をもって原案どおり可決確定した」と書いています3。満場一致でないときは、賛成の議決権数が出席株主の議決権の3分の2以上であることが読み取れる書き方にします。

特別決議で足りない定款変更

次の場合は本記事の射程外です。発行する全部の株式について譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定めを設ける定款変更は、種類株式発行会社を除き、議決権を行使できる株主の頭数の半数以上と、その議決権の3分の2以上の両方(いずれも定款で引き上げ可)を要します(309条3項1号)4。会社法109条2項の定款の定めについての定款変更(廃止を除く)は、総株主の半数以上で、かつ総株主の議決権の4分の3以上です(309条4項)4。種類株式発行会社が株式の種類の追加・株式の内容の変更・発行可能株式総数または発行可能種類株式総数の増加についての定款変更をする場合、ある種類の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、株主総会の決議のほかにその種類株主総会の決議がなければ効力を生じません(322条1項1号。同条2項の定款の定めがある場合を除く)8。これらの場合の議事録は、要件に対応する数字と、種類株主総会があればその議事録が別に必要になります。

招集の経路は会社によって違う

議事録の冒頭に書く開催日時・場所は、招集の決定で定めた事項です。株主総会は必要がある場合にはいつでも招集でき(296条2項)、297条4項により株主が招集する場合を除き、取締役が招集します(296条3項)12。招集にあたって定める事項は298条1項に列挙されており、日時と場所、株主総会の目的である事項があるときはその事項、などです12

この決定を誰が行うかは機関設計で分かれます。取締役会設置会社では、株主が招集する場合を除き、298条1項各号の事項の決定は取締役会の決議によらなければなりません(298条4項)12。取締役会を置かない会社では取締役が決定します。取締役会設置会社で株主総会に先立つ取締役会を開いたときは、その取締役会議事録も残します(書き方は取締役会議事録の書き方とひな形)。

なお、取締役会設置会社では株主総会が決議できる事項は「この法律に規定する事項及び定款で定めた事項」に限られますが(295条2項)、定款変更は466条が株主総会の決議事項として定めているので、この限定に引っかかりません124。逆に、株主総会の決議を必要とする事項を取締役会などの他の機関が決定できるとする定款の定めは効力を有しません(295条3項)12

取締役が1人の会社では、議長・議事録作成者・出席取締役が同じ人になります。72条3項4号〜6号はそれぞれ氏名を書くことを求めているだけで、別の人であることを条件にしていません2。記載例の「(議長兼議事録作成者)」の付記は、この兼任を1か所で示す書き方です3

署名・押印|施行規則72条に規定はない、記載例は記名の形

会社法施行規則72条3項が「内容とするものでなければならない」としている事項は1号〜6号の記載事項で、その中に署名や記名押印の項目はありません2。会社法318条1項も、法務省令の定めによる作成を求めるだけです1。これに対して取締役会議事録は、書面で作成したときは出席した取締役および監査役が署名または記名押印しなければならないと会社法369条3項が定めています6。株主総会議事録には、この369条3項に当たる規定がないという整理です。株主総会議事録と取締役決定書・取締役会議事録の対比は本店移転の株主総会議事録・取締役決定書の書き方でも扱っています。

ただし、登記に添付する場面では実務上の形があります。法務局の記載例1-12・1-11の議事録はいずれも、末尾に「議長、出席取締役及び出席監査役がこれに記名する」と書き、代表取締役・取締役・監査役の氏名を並べています311。上のひな形もこれに倣い、議長と出席取締役が記名押印する形にしました。押印する印鑑の種類について会社法・施行規則72条は定めていませんが2、商業登記規則61条6項1号は、株主総会の決議によって代表取締役を定めた場合に、議長および出席した取締役が議事録に押印した印鑑についての市町村長作成の証明書を求めています(変更前の代表取締役の登記所提出印と同一ならただし書で不要)10。定款変更だけを決議する株主総会はこの項の対象ではありませんが、同じ総会で代表取締役の選定も行うときは、議事録の押印が印鑑証明書とセットで意味を持つ場面になります。この点は本記事の対象外なので、司法書士または管轄の法務局にご確認ください。

作成義務と保管|登記の要否と関係なく会社法318条

「事業年度を変えるだけで登記も要らないのに、議事録を作る必要があるのか」という疑問に対する答えは、作る、です。会社法318条1項は「株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない」と定めており、決議の内容や登記の要否による区別を設けていません1。定款変更の議案を株主総会で決議した以上、その議事録は作ります。

保管も同じです。株式会社は、株主総会の日から10年間、議事録を本店に備え置きます(318条2項)1。支店には、株主総会の日から5年間、議事録の写しを備え置きます。ただし、議事録が電磁的記録で作成され、支店での閲覧等の請求に応じるための法務省令で定める措置をとっているときは、この写しの備置きは不要です(同条3項ただし書)1。株主および債権者は、会社の営業時間内はいつでも議事録の閲覧または謄写を請求できます(同条4項)1

変更後の定款そのものの備置き(会社法31条)と、変更した定款を公証人に認証してもらう必要がないことは、定款変更の手続きで扱っています。

株主総会を開かないとき|みなし決議の議事録(施行規則72条4項1号)

株主の数が少ない会社では、株主総会を開かずに定款変更を決議する方法があります。取締役または株主が株主総会の目的である事項について提案をし、その提案について議決権を行使することができる株主の全員が書面または電磁的記録で同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされます(会社法319条1項)1。会社は、決議があったものとみなされた日から10年間、その同意の書面または電磁的記録を本店に備え置きます(同条2項)1

この場合も議事録は作りますが、書く事項が通常の株主総会と違います。施行規則72条4項1号が定める4項目です2

施行規則72条4項1号定款変更でのあてはめ
イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容変更する定款の条項と変更後の内容(型1・型2のいずれで示してもよい)
ロ イの事項の提案をした者の氏名または名称提案した取締役または株主
ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日議決権を行使できる株主全員の同意の意思表示がそろった日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名作成を担当した取締役

開催日時・場所や出席者、議長といった72条3項の項目は、総会を開いていないので書きません。表題は「株主総会議事録」のままで、本文に「会社法第319条第1項の規定により、次の事項について株主総会の決議があったものとみなされた」といった趣旨を書き、上の4項目を並べる形になります。

登記に添付するときは、商業登記法46条3項により、株主総会議事録に代えて「当該場合に該当することを証する書面」を添付します5。株主リストはみなし決議の場合も必要で、商業登記規則61条3項が319条1項により決議があったものとみなされる場合を含むと明記しています10

登記に添付するとき/しないとき

登記事項が変わる定款変更なら添付する

会社法915条1項は、911条3項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければならないと定めています9。911条3項には目的(1号)・商号(2号)・本店及び支店の所在場所(3号)・発行可能株式総数(6号)・発行する株式の内容(7号)・公告方法についての定款の定め(27号)などが並んでおり9、これらを変える定款変更は登記が必要です。どの変更が登記事項に当たるかの判定表は定款変更の手続きにあります。

この変更登記の申請書には、登記すべき事項につき株主総会の決議を要するときはその議事録を添付し(商業登記法46条2項)5、あわせて議決権の数の割合が上位の株主についての氏名・住所・株式数・議決権数などを証する書面、いわゆる株主リストを添付します(商業登記規則61条3項)10。記載例1-12の添付書類欄も「株主総会議事録」と「株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)1通」を並べています3。株主リストに誰を何人載せるかは株主リストの書き方で扱っています。

添付する議事録は、登記官が登記すべき事項を確認する書面になるので、変更後の登記事項が議事録から正確に読み取れることが必要です。目的変更なら変更後の目的の全部3、公告方法の変更なら変更後の公告方法の定めが、議案または別紙に書かれている形にします。目的変更・本店移転にともなう定款変更の株主総会議事録は、株主リスト・登記申請書とあわせてwiz法人登記で作成できます(対応範囲は末尾)。本店移転で議事録が要るか要らないかの判定と取締役決定書は本店移転の株主総会議事録・取締役決定書の書き方、商号変更で議事録に書く項目と決議前の同一商号調査は商号変更登記のやり方で扱っています。

登記事項でない定款変更なら添付先がない

事業年度、定時株主総会の招集時期、株主総会の議長の定め、取締役の員数の枠などは、911条3項に列挙されていない事項です9。これらだけを変える定款変更では変更の登記が発生せず、議事録を添付する申請書もありません。それでも議事録は作り、本店に10年間備え置きます(318条1項・2項)1。株主や債権者から閲覧の請求があったとき(318条4項)1や、後の定款変更で経過を確認するときに、いつどの条項をどう変えたかを示す書面がこの議事録です。

FAQ|よくある質問

Q. 事業年度を変えるだけの定款変更でも、株主総会議事録は作らなければなりませんか。

A. 作ります。会社法318条1項の作成義務は株主総会の議事全般に及び、登記の要否を条件にしていません1。事業年度は911条3項の登記事項ではないので変更登記は発生しませんが9、議事録の作成と10年間の本店備置き(318条2項)は同じです1

Q. 議事録に会社の実印を押す必要はありますか。

A. 株主総会議事録への署名・押印を義務づける規定は施行規則72条にありません2。法務局の記載例は末尾に記名する形です3。一方、登記申請書には登記所に提出した印鑑を押し、代理人が申請する場合は委任状にその印鑑を押します3。株主総会で代表取締役を定めた場合の議事録の押印と印鑑証明書(商業登記規則61条6項1号)10は本記事の対象外です。

Q. 定時株主総会で定款変更を決議できますか。

A. 会社法466条は定款変更を株主総会の決議によると定めるだけで、定時か臨時かを限っていません4。定時株主総会で決議する場合は、招集の決定で「株主総会の目的である事項」(298条1項2号)に定款変更の議案を含めます12。議事録の表題を「定時株主総会議事録」とし、他の議案(計算書類の承認など)と並べて書く形になります。

Q. 議事録の末尾の日付は、株主総会の開催日と同じですか。

A. 記載例は、冒頭に開催の「令和○年○月○日午前○時○分」を書き、末尾の記名欄の上にも「令和○年○月○日」を置いています3。冒頭の日時が72条3項1号の開催日時です2。末尾の日付欄の位置づけについて、記載例に説明はありません。

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商号・公告方法・事業年度・発行可能株式総数・株式の内容・機関設計など、目的変更・本店移転以外の定款変更の議事録には対応していません。 それらの定款変更については、本記事のひな形と法務局の記載例311をもとにご自身で作成してください。


参照法令・出典(確認日: 2026-09-02)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。株式会社のうち、定款変更が会社法309条2項の特別決議で足りる一般的なケースを対象としており、309条3項・4項の決議を要する定款変更、株主全員の同意を要する定款変更(110条など)、種類株式発行会社で種類株主総会の決議を要する場合、合同会社その他の法人については議事録の記載や手続きが異なります。掲載したひな形は一例であり、会社の定款の定めと実情に合わせて作成してください。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-09-02)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 会社法318条(議事録の作成・本店に十年間・支店に写しを五年間とただし書・株主及び債権者の閲覧謄写)・319条(株主総会の決議の省略・書面又は電磁的記録の十年間の備置き)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_318 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17

  2. 会社法施行規則72条(株主総会の議事録・2項 書面又は電磁的記録・3項各号の記載事項・4項1号 決議の省略の場合の記載事項)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010012#Mp-At_72 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

  3. 法務局 記載例1-12「株式会社変更登記申請書(目的の変更)」(株主総会議事録の例・「一例です。会社の実情に合わせて作成してください。」・議案「定款変更の件」・自己株式の注記・記名の形・添付書類欄・原因年月日・押印の注記) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252659.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

  4. 会社法309条2項(株主総会の特別決議・定足数と賛成数・定款による追加要件)・309条2項11号(第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会)・309条3項1号(発行する全部の株式に譲渡制限の定めを設ける定款変更・種類株式発行会社を除く)・309条4項(第百九条第二項の定款の定めについての定款変更)・466条(第六章 定款の変更・株主総会の決議による定款の変更)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_309 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

  5. 商業登記法46条2項(登記すべき事項につき株主総会の決議を要するときは議事録を添付)・3項(会社法319条1項により決議があったものとみなされる場合は当該場合に該当することを証する書面)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_46 2 3 4

  6. 会社法369条3項(取締役会の議事録・出席した取締役及び監査役の署名又は記名押印)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_369 2

  7. 会社法110条(定款の変更の手続の特則・発行する全部の株式の内容として107条1項3号の事項の定めを設ける等の定款変更は株主全員の同意・種類株式発行会社を除く)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_110

  8. 会社法322条1項1号(種類株式発行会社の定款変更で種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときの種類株主総会・株式の種類の追加・株式の内容の変更・発行可能株式総数等の増加)・2項(種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定め)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_322 2

  9. 会社法911条3項(株式会社の登記事項・1号目的・2号商号・3号本店及び支店の所在場所・6号発行可能株式総数・7号発行する株式の内容・27号公告方法についての定款の定め)・915条1項(変更の登記・二週間以内)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_915 2 3 4 5

  10. 商業登記規則61条3項(株主総会の決議を要する場合の株主リスト・みなし決議の場合を含む)・6項1号(株主総会の決議によって代表取締役を定めた場合の議事録の押印と印鑑証明書・ただし書)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-At_61 2 3 4 5

  11. 法務局 記載例1-11「株式会社変更登記申請書(商号の変更)」(株主総会議事録の例・議案「定款変更の件」・定款第1条の変更後条文) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252658.pdf 2 3 4

  12. 会社法295条(株主総会の権限・2項 取締役会設置会社の限定・3項 他の機関に決定させる定款の定めの無効)・296条2項・3項(株主総会の招集・いつでも招集・取締役が招集)・297条4項(株主による招集)・298条1項・4項(招集の決定事項・取締役会設置会社は取締役会の決議)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_298 2 3 4 5 6

  13. wiz法人登記 サービス仕様(当社確認 2026-08-24: 対応は株式会社の本店移転・目的変更。取締役会設置会社・監査役設置会社は非対応) https://app.wiztouki.com

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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