本店移転したら許認可の届出はどうする?|建設業・宅建業・古物商・派遣業の期限一覧

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会社の本店を移転したときに許認可の変更手続きが必要になるかは、登記上の本店だけが変わるのか、許可上の営業所・事務所も移転するのかによって変わります。建設業許可・宅地建物取引業免許では、許可・免許の申請書に記載した営業所・事務所の所在地が変わる場合に30日以内の変更届出が必要です12。古物商許可では、営業所を移転する場合は変更の日の3日前までの事前届出になります34

これらは、法務局への本店移転登記(変更が生じたときから2週間以内・会社法915条1項)5とは別に確認が必要な手続きです。この記事では、代表的な4つの許認可について、何が届出の対象なのか・いつまでなのかを条文と行政庁の案内から整理します。

早見表|業種別の変更届出

許認可届出事項になっているもの期限根拠
建設業許可商号又は名称、営業所の名称及び所在地30日以内建設業法11条1項・5条1号2号1
宅地建物取引業免許商号又は名称、事務所の名称及び所在地30日以内宅地建物取引業法9条1項・4条1項1号4号2
古物商許可(営業所の移転)営業所の名称及び所在地変更の日の3日前まで(事前)古物営業法7条1項3、警視庁4
古物商許可(法人の名称・住所の変更)氏名又は名称及び住所…(5条1項1号)変更の日から14日以内(届出書に登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内)古物営業法7条2項3、警視庁4
労働者派遣事業氏名又は名称及び住所…(5条2項1号)、事業所の名称及び所在地変更があったときは遅滞なく(実務の期限は下記67労働者派遣法11条1項・5条2項1号3号8

各期限は、「届出事項になっているもの」の欄に挙げた事項を変更する場合に適用されます。ただし届出の時期は業法によって異なり、古物商許可における営業所の名称・所在地の変更は変更前、この表に挙げたそれ以外の変更は変更後の届出です。本店の移転が届出の対象になるかどうかは、業法ごとにこの欄が何を挙げているかによって変わります(次の節で整理します)。

古物商許可と労働者派遣事業では、許可証の記載事項が変わる場合に許可証の書換えも必要です38

押さえておきたい2つの前提

1. 登記完了後の登記事項証明書が必要になる届出があります

許認可の変更届出では、変更の内容を確認する書類として**登記事項証明書(登記簿謄本)**の添付が求められることがあります。たとえば労働者派遣事業では、東京労働局が、登記上の所在地が変更となる場合の添付書類は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)であると案内しています7。古物商許可でも、法人の名称や住所の変更の届出には登記事項証明書が添付書類として挙げられています4

登記が完了しないと登記事項証明書は新しい内容になりません。本店移転登記そのものの流れは本店移転登記の総合ガイド、登記完了後の証明書の取り方は本店移転登記が完了したらやることで解説しています。

2. 「登記上の本店」と「営業所・事務所」は、同じ届出事項とは限りません

見落としやすいのがこの点です。業法によって、変更の届出の対象として参照される「申請書の記載事項」の範囲が違います。

業法申請書の記載事項として挙げられているもの
古物営業法5条1項1号「氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては、その代表者の氏名」/同2号「主たる営業所又は古物市場その他の営業所又は古物市場の名称及び所在地」3
労働者派遣法5条2項1号「氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名」/同3号「労働者派遣事業を行う事業所の名称及び所在地」8
建設業法5条2号「営業所の名称及び所在地」(同条各号に、法人の住所そのものを指す項目は見当たりません=消極的確認)1
宅地建物取引業法4条1項4号「事務所の名称及び所在地」(同項各号に、法人の住所そのものを指す項目は見当たりません=消極的確認)2

古物営業法と労働者派遣法では、法人の「住所」が申請書の記載事項として掲げられています38。この住所の変更と登記との関係については、警視庁が古物営業の「法人の所在地変更」の届出の添付書類として登記事項証明書を挙げており4、労働者派遣事業についても東京労働局が登記上の所在地が変更となる場合の手続きを案内しています7

そのため、登記上の本店だけを移し、営業所・事務所は動かさない場合と、実際の営業拠点ごと移す場合とで、必要な届出が変わることがあります。どちらに当たるかは実際の営業の状況によって判断が分かれるため、届出の要否は所管の行政庁の窓口でご確認ください。

建設業許可|営業所の所在地の変更は30日以内に届出

建設業法は、許可申請書に記載する事項として、商号又は名称(5条1号)、営業所の名称及び所在地(5条2号)、法人の資本金額及び役員等の氏名(5条3号)などを定めています1

そして、許可を受けた建設業者は、5条1号から5号までに掲げる事項について変更があったときは、30日以内に、その旨の変更届出書を国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならないとされています(建設業法11条1項)1

本店を移転し、それが許可申請書に記載した営業所の所在地の変更にあたる場合は、この30日以内の変更届出書の対象になります。届出先は、許可を出した国土交通大臣又は都道府県知事です1。都道府県をまたぐ場合の具体的な手順は、この記事で引用した条文だけでは確定できないため、移転先・移転元それぞれの許可窓口にご確認ください。

宅地建物取引業免許|事務所の所在地の変更は30日以内に届出

宅地建物取引業法も同じ形です。免許申請書の記載事項として、商号又は名称(4条1項1号)、事務所の名称及び所在地(4条1項4号)などが定められています2

宅地建物取引業者は、4条1項1号から5号までに掲げる事項について変更があった場合においては、30日以内に、当該変更に係る事項を記載した届出書を、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならないとされています(宅地建物取引業法9条1項)2

なお、定款・登記簿の「目的」の文言と許認可の関係については、事業目的の書き方・決め方で行政庁の手引きに基づいて整理しています。

古物商許可|事前届出と事後届出に分かれます

古物営業法は、他の3つと違い、同じ法律の中で届出の向きが分かれている点に注意が必要です。

許可申請書の記載事項は、1号が「氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては、その代表者の氏名」、2号が「主たる営業所又は古物市場その他の営業所又は古物市場の名称及び所在地」です(古物営業法5条1項)3

  • 営業所の名称・所在地(2号)を変更しようとするときは、あらかじめ届出書を提出しなければなりません(古物営業法7条1項)3。警視庁は、営業所の所在地の所轄警察署長を経由して、当該変更の日の3日前までに、規則別記様式第5号の届出書を提出するものとして案内しています(事前の届出)4
  • 2号を除く各号(法人の名称・住所など)に変更があったときは、届出書を提出しなければなりません(古物営業法7条2項)3。警視庁は、当該変更の日から14日(届出書に登記事項証明書を添付すべき場合にあっては、20日)以内に、規則別記様式第6号の届出書を提出するものとして案内しています(事後の届出)4

つまり、営業所の所在地の変更は移転前の事前届出、法人の住所の変更は移転後の事後届出が対象です。営業所と登記上の本店を同時に移す場合は、どちらか一方ではなく両方の変更に対応する手続きを確認する必要があります。事前・事後それぞれの届出について所轄の警察署にご確認ください。

届出書に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、許可証の書換えを受けなければなりません(古物営業法7条5項)3。警視庁の案内では、変更届出の手数料はかからず、書換申請の手数料は1,500円とされています4(これは東京都の窓口である警視庁の案内です。他の地域の額は所管の警察署にご確認ください)。

労働者派遣事業|変更届出と許可証の書換申請

労働者派遣法では、許可申請書の記載事項として、氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名(5条2項1号)、法人の役員の氏名及び住所(同2号)、労働者派遣事業を行う事業所の名称及び所在地(同3号)、派遣元責任者の氏名及び住所(同4号)が定められています8

派遣元事業主は、5条2項各号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならないとされ(労働者派遣法11条1項)8、届出に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、その書換えを受けなければならないとされています(同11条4項)8

条文が定めているのは「遅滞なく」までです8。具体的な日数については、厚生労働省・都道府県労働局の許可・更新等手続マニュアル(平成30年4月)が、氏名又は名称・住所・事業所の名称・事業所の所在地などの変更届出を事後10日以内(変更届出関係書類として登記事項証明書を添付する場合の変更の届出については、当該変更に係る事項のあった日の翌日から起算して30日以内)とし、これらの変更の場合は許可証書換申請を変更届出と併せて行うものとして示しています6。これは平成30年4月版の記載であるため、現在の期限・添付書類は事業主管轄労働局の最新の案内をご確認ください。

東京労働局も、会社が移転する場合について、登記上の所在地が変更となるときは変更届と許可証の書換申請が必要(同じ様式で兼ねられる)で、添付書類は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)であると案内しています7。あわせて、実際に派遣事業を行う場所(事業所)の所在地も変わる場合は、新たな事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書など)の添付を求めるとしています7

マニュアルは公表時点の版に基づく案内であり、様式や取り扱いは改定されることがあります。申請前に、事業主管轄労働局の最新の案内をご確認ください。

ここに挙げていない許認可はどうすればよいか

許認可は業種ごとに根拠となる法律が異なり、届出先・期限・様式も別々に定められています。この記事で扱った4つ以外にも、飲食店営業、旅行業、産業廃棄物処理業、警備業、有料職業紹介事業など、多くの許認可があります。

一般的には、次の順で確認すると整理しやすくなります。

  1. 許可証・免許証に書かれている行政庁を確認する(届出先はそこが基本になります)
  2. その行政庁の最新の手引き・様式ページで「変更届」「変更の届出」の項目を探す
  3. 届出事項に法人の住所が含まれるか、営業所・事務所の所在地だけかを確認する
  4. 添付書類に登記事項証明書が含まれるかを確認し、含まれる場合は登記の完了時期から逆算する

どの許認可がどの届出に当たるかは個別の事情によって異なります。判断に迷う場合は、所管の行政庁の窓口、または行政書士等の専門家にご確認ください。

よくある質問

Q1. 許認可の変更届出は、本店移転登記より先にできますか? 届出の様式・期限は業法ごとに異なり、古物商許可の営業所の移転のように変更の日より前に届け出るものもあります34。一方で、添付書類に登記事項証明書が求められる届出は、登記が完了するまで新しい内容の証明書を取得できません47。届出ごとに順序が変わるため、許可証に記載された行政庁にご確認ください。

Q2. 同じ市区町村内での移転でも許認可の届出は必要ですか? 建設業法11条1項・宅地建物取引業法9条1項は、いずれも営業所・事務所の名称及び所在地を含む記載事項の「変更」を届出の対象としています12。両条文に、移転の距離や行政区画によって届出の要否を分ける定めは見当たりません(消極的確認)。実際の取り扱いは所管の行政庁にご確認ください。

Q3. 届出を忘れていた場合はどうなりますか? 各業法には変更の届出の義務が定められています1238。期限を過ぎた場合の取り扱いは業法・行政庁によって異なるため、気づいた時点で所管の行政庁にご相談ください。なお、法務局への変更登記については、登記をすることを怠ったときは、取締役等の役員が100万円以下の過料の対象になり得ます(会社法976条1号)9。詳しくは変更登記をしないとどうなる?をご覧ください。

Q4. 税務署や年金事務所への手続きはどこで確認できますか? この記事では許認可の変更届出のみを扱っています。税務署・都道府県税事務所・年金事務所・労働基準監督署・ハローワークへの手続きは、会社(法人)の住所変更に必要な手続き一覧で、各機関の案内とあわせてご確認ください。取引先への移転のお知らせの文面は事務所移転のお知らせ文例に文例を掲載しています。

本店移転登記の書類作成について

wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、本店移転登記の申請書・議事録などの書類をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。

許認可の変更届出そのものには対応していません。所管の行政庁の様式をご利用ください。

参照法令・出典(確認日: 2026-07-30)


免責: 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。個別のケースについては、司法書士・行政書士等の専門家または管轄の法務局・各行政機関にご確認ください。記載内容は確認日時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 建設業法5条(許可の申請)・11条1項(変更等の届出) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100 2 3 4 5 6 7 8

  2. 宅地建物取引業法4条1項(免許の申請)・9条(変更の届出) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 2 3 4 5 6 7

  3. 古物営業法5条1項(許可の申請)・7条(変更の届出等) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

  4. 警視庁「書換申請・変更届出」(更新日2025年9月5日) https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kakikae.html 2 3 4 5 6 7 8 9 10

  5. 会社法915条1項(変更の登記・2週間以内) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_915

  6. 厚生労働省・都道府県労働局「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」(平成30年4月)「2 変更の届出」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000107980.pdf 2

  7. 東京労働局「よく聞かれるご質問集(労働者派遣・請負事業主の方へ)」A7-3 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/008.html 2 3 4 5 6

  8. 労働者派遣法5条2項(許可申請書の記載事項)・11条(変更の届出) https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088 2 3 4 5 6 7 8 9

  9. 会社法976条1号(過料に処すべき行為) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_976

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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