合同会社の商号変更登記|総社員の同意・必要書類・費用(登録免許税3万円)を様式3-4で解説

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合同会社の商号(社名)の変更は、①総社員の同意(定款に別段の定めがあればその定め)で定款の商号の条項を変更し、②変更から2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ商号変更の登記を申請する、の2段階です(会社法637条・915条1項)12。登録免許税は申請1件につき3万円、登記の添付書類は原則として総社員の同意書だけです345

株式会社のような株主総会の決議も、株主リストも出てきません。申請書は、法務局が公開している様式3-4「合同会社変更登記申請書(商号の変更及び目的の変更)」の記載例を参考に作成できます。商号だけを変更する場合は、記載例から目的の変更に関する記載を除き、自社の内容に合わせて記入します56

本記事は合同会社の一般的なケースを対象にします。株式会社の商号変更(株主総会の特別決議・記載例1-11)は商号変更登記のやり方で、商号に使える文字・符号の一般論は商号変更とはで扱っているので、そちらをご覧ください。合同会社の定款変更の全体像(登記が要る変更・要らない変更の判定など)は合同会社の定款変更が担当記事です。

疑問答え
誰が決めるか原則は総社員の同意(会社法637条)。定款で別の決め方を定めていればその要件1
新商号の制約「合同会社」の文字が必須・他の種類の会社と誤認される文字は不可(6条2項・3項)7。同一本店・同一商号は登記不可(商業登記法27条)8
登記の期限変更から2週間以内(915条1項)2
申請書の様式法務局 様式3-4「合同会社変更登記申請書(商号の変更及び目的の変更)」56
添付書類総社員の同意で変更した場合は総社員の同意書(商業登記法93条・118条)95。定款の別段の定めによる場合は添付書面が変わる(後述)。代理申請なら委任状も5
登録免許税申請1件につき3万円(登録免許税法 別表第一24(一)ツ)34
変更後の届出税務署へ異動届出書10。銀行・取引先等への連絡(後述)

新しい商号を決めるときのルール

商号は自由に決められるのが原則ですが、合同会社の商号変更では次の3つを外せません。

1つ目。「合同会社」という文字を商号の中に入れます。 会社は、その名称を商号とし(会社法6条1項)、合同会社は商号中に「合同会社」という文字を用いなければなりません(同条2項)7。前でも後ろでも構いません(法務局の記載例も「合同会社○○商会」を「○○商店合同会社」に変える例です5)。逆に、株式会社など他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字は使えません(同条3項)7。合同会社のまま「○○株式会社」という商号にすることはできない、ということです。

2つ目。他社と紛らわしい商号は避けます。 不正の目的で他の会社と誤認されるおそれのある名称・商号を使うことは、誰であっても禁止されています(8条1項)11。違反する使用により営業上の利益を害され、またはそのおそれがある会社は、使用の停止や予防を求めることができます(同条2項)11。登記が通るかどうかとは別の、民事上のリスクです。

3つ目。同一本店・同一商号は登記できません。 商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一で、かつ本店の所在場所も同一であるときは、することができません(商業登記法27条)8。事前の調べ方は、法務局の申請書様式のページに置かれている案内「同一商号・同一本店の調査を行う方法について」6に沿ってください。

このほか、商号に使える文字・符号(ローマ字や「&」など)の細かいルールは商号変更とは|商号に使える文字にまとめています。

誰の同意で決めるか|総社員の同意が原則

商号は持分会社の定款に必ず記載する事項なので(会社法576条1項2号)12、商号を変えることは定款変更にあたります。そして持分会社の定款変更は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意で行います(637条)1

  • 原則は社員全員の同意です。 ここでいう「社員」は合同会社に出資している人(出資者)を指し、従業員という意味ではありません(会社法は社員の出資の目的・価額等を定款の記載事項としています。576条1項6号)13。多数決ではありません。社員が1人の合同会社なら、その1人の同意が総社員の同意です。
  • 定款に「定款の変更は業務執行社員の過半数の一致による」などの定めがあれば、その要件で変更できます1。この場合の登記の添付書面(定款の添付が必要になること)を含め、定款変更の決め方の詳細は合同会社の定款変更で説明しています。

まず自社の定款に「定款の変更」の条項があるかを確認し、なければ総社員の同意書を作る、という順番で進めれば迷いません。

登記申請の手続き|様式3-4の記載例に沿って

申請書のポイント

商号は合同会社の登記事項なので(会社法914条2号)2、変更したら変更登記が必要です。申請書は法務局の様式3-4「合同会社変更登記申請書(商号の変更及び目的の変更)」の記載例が公開されています(商号だけを変更する場合は、目的に関する記載を除いて使います)56。記載例のポイントは次のとおりです5

  • 商号欄には変更前の商号を書き、あわせて新商号を記載します
  • 登記の事由は「商号の変更」(記載例は商号と目的を同時に変更する例なので「商号の変更及び目的の変更」)
  • 登記すべき事項は「商号」として新商号を、「原因年月日」として「令和○年○月○日変更」を書きます
  • フリガナは、会社の種類を表す部分(合同会社)を除いて片仮名で左に詰めて記載し、間に空白がある場合は空白を削除した文字で登録されます。このフリガナは国税庁法人番号公表サイトを通じて公表され、登記事項証明書には表示されません

必要書類は原則1つ

商業登記法93条は、登記すべき事項につき総社員の同意(またはある社員の一致)を要するときは、申請書にその同意(一致)があったことを証する書面を添付すると定めており、118条がこれを合同会社の登記に準用しています9。総社員の同意で商号を変更したなら、添付するのは総社員の同意書1通です5

書類要否
総社員の同意書総社員の同意で変更した場合に必要(商業登記法93条・118条)95。定款の別段の定めに従って変更した場合の添付書面は次段落のとおり
官庁の許可書(認可書またはその謄本)商号変更について官庁の許可(認可)が効力要件となっている場合にのみ必要5
委任状代理人に申請を委任した場合にのみ必要5

定款の別段の定めに従って変更した場合の添付書面は変わります(定款の添付が必要になります)。この場合は合同会社の定款変更の説明をご覧ください。

同意書の書き方

法務局の記載例の同意書は、次の要素でできています5

  1. 変更する条項の特定と変更後の文言 —「定款第1条中「合同会社○○商会」とあるのを「○○商店合同会社」と変更すること。」のように、条番号と新旧の商号を書く
  2. 「上記に同意する。」の文言
  3. 日付
  4. 社員全員の氏名

押印と提出

代表社員が書面で申請するとき、申請書に押すのは登記所に提出している印鑑(いわゆる会社実印)です5。代理人による申請なら押すのは代理人の印鑑(認印)で、記載例の注はこの場合の代表社員の押印を不要としています5。申請書が収入印紙貼付台紙を含めて複数ページになる場合は、各ページのつづり目に申請書に押した印鑑と同一の印鑑で契印をします5。提出先は本店所在地を管轄する法務局です(915条1項)2

期限は2週間|怠ると過料の対象

変更登記は、変更が生じたときから2週間以内に申請します(会社法915条1項)2。起算点は総社員の同意により商号変更の効力が生じた日(同意書で効力発生日を別に定めたときはその日)です。申請を怠ると、業務を執行する社員は100万円以下の過料に処される可能性があります(976条1号。柱書は持分会社の業務を執行する社員を対象に含みます)14。過料を科すかどうかは、行政機関ではなく裁判所が判断します(非訟事件手続法119条)15。起算日の数え方は変更登記の期限に、過料の運用は変更登記をしないとどうなるかに詳しくまとめています。期限を過ぎても登記の義務は消えないので、気づいた時点で速やかに申請します。

費用|登録免許税は申請1件につき3万円

商号変更の登記の登録免許税は、登録免許税法 別表第一24(一)ツ「登記事項の変更、消滅又は廃止の登記」の区分で、申請1件につき3万円です3。国税庁のタックスアンサーNo.7191も「登記事項の変更、消滅または廃止の登記」を1件につき3万円と案内しており4、法務局の記載例3-4の登録免許税欄も金3万円です5。収入印紙または領収証書で納付します5

このほか、変更後の登記事項証明書の取得や郵送などの実費がかかることがあります。司法書士に依頼する場合の報酬は事務所ごとに異なるため本記事では扱いません(頼むか自分でやるかの考え方は司法書士に依頼する判断基準へ)。

株式会社の商号変更との違い

検索で出てくる商号変更の解説の多くは株式会社向けです。合同会社との違いは3点だけ押さえれば足ります。

項目合同会社株式会社
決め方総社員の同意(637条)。定款に別段の定めがあればそれによる1株主総会の決議による定款変更(466条)。特別決議(309条2項)16
登記の添付書類総社員の同意書(定款の別段の定めで変更した場合は変わる。商業登記法93条・118条)9株主総会議事録(商業登記法46条2項)と株主リスト17
申請書の様式様式3-46記載例1-11(詳細は商号変更登記のやり方へ)

登録免許税(1件3万円)と期限(2週間)は共通です32。株式会社の手続きの詳細は商号変更登記のやり方が担当記事です。

商号変更の後にやること

登記が終わっても、社名は各所に登録されています。主なものを挙げます(網羅的なリストではありません)。

  • 会社の印鑑: 登記所への印鑑の提出は「印鑑届書」により行います6。旧商号の入った会社実印を新商号のものに作り直す場合は、印鑑届書の様式・記載例(法務局の申請書様式ページ「第8 印鑑届書」)に沿って届け出ます6。印鑑を作り直すかどうか、引き続き同じ印鑑を使う場合の取扱いは、管轄の法務局に確認してください
  • 税務署: 商号又は名称の変更をした場合は、異動届出書を提出します。提出時期は「異動等後速やかに」で、e-Taxソフトでの作成・提出のほか、書面で作成して提出先に持参または送付する方法が案内されています10。都道府県・市区町村の税の窓口への届出は、各自治体の案内に従ってください
  • そのほか: 銀行口座の名義、許認可・社会保険関係の登録、取引先との契約書・請求書、ウェブサイトや看板などの表記も順次変更します。届出の要否や期限は届出先ごとに異なるため、それぞれの窓口の案内に従ってください

FAQ|合同会社の商号変更でよくある質問

Q. 目的の変更など、ほかの変更と同時に申請できますか。

A. 法務局の様式3-4の記載例自体が、商号の変更と目的の変更を1通の申請書・1通の同意書で行う例で、登録免許税欄は金3万円です5。目的変更の中身(記載例の読み方)は目的変更登記の基本を、本店移転や代表社員の変更のように登録免許税の区分が別になる登記との関係は合同会社の定款変更の費用の節をご覧ください。

Q. 社員が1人だけです。「総社員の同意書」は必要ですか。

A. 社員が1人なら、その1人の同意が総社員の同意です(637条)1。登記の申請書には、同意があったことを証する書面の添付が必要なので(商業登記法93条・118条)9、1人でも同意書は作成します。具体的な書き方は法務局の記載例5に沿い、迷う場合は管轄の法務局に確認してください。

Q. 商号を「○○株式会社」に変えられますか。

A. 合同会社のままではできません。会社は、商号中に他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならないためです(6条3項)7。会社の種類そのものを株式会社に変える手続き(組織変更)は本記事の範囲外です。検討する場合は司法書士または管轄の法務局に相談してください。

Q. 変更から2週間を過ぎてしまいました。もう登記できませんか。

A. 期限を過ぎても登記の義務は消えないため、今からでも申請します。登記を怠ったときは100万円以下の過料(裁判所が科すもの)の対象になりえます(976条1号・非訟事件手続法119条)1415。実際の運用は変更登記をしないとどうなるかにまとめています。原因年月日の書き方などに迷う場合は、司法書士または管轄の法務局に相談してください。

Q. 商号のフリガナだけを変えたいときも登記が必要ですか。

A. 商号のフリガナは登記事項証明書には表示されず、申請書に記載して登録されるものです5。フリガナの変更・登録の具体的な手続きは本記事が参照した記載例には記載がないため、管轄の法務局に確認してください。

書類作成サービスについて

wiz法人登記は、フォームに入力した内容をそのまま反映して、株式会社の本店移転・目的変更の登記書類をご自身で作成できるオンラインソフトウェアです(4,500円・税別)。個別の法的判断や申請の代理は行わず、作成した書類はご自身で確認のうえ法務局に申請いただきます。登録免許税などの実費は別途必要です。

合同会社の登記書類(商号変更を含む)の作成には対応していません(対応しているのは株式会社の本店移転・目的変更です)18。また、株式会社であっても、取締役会設置会社・監査役設置会社には対応していません19。合同会社の商号変更をご自身で申請する場合は、この記事で紹介した法務局の様式3-4と記載例56をお使いください(司法書士に依頼する選択肢もあります)。


参照法令・出典(確認日: 2026-09-10)

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。合同会社の一般的なケースを対象としており、定款の別段の定めの内容や社員構成、官庁の許可が必要な業種、合名会社・合資会社については手続きが異なります。個別のケースについては、司法書士または管轄の法務局にご相談ください。記載内容は確認日(2026-09-10)時点の法令・公表情報に基づきます。

Footnotes

  1. 会社法637条(持分会社の定款の変更・定款に別段の定めがある場合を除き総社員の同意)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_637 2 3 4 5 6

  2. 会社法914条2号(商号は合同会社の登記事項)・915条1項(変更の登記・二週間以内・本店の所在地)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_914 2 3 4 5 6

  3. 登録免許税法 別表第一 二十四(一)ツ(登記事項の変更、消滅又は廃止の登記・申請件数一件につき三万円)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035 2 3 4

  4. 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(登記事項の変更、消滅または廃止の登記=1件につき3万円) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm 2 3

  5. 法務局 記載例3-4「合同会社変更登記申請書(商号の変更及び目的の変更)」(申請書の記載・フリガナの注記・登録免許税金3万円・添付書類〔総社員の同意書1通・官庁の許可書は効力要件の場合のみ・委任状は代理申請の場合のみ〕・押印と契印の注記・同意書の例・委任状の例) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001367825.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

  6. 法務局「商業・法人登記の申請書様式」(第3 持分会社(合同会社)の様式一覧・3-4 商号の変更及び目的の変更・同一商号・同一本店の調査を行う方法についての案内・第8 印鑑届書) https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html 2 3 4 5 6 7 8

  7. 会社法6条(会社はその名称を商号とする・合同会社は商号中に合同会社という文字を用いなければならない・他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字の使用禁止)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_6 2 3 4

  8. 商業登記法27条(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_27 2

  9. 商業登記法93条(総社員の同意又はある社員の一致を要するときはそれを証する書面を添付)・118条(93条等を合同会社の登記について準用)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_93 2 3 4 5

  10. 国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」(商号又は名称の変更等をした場合の手続・提出時期は異動等後速やかに・e-Taxソフトまたは書面での提出) https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_5.htm 2

  11. 会社法8条(不正の目的をもって他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号の使用禁止・侵害の停止又は予防の請求)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_8 2

  12. 会社法576条1項2号(持分会社の定款の記載事項・商号)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_576

  13. 会社法576条1項6号(社員の出資の目的〔有限責任社員にあっては金銭等に限る〕及びその価額又は評価の標準は持分会社の定款の記載事項)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_576

  14. 会社法976条1号(登記をすることを怠ったとき・百万円以下の過料・持分会社の業務を執行する社員を含む)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_976 2

  15. 非訟事件手続法119条(過料事件は当事者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000051#Mp-At_119 2

  16. 会社法466条(株式会社の定款の変更・株主総会の決議)・309条2項11号(第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合の特別決議)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_466

  17. 商業登記法46条2項(登記すべき事項につき株主総会の決議を要するときは議事録を添付)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125#Mp-At_46

  18. wiz法人登記 サービス仕様(当社確認 2026-09-10: 対応は株式会社の本店移転・目的変更の書類作成。合同会社は非対応) https://app.wiztouki.com

  19. wiz法人登記 サービス仕様(当社確認 2026-09-10: 取締役会設置会社・監査役設置会社には対応していない) https://app.wiztouki.com

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。 個別のケースについては、管轄の法務局または司法書士にご確認ください。 記事内の法令・税額等は、記事末尾に記載の確認日時点の情報です。

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